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写真:現代ビジネス |
「その粉塵が国立(競技場)のものだと証明してほしい」
2015年、国立競技場の解体工事が始まった後、ベランダや窓につく汚れに悩まされていたマンション住民がJSC(日本スポーツ振興センター)に電話で問い合わせたところ、こんな答えが返ってきたという。
そのマンションは国立競技場から道路を挟んだところに建っている。解体工事が始まると、粉塵が巻き上がり、風に流され、ベランダや窓に降りかかった。その事実を伝えると、国立から出た粉塵かを証明せよ、話はそれからだ、と返される。どう証明しろというのか。対話するのではなく、対話を断ち切り、そそくさと逃げる。
この度、『偉い人ほどすぐ逃げる』と題した本を刊行した。テーマは多岐にわたるが、本全体に共通している問題意識というのか、テーマ設定というのか、それが「偉い人ほどすぐ逃げる」だったので、そのままタイトルにしてみた。我ながら良いタイトルである。なぜって、昨今、「大きな問題がたくさんありましたね」よりも「偉い人がとにかく逃げまくりましたよね」のほうが、それぞれの記憶からいくつもの事案が引っ張り出されるに違いないからだ。偉い人が逃げ回り、問題を隠蔽し、メディアもその忘却に加担し続けた。
本の「はじめに」にこのように書いてみた。
「いつも同じことが起きている。偉い人が、疑われているか、釈明しているか、逆にあなたたちはどうなんですかと反撃しているか、隠していたものが遂にバレたか、それはもう終わったことですからと開き直っているか、だ」
「国家を揺るがす問題であっても、また別の問題が浮上してくれば、その前の問題がそのまま放置され、忘れ去られるようになった。どんな悪事にも、いつまでやってんの、という声が必ず向かう。向かう先が、悪事を働いた権力者ではなく、なぜか、追及する側なのだ」
先述した、国立競技場近くの住民を取材したのはもう5年以上前だ。今では、マンションの前に、超巨大な新しい競技場がそびえ立っている。それは、47都道府県すべての木材を軒や庇(ひさし)に使用していると自信満々に「杜のスタジアム」などと打ち出している。しかし同時に、マレーシアやインドネシアの熱帯林を伐採した合板が型枠に使用されている。こんな事実も語られない。
かつて、国立競技場の隣にあった明治公園や霞ヶ丘アパートは取り壊された。追い出された霞ヶ丘アパート住民が東京都へ提出した要望書には、
「私たちは移転の可否について、都から一度も相談を受けていません。住民の気持ちを顧みない東京都の手続きからは、私たちがひとりの『人として』尊重されていると感じることはできません」
と書かれていた。丸川珠代五輪担当大臣が先日、五輪の目的として「絆を取り戻す」を挙げたが、いくつもの絆を引き裂いて開催されるのが東京五輪ではないか。
本書でも、ひとつの章を設けて東京五輪を集中的にとりあげている。本稿では、「偉い人」がいかに「すぐ逃げた」か、五輪関係の動きに絞って書き記しておきたい。今年2月、森喜朗大会組織委員会会長の女性蔑視発言が問題視され、たちまち辞任に追い込まれた後、五輪招致時の中心人物がこれで全員いなくなりましたねと、4人横並びの写真が注目された。
その4人とは、竹田恒和、猪瀬直樹、安倍晋三、森喜朗である。この4人の共通項もまた「偉い人ほどすぐ逃げる」だった。それぞれの逃げ方をおさらいしておきたい。
JOCの会長だった竹田恒和は、東京五輪招致を巡り、シンガポールのコンサルタント会社「ブラック・タイディングス」に約2億3000万円を賄賂として支払ったと疑われ続けている。支払ったのはコンサルタント料であると主張したものの、そのコンサルタント会社の活動実態はなく、追及をかわす会見をわずか7分間で終え、その後、逃げるように会長を辞した。
また、2013年、五輪招致を決めるブエノスアイレスの地で、記者団に囲まれた竹田が、「東京は福島と250キロ離れているから安全」と被災地を切り捨てたことも絶対に忘れてはいけない。
東京五輪の招致が決定してから半年も経たずに、「徳洲会」から5000万円の資金提供を受けていたことが発覚、都知事を辞任したのが猪瀬直樹だ。いまだに掘り起こされる猪瀬のツイートに「誤解する人がいるので言う。2020東京五輪は神宮の国立競技場を改築するがほとんど40年前の五輪施設をそのまま使うので世界一カネのかからない五輪なのです」という2012年7月のツイートがある。
さて、現在はどうだろう。「誤解」しているのはどちらだろう。うっかりつぶやいたツイートではない。翌2013年3月、IOC評価委員による東京視察のときにも、取材陣に対して「コンパクトな五輪を理解していただけたと思う」と述べている。
職を辞してからも、「反対論者は開催時の感染リスクを主張するが、それは具体的なデータを伴わない、無責任な感情論に過ぎません」(「週刊ポスト」2021年1月15・22日号)と開催賛成の立場をとっているが、一斉に多くの外国人がやって来るという、コロナ禍で一度も体験したことのない状況が生まれるのに、感染するリスクは低い、とする主張こそ、データが伴っていない。
東京五輪開催までに憲法を改正しなければと勇んでいたのが安倍晋三である。2017年5月3日、読売新聞の単独インタビューに答えた安倍首相は、
「私はかねがね、半世紀ぶりに日本で五輪が開催される年を、未来を見据えながら日本が新しく生まれ変わる大きなきっかけにすべきだと申し上げてきた」
などと、五輪と憲法改正をくっつけようとしていた。
改めて読んでみると、意味が不明だ。意味が不明なのに、2020年までに憲法改正を、というニュースとして走らせたメディアの責任も大きい。なぜ、運動会を開く日までに校則を変える必要があるのだろう。その後、自身の身内優遇が招いた事案(森友・加計・桜を見る会)から逃げるように、首相の座を明け渡した。
昨年3月、東京五輪の延期について、2年延期すべきではないかとの声を遮り、1年延期で、と切り出したのが安倍だったとされる。1年後、責任をとる立場に彼はいなかった。
森喜朗が会長を辞するきっかけとなった言動の詳細については、さすがにまだ記憶に残っているだろうから、いちいちおさらいしない。ここで振り返っておきたいのは、彼の発言が問題視され、辞任を発表する会見の中で、
「(自分の蔑視発言について)解釈の仕方だと思うんですけれども、そういうとまた悪口を書かれますけれども、私は当時そういうものを言ったわけじゃないんだが、多少意図的な報道があったんだろうと思います」
と述べた事実だ。つまり、森喜朗は、形だけ反省した上で辞任した、のではなく、形さえも反省しないで、辞めたのである。自身の発言を省みることなく、急いで逃げたのだ。
このようにして、とにかく、みんな逃げたのだ。みんな逃げた後、急遽そのポストに押し込まれた人ばかりが並んでいる。菅義偉首相にしろ、橋本聖子大会組織委員会会長にしろ、実際のところ、こんな状態での東京五輪をどこまでやりたいと考えているのか、甚だ疑問である。
「選挙の追い風にしたい」「つつがなく終わらせたい」という彼らの願いは、逃げた人たちが持っていた「何が何でもやりたい」とは大きく異なるはず。無論、小池百合子都知事は、五輪の開催可否が政局の風向きにどう作用するかばかり考えているのだろう。
元五輪選手で政治学者のジュールズ・ボイコフが『オリンピック 反対する側の論理』(作品社)の中で、「スポーツ・ウォッシング」という言葉を使っている。五輪という「スポーツイベントを使って、染みのついた評判を洗濯し、慢性的な問題から国内の一般大衆の注意を逸らすのだ」と書いている。五輪の開催は、悪評を洗浄するために使われる。つまり、先に紹介した「逃げた男たち」の言動などが、丸ごとなかったことにされる。そういう効果が五輪にはあるのだ。
新著『偉い人ほどすぐ逃げる』では、「五輪を止める」と題した章を設け、五輪周辺の“逃走癖”“ウォッシング”の姿勢をいくつも考察している。とにかくみんな逃げている。多くを隠している。いざ開催まで持ち込めば、選手の誰かが感動的なシーンを作り出し、それに国民が乗っかり、様々な疑惑を全て忘れてくれると思っている。
この国で巻き起こる問題の多くが、同じ形をしている。問題視される→逃げる→忘れてもらう、この流れが続く。次々と問題が押し寄せる。ろくに検証しないまま、次の問題に移行してしまう。途中なのに、とにかく逃げてしまう。そして、逃してしまう。「偉い人ほどすぐ逃げる」、この5年の日本社会にある諸問題を振り返ったら、このスローガンからはみ出る事象がほとんどなかったのである。
武田 砂鉄(フリーライター)
【出典】東京五輪、「疑惑をかけられた偉い人」が全員“逃げ続けている”日本のメチャクチャさ (現代ビジネス 5/27(木) 7:02配信) |
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【出典】東京五輪、「疑惑をかけられた偉い人」が全員“逃げ続けている”日本のメチャクチャさ (現代ビジネス 5/27(木) 7:02配信) |
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「桜を見る会」での安倍首相(当時)(写真:ロイター/アフロ) |
昨年の今頃、安倍晋三前首相が、「桜を見る会」の前日に都内のホテルで開催された「前夜祭」に関する公選法違反、政治資金規正法違反の疑いについて、官邸での「ぶら下がり会見」等で対応したが、その説明には重大な疑問が生じていた。
私は、2019年11月27日に投稿した【「桜を見る会」前夜祭、安倍首相説明の「詰み」を盤面解説】で、「桜を見る会」問題に関する安倍首相の「説明」の問題点を全体的に解説し、これらの違法行為を否定する安倍首相の説明が「詰んでいる」と表現して、この問題についての安倍首相が「説明不能」の状況に陥っていることを指摘した。
約1年を経過した11月23日、読売新聞のスクープにより、この問題に関して、東京地検特捜部が関係先を捜査していることが明らかになり、同日夜には、NHKが、前首相側が会費800万円以上を補填していたことを示す領収書の存在をスクープした。
これらの報道を受け、「前夜祭」としての夕食会について、安倍氏周辺は
「(政治資金)収支報告書に記載すべきだったという事実を担当秘書は知っていた」 |
と語り、政治資金収支報告書への不記載だったとの認識を示したと報じられている。
本日(11月25日)付け朝日新聞によると、
その理由について、秘書は、2013年から始まった夕食会の開催当初から記載していなかったため、例年その手法を継続していたと説明しているという。
一方、安倍氏が首相時代の国会答弁で、夕食会の費用の一部を負担した事実を重ねて否定していたことについて安倍氏周辺は「当時、秘書が安倍首相に虚偽の説明をしていた」と説明。安倍氏は昨年、国会答弁に先立って秘書に「事務所が(一部を)支出していることはないか」と確認していたという。その際、秘書は「払っていない」と虚偽の説明をしたとしている。 |
とのことだ。
1年前、安倍氏は、この前夜祭についての説明不能の状態に陥り、将棋で言えば、完全に「詰んでいる」のに「投了」せず、そのまま首相の座に居座り続けた。
そして、年が明けてから、1月末には、東京高検黒川検事長の定年後の勤務延長を、検察庁法に違反し過去の国会答弁にも反するにもかかわらず閣議決定し、さらに、その違法な定年後勤務延長の「辻褄合わせ」としか思えない「検察庁法改正案」で、内閣が検察幹部の定年延長で人事に介入することを可能にしようとして、国民全体から厳しい批判を浴びた。
その間、深刻化していた新型コロナ感染に関しても、突然の全国の学校を臨時休校要請、目前に迫っていた東京五輪開催を自らの政治的レガシーのために「1年後」に延期、「アベノマスク」の配布、一律10万円給付をめぐる混乱など、時の内閣として最低最悪の失態を繰り返した。
一方で、2019年7月の参議院選挙に関する公選法違反事件で河井前法相が逮捕されたことに関しても、党本部からの1億5000万円の選挙資金の提供が買収資金に与えられた疑いが浮上するなど、更に批判が高まり窮地に追い込まれた安倍氏は、8月末に、持病の悪化を理由に突然、首相辞任表明を行った。
今回、検察捜査によって「安倍前首相の答弁」が客観的に虚偽であったことが明らかになったのであるが、それについて、安倍氏側は、「秘書が虚偽説明をしていた」という、信じ難い「子供じみた言い訳」をしているというのだ。
7年以上にわたって続いた「戦後最長の第二次安倍内閣」が、実は、このような「嘘に嘘を重ねただけの『虚構内閣』」だったのではないかという深刻な疑問を抱かざるを得ない。
今回の検察捜査と関連する動きを踏まえて、昨年の「盤面解説」を更新し、《2020年版「桜を見る会」前夜祭問題盤面解説》として、この問題を改めて解説することとしたい(なお、昨年の「盤面解説」には、一部「詰将棋」としての誤りがあったので、その点は修正した。)。
まず、「桜を見る会」についての追及が始まり、前夜祭の問題に及んだ時点の盤面が《盤面1》(盤面は著者作成、以下同様)である。
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《盤面1》 |
「5八」に位置する安倍首相の「玉(ぎょく:王将)」を守る駒として、「3七」の位置に安倍後援会の「金」(斜め後方以外の場所に1マス動かすことができる駒)、「7六」の位置にホテルニューオータニの「銀」(左右と後方以外の場所に1マス動かすことができる駒)という「二つの駒」があった。
安倍後援会が、安倍首相の指示どおりに動くのは当然であり、ホテルニューオータニも、絶大な政治権力を持つ安倍首相にとっては、動かすことが容易な「駒」だったであろう。
当初は、「前夜祭」としての夕食会の1人5000円という会費が安過ぎるのではないか、実際にはもっと高く、その差額を安倍後援会が補填しているのではないか、そうだとすると、安倍首相の地元の支援者が多数参加している夕食会は、「有権者に対する利益供与」(公選法違反)に当たるのではないか、が問題にされた。
この段階で、安倍首相が強く意識したのは、「公選法違反」の問題であった。直近で、同じ有権者に対する利益供与の問題で、菅原一秀氏が、就任間もなく経済産業大臣を辞任していたこともあって、公選法問題は、総理大臣辞任につながりかねない重大リスクであった。《盤面1》上の「敵の駒」としては、敵陣「2二」の位置にある「飛車」(縦横どこまででも動かせる駒)であった。
しかし、「桜を見る会」の「前夜祭」に関するリスクはそれだけではなかった。
政治団体である安倍後援会が深く関わっていることは明らかであり、それについて、収支が発生していれば、政治資金収支報告書に記載しなければならない。しかし、その収支報告書には、過去に、「桜を見る会」の「前夜祭」の収支が記載されたことはなく、収支の記載義務があるので、もろに政治資金規正法違反となる。
《盤面1》で言えば「9三」の「角」(前後左右の斜め方向にどこまでも動かせる駒)であった(昨年の盤面では、「6二」の「香車」としていたが、これは、「詰将棋」的に誤りだったので変更)。
そして、盤面の中央に位置する駒が、マスコミやネット上の安倍政権に対する批判の言論の「金」であり、これには、私自身も含まれる。
つまり、《盤面1》の上で、「安倍王将」を守る駒が「後援会」(金)、ホテルニューオータニ(銀)、
攻める方が、「公選法違反」(飛車)と「政治資金規正法違反」(角)、そして、それらを背景とする言論(金)という構図だった。
そこからの盤面の動きを示したのが《盤面2》だ。
まず、野党側の追及は、「ホテルニューオータニの鶴の間でのパーティーは最低でも一人11000円」とされていることなどから、前夜祭の夕食パーティーが有権者への利益供与の公選法違反に当たるのではないかという指摘だった。
「2二飛車」は「2八飛車成り」で、一気に、「3七金」の安倍後援会に迫った。これによって「飛車」は「龍」(もともとの飛車の動きに加えて、斜め前方と斜め後方に1マス動かせる駒)となる。
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《盤面2》 |
そこで、安倍首相側の意識は、「公選法違反」の「2八龍」の方に集中した。
この局面で、安倍首相は、後援会側に動くことによる公選法違反のリスクを恐れ、反対のホテルニューオータニ側に都合の良い説明をさせる方針をとった。
2019年11月15日、安倍首相はぶら下がり会見で
すべての費用は参加者の自己負担。旅費・宿泊費は、各参加者が旅行代理店に支払いし、夕食会費用については、安倍事務所職員が1人5000円を集金してホテル名義の領収書を手交。集金した現金をその場でホテル側に渡すという形で、参加者からホテル側への支払いがなされた。 |
と説明し、18日のぶら下がり会見でも、
安倍事務所にも後援会にも、一切、入金はなく出金もない。旅費や宿泊費は各参加者が直接支払いを行い、食事代についても領収書を発行していない。 |
と述べた。
そして、安倍首相は、ホテルニューオータニ側が、1人5000円という会費の設定を行い、自ら参加者から会費を徴収したものだとして、「安倍後援会側に収支が発生しない」という説明をすることで、説明責任を、後援会ではなく、すべてホテルニューオータニ側に押しつけようとした。
夕食会の参加費の価格設定も会費の徴収もすべてホテル側が行うという、「ホテル主催の宴会」であるかのように説明したのである。そうすれば、安倍後援会は一切関与せず、収支も発生しないことになる。
つまり、「3七金」の安倍後援会ではなく、「7六銀」のニューオータニの方に寄ろうとし、「6七玉」という手を指したのである。
しかし、それが、安倍首相にとって、致命的な「悪手」(あくしゅ:形勢が悪化するような指し手)であったことは盤面上も明らかだ。
18日の夜、私は、【「ホテル主催夕食会」なら、安倍首相・事務所関係者の会費は支払われたのか】と題する記事を出した。
安倍首相が説明するとおり、ホテル側が会費の設定を行い、自ら参加者から会費を徴収するのであれば、その立食パーティーに参加した「安倍首相夫妻」、「後援会関係者」らからも会費を徴収するのが当然だ。会費を支払った場合は、安倍事務所側に支出が発生するので、後援会に政治資金収支報告書に記載がないことが政治資金規正法違反となる。逆に、会費を支払っていない場合には、「無銭飲食」になる。
これは、「ホテル主催夕食会だったのなら、安倍首相夫妻らは参加費を支払ったのか」という「6六金」の「王手」(おうて:次に相手玉を取ることができる状態)で「詰み」という盤面であった。
政治資金規正法違反の「9三角」が効いている(玉で「金」を取ろうとしても、前後左右の斜めにどこまででも動く「角」にとられてしまう)ので、「6六金」の王手で、完全に「詰み」なのである。
ところが、安倍氏は、その後、12月2日の参議院本会議の代表質問においても、以下のような、「驚くべき答弁」を行った。
夕食会には、私は妻とともにゲストとして参加し、挨拶を行ったほか、参加者との写真撮影に応じた後、すぐに会場を後にしております。事務所や後援会の職員は写真撮影や集金等を行ったのみです。このようなことから、会費の支払はしておりません。
ちなみに、私と妻や事務所等の職員は夕食会場で飲食を行っておりません。
いずれにしても、夕食会の費用については、ホテル側との合意に基づき、夕食会場入口の受付において安倍事務所の職員が一人5000円を集金し、ホテル名義の領収書をその場で手交し、受付終了後に集金した全ての現金をその場でホテル側に渡すという形で参加者からホテル側への支払がなされたものと承知しております。
このように、同夕食会に関して、安倍晋三後援会としての収入、支出は一切ないことから、政治資金収支報告書への記載は必要ないものと認識しております。 |
桜を見る会の前日に開催された夕食会についてお尋ねがありました。
夕食会の価格設定については、私の事務所の職員がホテル側と各種段取りを相談する中で、出席者の大多数が当該ホテルの宿泊者であるという事情等を踏まえ、会場費も含めて800人規模、一人当たり5000円とすることでホテル側が設定したものであります。
私の事務所に確認を行った結果、ホテル側との相談過程においてホテル側から明細書等の発行はなく、加えて、ホテル側としては営業の秘密に関わることから公開を前提とした資料提供には応じかねることであったと報告を受けております。 |
これが、いかに「語るに落ちた答弁」か、説明すら要しないであろう。
そもそも、立食パーティーについて、主催者が一切会費の徴収に関わらず、ホテル側が直接参加者から会費を徴収するなどということがあり得ないことは、常識で考えれば明らかだ。
もし、万が一、立食パーティーで、ホテル側が、参加者から会費を徴収するということであれば、ホテル側は、飲食をするかしないかにかかわらず、参加者全員から徴収するのが当然である。安倍首相夫妻は、雛壇に立って乾杯の挨拶をする際に、ホテルスタッフからグラスを受け取っているのであり、それだけでホテルからサービスの提供を受けていることは明らかだ。
しかし、その後、安部氏は、衆参両院の予算委員会での野党からの追及に対しても、このような「語るに落ちた答弁」で押し通したのである。
そして、約1年が経過し、東京地検特捜部の捜査で、ホテルニューオータニから前夜祭に関する資料が提出され、安倍氏側が会費800万円以上を補填した事実を示す領収書の存在及びその領収書が安倍氏の資金管理団体宛てであったことが明らかになった。
つまり、安倍首相が、参議院本会議の代表質問で行った答弁は、丸ごと「大ウソ」だったことが明らかになった。しかも、安倍首相側は、「当時、秘書が安倍首相に虚偽の説明をしていた」などと、さらに「幼稚園児以下の『言い訳』」を重ねているというのである。
このような状況を、改めて「盤面」で表現したのが、以下である。
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《盤面2020》 |
本来は、昨年12月以降の国会での質疑で、「ホテルが会費を徴収する夕食会だったのなら、安倍首相夫妻らは参加費を支払わなければならないはず。支払わないことが許容されるのなら、ホテルが会費徴収する夕食会ではない」という追及を続ける「6六金」の「王手」で「詰み」だったはずである。ところが、「私と妻や事務所等の職員は夕食会場で飲食を行っておりません」という代表質問への答弁の後、この点の追及は行われないまま終わってしまった。結局、安倍首相批判の言論の「5五金」は、王手として指されることなく「無力化」してしまったのである。
そして、今回明らかになった東京地検特捜部の捜査は、「6七」の「安倍王将」への王手としての「6六金」である。「安倍王将」は、昨年11月に最初にこの問題で追及を受けた時点では、ここに検察の「金」が打たれることは、想定していなかったのかも知れない。
その時点では、「1六」に、「安倍王将」を守る駒として「飛車」が存在していた。それは、「官邸の守護神」と言われた「黒川検事長」の存在である。この「飛車」が効いていれば、「6六金」の特捜部の「一手」はあり得なかった。ところが、その「飛車」は、今年5月の黒川検事長「賭け麻雀」辞任で、消滅してしまった。
この「金」は、「7六銀」のホテルニューオータニに対する攻めにもなっており、その攻めのために、同ホテルは明細書、領収書の控え等を検察に提供し、それによって、安倍氏の資金管理団体による飲食代の補填の事実が明らかになった。破綻した説明による「逃げ切り」の後、無力化していた「批判言論」の「5五金」も、今回の報道を受けて再びその力を増し、安倍氏の往く手を阻んでいる。
どう考えても、「安倍王将」は、ここで「投了」である。首相として国民を欺いた責任をとって議員辞職するのが当然である。
ところが、信じ難いことに、安倍氏は、それでも「投了」せず、「秘書に騙されていた」という「子供じみた言い訳」を、恥ずかしげもなく行おうとしているのである。
安倍氏の認識の根拠は、「秘書の説明」だけではないはずだ。そもそも、安倍氏は、すべてホテル側が参加者から個別に飲食代金を集金した、という常識ではあり得ない説明を行っているのである。そのような説明を、ニューオータニ側と連絡することなく一方的に行うこともあり得ない。その際、飲食代の補填の有無を確認するのが当然で、その時点で補填の事実を把握したはずだ。
この「桜を見る会」問題には、安倍政権による、日本の行政組織の支配構図と、安倍首相の「身内びいき」の姿勢という安倍政権の本質的な問題が端的に表れている。
なぜ、本来、各界で功労・功績があった人達を慰労することを目的としているのに、功労者として招待された人間に対する接遇に気を遣うことはほとんどなく、一方で、安倍後援会関係者は、開場時刻前に何台ものバスで乗り付けて、ふんだんな飲食やお土産までふるまわれるのか。
そこには、これまで、森友・加計学園問題でもしばしば問題とされてきた、安倍一強体制の下での「権力者への忖度」が影響していたのであろう。
運営の実務を行う内閣府や官邸の職員には、「桜を見る会」が、安倍後援会側の意向で「地元有権者歓待行事」と化していることに違和感を覚えても、異を唱えることなどできない。傍若無人に大型バスで開場に乗り込んでくる安倍後援会側の行動を黙認するしかなかったのであろう。
開催経費が予算を超えて膨張していったのも、後援会の招待者が増え、地元の参加者に十分な飲食の提供など歓待をしようとする要求に抵抗できなかった結果であり、内閣府等の職員達は、各界の功労・功績者の慰労という本来の目的との関係は気になりつつも、実際にはそれを考える余裕はなかったのであろう。そのような公的行事としての「桜を見る会」の地元有権者歓待のための私物化の延長上に、「前夜祭」での違法行為の問題がある。
何より重要なのは、第二次安倍政権の7年余、このように、誰がどう考えてもおかしなことが問題にされても、ウソに嘘を重ね、「違法なことはやっていない」と開き直るということを繰り返し、それが、官僚や政治家等の周囲の忖度によって正当化されてきたということである。言い訳が破綻しているのに、「語るに落ちた『言い訳』」で国会追及を逃げ切るということを繰り返してきたのである。
安倍氏が、「桜を見る会」前夜祭の説明が破綻しているのに、そのまま首相の座に居座り続けてきた約8か月の間に日本の社会で起きたことを振り返ると、「悪夢」そのものである。
今後、この事件の検察捜査はどうなるのか、特捜部という「金」の動きに注目が集まることになるだろう。
しかし、それ以前の問題として、我々は、安倍首相が、この問題についてどのような説明をしてきたのか、それを当時官房長官であった菅義偉現首相がどのように擁護してきたのかを検証しなければならない。
そして、安倍政権とその流れを継承する現政権が「説明責任」を負う姿勢が完全に欠如した政権であることを、問題の本質としてとらえるべきだろう。
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郷原信郎
郷原総合コンプライアンス法律事務所
代表弁護士 |
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1955年、島根県生まれ。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官などを経て、2006年に弁護士登録。08年、郷原総合コンプライアンス法律事務所開設。
これまで、名城大学教授、関西大学客員教授、総務省顧問、日本郵政ガバナンス検証委員会委員長、総務省年金業務監視委員会委員長などを歴任。著書に『告発の正義』『検察の正義』(ちくま新書)、『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(新潮新書)、『思考停止社会─「遵守」に蝕まれる日本』(講談社現代新書)など多数。 |
【出典】郷原信郎 | 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士 11/25(水)
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【出典】郷原信郎 | 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士 11/25(水) |
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衆院予算委で立憲民主党の辻元清美氏にやじを飛ばした安倍首相=12日午後 |
17日の衆院予算委員会。安倍晋三首相は、立憲民主党の辻元清美幹事長代行の質問に「意味のない質問だよ」とヤジを飛ばしたこと(12日)について「不規則な発言をしたことをおわびします。今後閣僚席からの不規則発言は厳に慎むよう、総理大臣として身を処してまいります」と謝罪した。
だが、原稿からほとんど目を上げることなく無表情で読み続ける姿から受ける印象は、その内容とは全く逆のものだった。「原稿に何が書かれていても、謝罪する気など全くない」という強い意思すら感じさせた。
そもそも首相の「謝罪」は、あくまで「ヤジを飛ばしたこと」に矮小(わいしょう)化されている。ヤジの内容、つまり立法府からの質問に対し「意味がない」と侮辱行為を働いたことへの謝罪は、全く無視している。(ジャーナリスト=尾中香尚里)
「ああ、またか」以外の言葉がない。
首相は国会で、野党に面と向かって批判されたり、答えたくない(または答えられない)質問をされたりすることへの耐性がなさすぎる。そういう状態に耐えられず、ストレスが爆発しそうになると、まともに答弁しない代わりに、自席から質問者にヤジを飛ばす。
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今井雅人氏に対する安倍首相(中央)のやじを巡り、
協議する与野党の理事ら=2019年11月 |
あの時もそうだった。昨年11月6日の衆院予算委員会。立憲民主党などでつくる野党共同会派の今井雅人氏が、加計学園問題の獣医学部新設に萩生田光一文部科学相が関与を示唆した、とされるメモについて質問していた時、首相は今井氏を指さして「あなたが作ったのでは?」とヤジを飛ばし、謝罪に追い込まれた。その時の「謝罪」の言葉もこうだった。
「ただこれ、座席からですね、座席から私が言葉を発したことについては、これは申し訳なかったと思います」
ヤジを飛ばしたことについては、渋々ながらも謝罪する。しかし、ヤジの内容については、決して謝罪しようとしない。「政府にとって不都合な内容の文書を野党議員がねつ造した」とも解釈できるヤジの内容(個人的には今回の辻元氏へのヤジ以上に悪質な内容だと思う)は、言いっぱなしで放置したのだ。
首相はこの時「ここで私が答弁したことであれば、責任を持ってお答えするわけでありますが」とも発言している。答弁に残せば発言に責任が生じることを承知のうえで、あえてヤジという「責任の伴わない」言葉で、自らの鬱憤(うっぷん)を晴らしているわけだ。
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衆院予算委で質問する立憲民主党の辻元清美氏=12日午後 |
首相の国会での態度について、ヤジに加えてもう一つ、とても気になるものがある。自らに何らかの疑惑が向けられた時、疑惑の「挙証責任」を野党に求めることだ。
例えば前述の今井氏との質疑。首相は加計学園問題の獣医学部新設をめぐるメモについて「今井氏が明確な事実を示しながら『これは文科省で作られた』ということを示さない限り、これは議論にならない」と答弁した。
これはおかしい。国会における野党の役割は、政府のおかしな点を「問いただし」、政府に「答えさせる」ことにある。挙証責任はあくまで政府にあり、それを野党に求めるのは間違いだ。首相はそんなことは重々承知の上で「わずかでも不確かなことがあるなら追及をするな」と、暗に心理的な圧迫をかけているのである。
17日の衆院予算委でも同様の場面があった。
首相の後援会が主催した「桜を見る会」前夜祭について、辻元氏は、過去に前夜祭を開催したANAインターコンチネンタルホテル東京が「明細書を主催者に発行しなかった例はない」などと回答した文書を入手した。
「明細書の発行は受けていない」という首相の従来の説明とは全く異なる内容だが、首相は自身の事務所がホテル側に電話で問い合わせた内容として「個別の案件は営業の秘密にかかわる」として、前夜祭での対応は辻元氏への「回答に含まれていない」と答弁した。
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衆院予算委で、立憲民主党の辻元清美氏へのやじを飛ばした問題について
謝罪する安倍首相=17日午前 |
辻元氏の文書と首相の答弁で、ホテル側の見解が食い違ったことになる。辻元氏の後を受けて質問した小川淳也氏は、改めて首相の答弁の内容を書面で提出するよう要望した。これに対する首相の答弁が「私がうそをついているというのであれば、それを説明するのはそちら(野党)側ではないのか」だった。「説明」はおそらく「証明」の言い間違いだろう。
首相の答弁がうそだったかどうかは、この際あえて問わない。指摘したいのは、首相は自らの言動について「事実ではない」との疑念が生じた時、真摯(しんし)に疑念を晴らそうとはせず、逆に疑念を指摘した側に「事実でないことを証明せよ」と求める、そうすることで自らが真摯に答えることから逃げる、そんな政治姿勢の持ち主なのだ、ということだ。
繰り返したい。国会質疑において、野党が政府に対し何らかの疑惑の存在を指摘した場合、挙証責任は野党側ではなく、政府側にある。今回の前夜祭問題についていえば、首相自身にある。仮に野党側が挙証責任を全うし、疑惑が真実だという決定的な証拠を突きつけた時は、首相の言葉を借りれば、その時こそもはや「議論にならない」。政府に求められるのは、もはや「責任を取る」ことだけである。
ところで、今回辻元氏が突きつけた文書は、首相の過去の虚偽答弁を挙証するかなり決定的な証拠だと考えるのだが、首相はまだ「責任を取る」つもりはないのだろうか。
【出典】47NEWS 2/18(火) 16:32配信
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【出典】47NEWS 2/18(火) 16:32配信 |
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答える気ナシ(C)日刊ゲンダイ |
これまで散々、見せつけられてきたいつものパターンとはいえ、良識ある国民にとってはもはや我慢の限界だろう。
5日の衆院予算委で、先月下旬に始まった今国会序盤の論戦が一段落した。安倍首相が出席した予算委が8日間開かれ、野党側は昨年の臨時国会から続く総理主催の「桜を見る会」の私物化疑惑などについて追及。
国会前は「丁寧に、真摯に説明」などと言っていた安倍だが、野党議員の質問に対して言い逃れやつじつま合わせとしか思えない答弁を繰り返すばかり。議論はかみ合うどころか、いつも以上に感情をあらわにしてブチ切れ、野党議員を“攻撃”する場面が目立った。
とりわけ酷かったのが4日の衆院予算委。立憲民主党の黒岩宇洋議員が「桜を見る会」の前夜に都内のホテルニューオータニで開かれた安倍後援会主催の夕食会について質問。
1人5000円の会費が相場よりも安いことを紹介しつつ、同ホテルの規約では宴会料金は事前連絡の参加者数で確定して請求している――と説明。
参加者にキャンセルが出た場合の費用負担の扱いを問いただし、仮にキャンセル料などを安倍事務所が補填していれば有権者への寄付を禁じた公選法違反(買収)の可能性があると詰め寄ったのだ。
すると、安倍は「規約に書いているのか。根拠がないことを言っている。ウソをついているのと同じだ」と早口でまくしたてたからアングリだ。
一国の宰相が予算委で野党議員に向かって声高に「ウソつき」呼ばわりするなど前代未聞だが、その後の態度も最悪。入手したホテルの規約を読み上げて反論し、発言撤回を求める黒岩議員を閣僚席からにらみつけ、ムスッとした表情のままだったから呆れてしまう。
結局、その後に質問に立った無所属の今井雅人議員(統一会派)から謝罪を要求された安倍は渋々、「ウソつきは撤回する」などと応じたが、ハッキリ言ってふてくされたガキそのものだ。
「安倍方式」。こんな言葉が飛び出した3日の衆院予算委のやりとりもまたデタラメ。安倍はこれまでの答弁で、前夜祭については安倍事務所が参加者800人から会費を集めたものの、ホテルと契約を結んだのは個々の参加者だから後援会は収支に関係なく、不記載で構わない――などと主張している。
この説明だけでも論外なのだが、立憲の辻元清美議員が「なぜ、収支報告書に載せていないのか。こんな脱法行為にお墨付きを与えるのか」「日本中の議員が(パーティー参加者が)何千人であっても『安倍方式』で行うなら違法ではないと、太鼓判を押して」と揶揄すると、安倍は「同じ形式であれば(他の議員がやっても)問題ない」と開き直っていたから唖然呆然だ。
すると、安倍は「規約に書いているのか。根拠がないことを言っている。ウソをついているのと同じだ」と早口でまくしたてたからアングリだ。
一国の宰相が予算委で野党議員に向かって声高に「ウソつき」呼ばわりするなど前代未聞だが、その後の態度も最悪。入手したホテルの規約を読み上げて反論し、発言撤回を求める黒岩議員を閣僚席からにらみつけ、ムスッとした表情のままだったから呆れてしまう。
結局、その後に質問に立った無所属の今井雅人議員(統一会派)から謝罪を要求された安倍は渋々、「ウソつきは撤回する」などと応じたが、ハッキリ言ってふてくされたガキそのものだ。
「安倍方式」。こんな言葉が飛び出した3日の衆院予算委のやりとりもまたデタラメ。安倍はこれまでの答弁で、前夜祭については安倍事務所が参加者800人から会費を集めたものの、ホテルと契約を結んだのは個々の参加者だから後援会は収支に関係なく、不記載で構わない――などと主張している。
この説明だけでも論外なのだが、立憲の辻元清美議員が「なぜ、収支報告書に載せていないのか。こんな脱法行為にお墨付きを与えるのか」「日本中の議員が(パーティー参加者が)何千人であっても『安倍方式』で行うなら違法ではないと、太鼓判を押して」と揶揄すると、安倍は「同じ形式であれば(他の議員がやっても)問題ない」と開き直っていたから唖然呆然だ。
政治団体が収支報告書への記載義務を課せられているのは、政治家のカネの流れを透明化させ、特定の個人や団体との癒着や腐敗政治を防ぐため。そのために政治資金規正法があるのだ。それなのに首相自身が国会答弁で「脱法行為」にお墨付きを与えるような発言をするなどめちゃくちゃだ。政治アナリストの伊藤惇夫氏がこう言う。
「相変わらず質問には真正面から答えず、資料は出さず、脱法行為を正当化し、虚偽答弁を繰り返す。もはや、桜問題は誰が見ても『安倍首相はウソつき』との印象を抱いたでしょう。たとえ、国会質疑をしのいだとしても、ダメージは深いと思いますね」
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税金私物化(C)日刊ゲンダイ |
そもそも安倍はこれまで、前夜祭については参加者が1人5000円の会費をホテルに支払ったために後援会に収支が発生せず、報告の必要はない、と説明してきた。その説明に“変化”があったのは、1月31日の衆院予算委。
無所属(統一会派)の山井和則議員が「800人の夕食会は、主催者である後援会が契約者でいいか」と問いただすと、安倍は「主催は後援会だが契約の主体は個人。何十人かでレストランなり旅館なりで会合を開き、それぞれ参加者が個々で支払うことと同じ」と答えたのだ。
割り勘払いが原則の会社の飲み会じゃあるまいし、政治家の後援会が主催する800人の夕食会で、参加者が個別にホテルと契約を結ぶことはあり得ないだろう。
後援会が取りまとめていれば収支報告書への不記載を追及されるため、無理やり理屈をこね上げたのだろうが、その屁理屈にもならない説明をさらに“ひっくり返す”答弁があったのが2月5日の衆院予算委だ。
立憲の大串博志議員が「契約したのは首相の事務所ではないか」と迫ると、「事務所として仲介している以上、(ホテル側と)合意して把握しなければならない」「合意がなければ、参加者に5000円と伝えられない」と言い、事務所が夕食会の価格設定に主体的に関与し、ホテル側と合意があったと認めたのだ。
常識で考えれば、政治団体に限らず、大規模宴会を主催し、価格設定まで関与している仲介者が契約主体だ。つまり、安倍は自分の説明が論理破綻していると認めているのに等しいだろう。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏がこう言う。
「ウソの帳尻合わせをしようと答弁しているから内容が支離滅裂になる。国民の間でも、相当酷いとの思いがどんどん膨らんでいるのは間違いないでしょう」
<「事務所が予約しているため、ホテル側から価格の優遇を受けている。それに、事務所が夕食会の会費を集金している。明らかに事務所が契約の主体で、首相答弁は詭弁」と指摘。事務所の募集に応じて、参加者が実際に申し込んだ相手も事務所。『ホテルと個別に契約したものであずかり知らぬ』という説明は矛盾している>
5日付の朝日新聞は、安倍の説明に対する浜辺陽一郎・青山学院大教授(民事法)の解釈を報じていたが、これが至極まっとうな見方だ。
事務所は関係ないと言いつつ、夕食会の明細開示については「ホテル側が資料提供に応じられないとしている」と言い、参加者が受け取ったという領収書の提示を求められても知らん顔だから許しがたい。
閣僚席では腕時計を、答弁時には上目遣いで掛け時計をチラチラと時間ばかり気にしていた安倍。
予算委では、虚飾と矛盾だらけの答弁に加え、下劣な品性、卑しさ、厚顔、幼児性がこれまで以上に浮き彫りになったほか、小学生レベルの知性しかない実態も分かった。
1月28日の衆院予算委で、共産党の宮本徹議員が「桜を見る会」に安倍後援会の関係者が申込書をコピーして知人らに声を掛けていたと指摘した時だ。
「幅広く募っているが、募集しているとの認識ではなかった」
この答弁には、いつもは舌鋒鋭く追及する宮本議員も苦笑いし、「募ると募集は同じなんですよ。
募集の募は、募るという意味」と呆れていたが、こんな程度の男が「米国ファースト」を訴えるトランプ大統領と貿易交渉したり、ロシアのプーチン大統領と北方領土交渉したりできるワケがないだろう。政治評論家の小林吉弥氏はこう言う。
「ノラリクラリ疑惑を引き延ばしていれば、やがて野党も根負けすると思っているのでしょうが、要するに何も答える気がないのと同じ。IR汚職事件や閣内のギクシャクもあり、相当のストレスを抱えているとはいえ、総理大臣が国会の場で怒りの感情を前面に出すなどあり得ないでしょう。こうした言動は有権者は必ず覚えていますよ」
見苦しい詭弁を弄し、平気の平左でウソをつく。安倍は黒岩議員に対して「人間としてどうなのか」と批判していたが、人間性が問われているのは安倍自身だ。
【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2020/02/07 17:00 更新日:2020/02/07 17:00
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安倍チル・白須賀議員にも家宅捜査が!(しらすか貴樹公式サイトより) |
本サイトが先日の記事で指摘したとおり(予想とは1日ずれたが)、本日、自民党の秋元司衆院議員がIR=カジノをめぐる収賄疑惑で東京地検特捜部に逮捕された。
さらに衝撃的だったのが、白須賀貴樹衆院議員や、勝沼栄明前衆院議員の事務所にも家宅捜索に入ったことだ。勝田前議員は秋元議員と同じ、IR=カジノ利権の本丸と言われる二階派所属。そして、白須賀議員は第二次安倍政権が誕生した2012年の衆院選で初当選、安倍首相の出身派閥である細田派に属する典型的な安倍チルドレン議員だ。
国会で「保育園落ちた、日本死ね」問題の時は、「誰が書いたんだよ」「匿名だよ、匿名」「ちゃんと本人を出せ」「うざーい」「やめろよ、やめろ」などとヤジをとばした自民党議員の一人とされ、昨年3月には厚生労働部会で、自身が運営する保育園で病児保育のため採用した看護師について「雇って1カ月後には実は産休に入ると。人手不足で募集したのに、それは違うだろと言った瞬間に労基に駆け込んだ」と、ブラック企業経営者丸出しの発言したこともある。
「これまで、検察のIR汚職捜査の標的は二階幹事長、菅官房長官系の議員が中心と言われていたんですが、安倍首相の直系議員の事務所に強制捜査が入ったことで、永田町は激震が走っています」(政界関係者)
しかも、秋元議員に賄賂をおくったとされる中国企業「500ドットコム」から便宜供与を受けた政治家は、いま名前の上がっている者だけではないらしい。
「実は、現在、秋元議員に賄賂をおくったとされる中国企業「500ドットコム」に接待を受けた12人の政治家リストが、政界関係者・マスコミの間で、出回っています。なかには、安倍政権で少し前まで閣僚をしていた者の名前も入っているそうです」(全国紙社会部記者)
政権、自民党ぐるみの問題であることが明らかになったIR汚職。「12人接待リスト」については入手ししだい、追ってその内容をお伝えしたい。
(編集部)
【出典】LITERA 2019.12.25 11:41
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国民を痛めつけて笑っている(C)共同通信社 |
この政権は、どこまで国民をコケにすれば気が済むのか。
自民・公明両党が12日に決めた2020年度の与党税制改正大綱は、常軌を逸している。庶民からは取れるだけむしり取り、そのカネを大企業の減税に使うと白昼堂々、宣言するような内容なのだ。
社会保障の拡充を理由に消費税を上げたそばから、法人減税メニューがズラリだからふざけている。ここまでやるか。消費増税分を法人減税の穴埋めに使うことを隠そうともしなくなってきた。
「消費税を上げて生活が苦しくなった分、庶民向けの減税措置があるかと思ったら、何ひとつない。ロコツな大企業向けのバラマキ大綱です。安倍政権は『世界一、企業が活躍しやすい国』を掲げ、一貫して大企業を優遇してきた。 その結果、アベノミクスの7年間で起きたことは、潤った企業が内部留保を積み上げただけです。法人企業統計によれば18年度の内部留保は約463兆円で、過去最高を更新し続けている。一方で、サラリーマンの実質賃金は減少しているのです。 これ以上、大企業を優遇しても国民経済にプラスがないことは明らかなのに、まだ減税してやるという。庶民から収奪した富を大企業に回し、その株主である外資を儲けさせるわけで、日本国民は虫けら同然の扱いです。 一部のお友達と富裕層にだけ甘く、国民に冷酷な安倍政権の正体がハッキリ現れています」(経済アナリスト・菊池英博氏)
自民党が大綱の目玉に位置付けているのが、企業に投資を促す「オープンイノベーション税制」だ。大企業の場合は1億円以上、中小企業は1000万円以上を設立10年未満で非上場のベンチャー企業に出資すると、出資額の25%を課税所得から控除して減税するというもの。
与党は、企業の内部留保をM&Aなどの投資につなげ、企業の国際競争力の底上げも狙うと説明するが、大企業にしかメリットがない減税措置をカタカナ言葉でゴマカしているに過ぎない。
資金力に乏しい中小企業には、出資する余裕なんてありゃしないのだ。
「企業がため込んだ内部留保を吐き出させるには、内部留保に課税する“北風政策”と、内部留保を投資に回す企業に税制で優遇する“太陽政策”がありますが、大企業に支えられてきた安倍政権に北風政策を打ち出すことはできない。労働者を犠牲にして、企業を儲けさせてきたのがアベノミクスなのです。 利益を内部留保にため込まず、ボーナスや賃上げで労働者に還元した企業に減税するというなら分かりますが、投資減税は実効性にも疑問がある。働き方改革などと言って、企業と政府が一体になって人件費をカットしてきたせいで、国内消費はどんどん縮小し、低成長、低生産性、競争力低下、賃金抑制という悪循環が起きている。 これでは企業が国内で投資する気になりません。ろくにエサを与えられないニワトリが栄養失調で卵を産めなくなっている状況で、鶏小屋をきれいにして最新式のコンベヤーを導入しても意味がないのと同じです。 死にかけているニワトリを元気にすることが先決で、イノベーションだ、投資だと言う前に、まずは労働者の所得を増やして消費に回すような税制を考える必要があるはずです」
(経済評論家の斎藤満氏)
今回の企業減税について、自民党の甘利税調会長は「経済が拡大して大きな税収として国民に返ってくる」とか言っていたが、この期に及んでトリクルダウン理論とは恐れ入る。そんな詭弁で国民をまだダマせると考えているとしたら、大間違いだ。
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税制の前にやるべきことがある(甘利税調会長)/(C)日刊ゲンダイ |
18年度の税収を1990年度と比べると、法人税は約18・4兆円から約12・3兆円に減り、消費税は約4・6兆円から約17・7兆円に増えた。法人減税の分、国民の消費税負担は4倍近くに膨れ上がっているのだ。これでもまだ大企業に恩恵を与えるというのか。
それに、甘利は企業優遇を正当化して国民に負担を強いる前に、説明すべきことがあるだろう。大臣室で受け取ったワイロの件は、いつになったら説明責任を果たすのか。まさか、今回の法人減税も、ワイロで決まったわけではないはずで、しっかり説明して国民を安心させて欲しいものだ。
「ワイロと言えば、電力会社に対する法人事業税(都道府県税)の見直しを経産省などが求め、70年ぶりに課税方式が変更されて、実質的な減税措置が講じられることになりました。 関西電力の贈収賄疑惑などデタラメが明らかになり、東京電力の原発事故で今も多くの被災者が苦しんでいるのに、この減税措置は国民の理解が得られるかどうか。 今回の税制大綱では、高速データ通信を可能にする次世代通信規格『5G』のインフラ整備を支援する減税措置も導入していますが、これも疑問符が付く。 次世代通信の5Gは米国と中国が覇権争いをしていて、完全に出遅れた日本は2周遅れ状態なのです。 今さら投資しても挽回は難しく、通信各社に対する優遇でしかない。潰れそうな企業を救うためだけに終わるムダ金になる可能性があります。 政府の経済財政諮問会議のメンバーになっている企業など、特定の企業へのバラマキと見られても仕方ない税制改正です」(斎藤満氏=前出)
斎藤満氏によれば、OECD(経済協力開発機構)加盟国の賃金データを比較すると、この20年間あまりで時間給が如実に減っているのが日本だという。韓国が167%増、英国が93%増、米国は82%増。その中で日本はマイナス8%なのである。
実質賃金で見ても、日本は異常な減少傾向にある。97年を100として直近のデータを見ると、スウェーデンが約140、フランスと英国が130弱、米国とドイツが120弱と、いずれも増加。しかし日本は90にも届かず、この間に10%以上も減少しているのだ。
庶民の所得は一向に増えずに抑えつけられてきた上、10月には消費税が10%に引き上げられ、ただでさえサラリーマン生活は青息吐息なのに、来年1月からは会社員の「給与所得控除」を縮小する「サラリーマン増税」もスタートする。子育て世帯や介護を必要とする世帯を除いて、年収850万円超の会社員の所得税負担が増す。
自民は当初、年収800万円超の給与所得者の負担増を目指していたが、公明党の反対で850万円超になった。しかし、税制大綱には“所得税の見直しは今後も継続”とあり、次の段階では年収500万~600万円クラスの中間層が増税になる可能性が大きい。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「臨時国会で問題になった『桜を見る会』では、税金をまるでポケットマネーのように勘違いして、私物化する安倍首相の姿勢に国民の批判が集中しました。 税金が適切に使われているのか、きちんと説明できない政府に国民負担を強いる税制大綱を提示する資格が果たしてあるのでしょうか。 しかも、大企業を優遇してきたアベノミクスで国民経済が一向に上向かないことは、この7年間で実証されたのに、まだ国民からむしり取って、大企業優遇を続ける姿勢を鮮明にしたのが今回の税制大綱です。政権を支援してくれる大企業はお友達だから、大盤振る舞いする。 税の私物化はここでも歴然としています。血税の使途を適正化し、日本経済を正常化させるには、もはや政権交代以外に道がありません。早くこの政権を倒さないと、われわれ国民が倒れてしまいます」
消費増税の影響は深刻で、日銀短観の12月調査で、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は4四半期連続で悪化。
中小企業の景況感も全業種で悪化している。一刻の猶予もない日本にとって、安倍退陣が最大の景気対策だ。
【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2019/12/14 17:00 更新日:2019/12/14 17:00
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自己弁護ばかり(9日、会見に臨む安倍首相)/(C)共同通信社 |
狂い咲きの「桜」がまだ満開の中、臨時国会が9日、閉会した。安倍首相が自ら主催した「桜を見る会」を巡り、おびただしい数の疑惑を残したまま、幕引きしたのだ。
閉会日恒例の首相会見でも安倍は、冒頭発言で「桜を見る会」には一切触れず、記者からの質問もその話題に及んだのは全6問のうち1問だけ。
安倍は「長年の慣行で予算や招待人数が膨らんだ」と他人事のようだったが、招待人数が1・8倍、支出が3倍に膨らんだ例は過去にはない。
「長年の慣行」ではなく、自身の在任期間中の不始末なのに、安倍は「私自身の手で運用を全般的に見直す」とエラソーに言い放つのだから、どの口が言うのか。つくづく、恥も外聞もない首相である。
国会閉会で追及から逃れ、臭いモノにはフタの“逃げ恥”首相を守るように、自民党の森山裕国対委員長は「国民の理解もいただきつつあるのではないか」とトンデモ発言。
安倍が参院本会議で2度、桜疑惑に答えたことを挙げて「議論を重ねてきた」と強調したが、疑惑に真正面から答えず「議論を避けてきた」のは、どこのどいつだ。
それでも安倍周辺は「低俗な話はもう終わりだ」と豪語しているらしい。安倍1強の弊害をまざまざと見せつけられる思いだが、恐らく「あとは年末年始のドサクサで世間も忘れてくれる」という魂胆である。
この7年間はその繰り返しで、今回もうまくいくと踏んでいるのだろうが、そうは問屋が卸さない。“桜疑惑”が炸裂して以降、内閣支持率はジワジワと下落。
最新のJNNの世論調査で、支持率は前月比5・2ポイント下がり、49・1%と5割を割り込んだ。逆に不支持率は5・3ポイント増え、47・7%。その理由も明白だ。
桜を見る会に安倍の地元支援者が数多く招かれていたことについては「問題だと思う」が67%で、「思わない」の25%を上回った。
安倍の一連の説明も「納得していない」が実に72%に上り、「納得している」の15%を大きく上回った。
安倍の“逃げ恥”答弁に世論の大多数は閉口しているのである。
他の調査でも支持率はつるべ落とし。毎日新聞の調査(先月30日、12月1日実施)だと、10月の前回調査から6ポイント減の42%。共同通信(先月23、24日実施)でも支持率は48・7%と、10月の前回調査から5・4ポイント低下した。
相次ぐ支持率急落は、この間に嫌というほど見せつけられた卑しい権力者の人間性と無縁ではない。
本来なら各界の功労者を慰労する目的で国の税金を使う公的行事に、首相夫妻らの「身内」を1000人単位で招待。
悪徳商法の「巨魁」にまで招待状を送り、勧誘に手を貸す始末だ。
桜を見る会やその「前夜祭」での安倍の振る舞いには、公職選挙法や政治資金規正法、財政法に違反する疑いがある。
公金が実質的に首相の「地盤」の有権者対策に消えたのだから、由々しき事態だ。安倍周辺が言うような「低俗な話」では決してない。
むしろ、低俗なのは安倍自身である。これだけ法に抵触する恐れがありながら、平然と年々招待客を増やしてきた感覚は、常軌を逸している。
「自分にスリ寄って来る者だけを選び抜き、国の公的行事に招待し、彼らに囲まれて悦に入るとは俗物そのもの。いざ疑惑が浮上すると、国会審議から逃げ回るクセに、裏でこそこそ官邸詰の記者と会食し、懐柔を図る。
まさに俗も俗、俗物性の塊ですよ」(政治評論家・森田実氏)
俗物首相にとって「国会閉幕」こそが裏目となる。なぜなら支持率下落の理由は、こうして逃げ回ることに国民が嫌気を差しているからだ。
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もっと怒りを!(C)日刊ゲンダイ |
桜を見る会を巡る安倍政権の対応について、5日付の朝日新聞で「国の向上は終わり衰退が始まる」兆候と喝破したのは、早大教授の齋藤純一氏だ。
「競合する全勢力を抑え込み、すべてを自分と同じ鋳型に流し込むのに成功してしまうと、その国の向上は終わり衰退が始まる」――。
19世紀の英哲学者、J・S・ミルの「代議制統治論」の一節を引きながら、齋藤氏は〈「抵抗を受ける可能性のない人」は、「理性」を必要としなくなり、代わりにその「意思」を押し通すようになる。「間違っている」と告げてくれる人の話を聞けば、苛立ってしまう〉と説く。まさに野党の批判にイラ立ちまくる安倍の姿が目に浮かぶ。
官僚組織の忖度文化を生み出したのも、自身への異論を絶対に許さない安倍の不寛容さだ。この7年間、安倍官邸に歯向かった官僚には、必ず“みせしめ人事”がつきもの。
だからこそ、ひとたび俗物首相が窮地に陥ると、嘘も方便と開き直って官僚は必死でかばい続けなければいけないのだ。
こんな恐怖政治の下ではなるほど、安倍とその周辺だけが栄え、国が衰退してもおかしくない。
「官僚の忖度が蔓延した結果、不都合な文書の隠蔽、改ざん、捏造、廃棄が横行してしまったのです」と嘆くのは、法大名誉教授の五十嵐仁氏だ。
こう続ける。
「加えて今回は『委員の3分の1以上』から要求された場合、委員長は『委員会を開かなければならない』との国会のルールまで無視。予算委員会を開かず、議会政治を踏みにじりました。安倍首相も身の潔白を主張するなら、それを証明する招待者名簿のデータの探索を指示したり、ホテルから明細書を取り寄せればいい。それなのに、官僚にみっともない言い訳を押しつけ、逃げ回るから疑念は深まるばかり。森友問題では昭恵夫人、加計問題では“腹心の友”が疑惑のド真ん中にいましたが、桜疑惑の中心は首相本人です。逃げれば逃げるほど、支持率は下がり続けることでしょう」
国会を閉じたって、数々の疑惑が消えてなくなるわけではない。つまり安倍が逃げ回る限り、「桜」は散らないのだ。どのみち来年1月の通常国会が始まれば、予算審議のため、安倍は予算委に出席せざるを得ない。
これまで通り真正面から質問に答えず、クドクド、グダグダと説明すればするほど、さすがの国民もウンザリする。時にはヤジを飛ばし、逆ギレも交えれば、安倍を見放す。この先、支持率は下がっても、上がることはないだろう。
前出の森田実氏はこう言った。
「紀元前の古代ギリシャの哲学者・アリストテレスの昔から、政治家には3つの要素が求められています。 1つは倫理的に人並み以上に優れていること。 2つ目は知性の面で人並み以上に優れていること。 最後は国民を必ず幸せにするという愛です。 安倍首相にはこの3つの要素がひとつもない。 桜を見る会の疑惑にも、我が身第一で自分をかばうため、平然と開き直る。 そんな自己弁護首相を守るため、自民党も官僚組織も“安倍ファースト”で嘘八百を並べ立てるありさまです。 こんなヒドい首相の在任期間が憲政史上最長を更新するとは、歴史の珍事です。 国民はもっと怒るべきですよ。過去の竹下登内閣や森喜朗内閣のように、支持率を2桁どころか1桁台に下落させ、安倍政権を崩壊させなければいけません」
支持率が5、6ポイント減くらいでは、体面など気にしない厚顔無恥首相には屁のカッパ。かといって政治にうんざりして無関心になるのは、衰退が始まった日本にとって最悪の選択となる。
この国の衰退を止める意味でも「安倍ノー」の意思をハッキリと打ち出し、支持率1桁で目に物を見せるしかない。
【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2019/12/10 17:00 更新日:2019/12/10 17:24
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image by: 首相官邸 |
さまざまな「疑惑」が噴出し続けている総理主催の「桜を見る会」ですが、マルチ商法で多くの被害者を出したジャパンライフの元会長に対し、「総理枠」での招待状が発送されていたことが大きな話題となっています。
首相は「個人的なつながりは一切ない」としていますが、果たしてその言は信頼に値するのでしょうか。
元全国紙社会部記者の新 恭さんは今回、自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』で、明らかとなっている事実をもとに総理と元会長の関係を改めて洗い出すとともに、説明責任を果たそうとしない首相の姿勢を批判的に記しています。
実体のない事業を、あるように見せかけて、カネを集める悪徳商法は、いつか自転車操業の資金繰りが限界に達して破綻する。それを見越したうえ、隠し口座などにだまし取ったカネをためておき、幕引きの直前に“最後の荒稼ぎ”をするのが詐欺師の常套手段らしい。
磁気ネックレスなどの預託という詐欺商法で破綻したジャパンライフの山口隆祥元会長などはその典型といえよう。“最後の荒稼ぎ”にとって格好の宣伝材料になったのが、2015年の3月、「内閣総理大臣 安倍晋三」から送られてきた「桜を見る会」への招待状だった。
この招待状については昨年1月30日の衆院予算委員会でも、政界とジャパンラフの不透明な関係という文脈で問題視されていたが、今回の騒動で、あらためてクローズアップされたかっこうだ。
山口氏に届いた封書の中には、招待状のほか、受付票が同封されていた。当日、受付に渡すものだ。この受付票の左下に「60-2357」とナンバーが付されている。
共産党の田村智子参院議員に内閣府が渡した「仕様書」とやらで、招待者を区分するのが目的の番号と判明した。
「総理、長官等」が「60、61、62、63」となっており、順番からみて「60」は総理枠を示すはずだが、発送した内閣府は野党議員の問いに口ごもるばかりで、決して「そうです」とは言わない。それでも、「仕様書」が正真正銘、内閣府作成のものであることはしぶしぶ認め、総理枠であることを否定はしていない。総理枠でないのなら、間髪を入れず否定するはずだ。
「60-2357」の2357は、「60」で招待された人々につけられた整理番号だと「仕様書」に記載があり、総理枠の招待者がいかに多いかを推し量ることができる。これまで菅官房長官は総理枠1000人と発表してきたが、どうやら大嘘のようである。
ジャパンライフの山口元会長は、この招待状を受け取った時、どんなに喜んだことだろうか。被害を国民生活センターに訴える声が続出し、同社の経営は行き詰まりつつあったのだ。
高齢者をターゲットにしたビジネスだった。たとえば、100万円のネックレスタイプ磁気治療器を販売し、元本は償還期日が来れば返すと約束したうえ、それを預託させ、レンタルユーザーへの貸し出しで得られる年6%のレンタル料を配当として顧客に支払うというふれこみだった。
事業の実態はなくとも、新規顧客がどんどん増えているうちは、その販売収入を配当にあてることができるので、顧客はすっかり信用してしまった。 老後資金を銀行に預けているより、こちらのほうがいいと考えた顧客は、100万から始めても、やがて数千万、人によっては億単位で投資するようになった。
消費者庁は2013年ごろから、ジャパンライフを問題視していた。共産党の大門実紀史参院議員が11月29日の消費者問題特別委員会で明らかにしたところによると、消費者庁取引対策課の2013年10月の資料にこう書かれている。
取引対策課の担当職員から山下隆也課長に「ジャパンライフは被害が甚大になる可能性がある。本調査に移行すべきだ」と報告があった。
調査した結果、「経営が悪化しており早く対処しないと被害者にお金が返せなくなる」と判明、山下課長は2014年5月、部下に対策を急ぐよう命じた。
ところが7月4日に山下課長が異動し山田正人課長に替わったとたん、方針が変更された。「立ち入り検査を行うほどの違反事実はない。注意するだけでいい」という新方針。それが決まった会議で配布された文書の末尾に「政治的背景による余波を懸念する」と書かれていた。
政治的背景とは何を指すのか。消費者被害への対処に影響を及ぼすほどのものとは。 この方針転換がなければ、被害の拡大は防げたかもしれない。14年秋から形ばかりの行政指導がはじまったが、そのころにはかなり多数の顧客が配当金を受け取ることのできない状況だったと思われる。
それから数か月後に届いた安倍首相からの招待状なのである。山口元会長にしてみれば、これを利用しない手はない。招待状、受付票、安倍首相の顔写真に、「安倍晋三内閣総理大臣から山口会長に『桜を見る会』のご招待状が届きました」とコメントをつけたチラシとスライドを作成した。
山口会長はこの後、ひんぱんにパーティーを開き、スライドを見せながら、誇らしげに総理や有名政治家たちとの関係の深さを強調して販売攻勢をかけたという。 野党追及チームのヒアリングで、携帯電話を通じて証言した被害者は、安倍首相の招待状の“効能”を口々に語った。 「桜を見る会の招待状が来るほどの組織なんだと言われ、何の心配もなく、お金を足してゆき4200万円すべてなくなり、途方に暮れている」(東北地方の主婦)
「招待状が最高の判断材料になった。安倍さんや麻生さん、下村さんら、つねに政治家と情報のやりとりをしてると言って信用させてきた」(東北地方の男性)
それにしても、なぜ安倍事務所は山口元会長を推薦者リストに入れたのであろうか。 その一つの手掛かりは、山口元会長と、安倍首相の側近として知られる下村博文元文部科学大臣の関係だ。下村氏が代表を務める政党支部は2014年12月25日付でジャパンライフから10万円の献金をもらっていることが政治資金収支報告書に記載されている。
先述した通り、消費者庁が初めてジャパンライフに行政指導したのは14年10月~11月だから、ちょうどそのころの政治献金だ。 山口氏はマルチ商法の草分け的存在で、1983年、「健康産業政治連盟」という政治団体を旗揚げし、多くの国会議員に献金をばらまいて政界に顔をきかせた。国会の質疑で、中曽根康弘、山口淑子、村上正邦、二階堂進、山口敏夫といった有力政治家の名前が献金先としてあがっていた。
そうした政界工作は第二次安倍政権に至るまでずっと続いていて、下村氏だけでなく安倍首相に近い政治家とは、何らかの方法で関係を取り結ぼうとしていた可能性がある。大門議員によると、ジャパンライフ社の「お中元リスト」に、安倍首相、麻生太郎財務相、菅義偉官房長官らの名前が並んでいたらしいが、お中元、お歳暮ていどで済ませていたかどうか疑わしい。
「政治的背景による余波を懸念する」と記された参考資料でもわかるように、政権中枢とジャパンライフの関係に官僚たちが気を遣っていたのは確かである。 関連して不思議なことが一つある。2014年4月から15年2月まで消費者庁取引対策課の課長補佐としてジャパンライフを担当していた水庫孝夫氏が、その後、同社に天下りしたという事実である。
国民民主党の大西健介衆院議員は昨年1月30日の衆院予算委員会でこう指摘した。 「2014年の8月にこの課長補佐はジャパンライフに接触をして、定年後の再就職をお願いしている。同年9月、10月に行政指導をやって、まさにそのときに、担当しながら自分の定年後の職をお願いしている。こんなことで公正な取締りができるはずがない。初動で手心を加えた疑いがあるんじゃないか」
消費者庁は内閣府の外局である。内閣府は内閣官房を助ける行政機関であり、その職員が、狭量で鳴らす総理や官房長官の不興を買わないよう細心の注意を払うのは、ある意味仕方がない。つまり、消費者庁は政権トップの意向に逆らえない基本構造を持っている。
もし、正常に取り締まり機能が働いていれば、ジャパンライフに対して文書による行政指導だけではすまされず、行政処分がなされていただろう。であれば、たとえ安倍事務所の推薦があったとしても、山口元会長への招待状発送は食い止められたかもしれない。
ジャパンライフの被害者は約7000人、被害額は1800億円にのぼるといわれている。自転車操業を続けるなかでも、山口元会長はせっせと自分の懐にカネを貯め続けていただろう。 政治裏面史をひもといてみても、金のニオイのするところに政治家は集まるものである。有名なタニマチが思い浮かぶ。 かつて政界と大手石油会社をつなぎ、巨額のコンサルタントフィーを稼いでいた泉井純一氏は自著で「山崎拓へ2億7700万円、渡辺美智雄へ1億円…」など政治家への多額献金の実態を明らかにしている。
焼き鳥屋チェーンのオーナー、中岡信栄氏は、大阪から上京すると、ホテルオークラの最高級スイートルームに大金を持ち込んで宿泊。それを目当てに安倍晋太郎、竹下登ら大物政治家やエリート官僚らが続々とやってきた。北海道拓殖銀行が倒産した原因は中岡氏への巨額融資だったとさえいわれる。
むろん、安倍首相や菅官房長官、下村博文氏がコソコソとよからぬ付き合いをしていたと決めつける証拠はない。のちに「山口会長が会食し、ジャパンライフの取り組みを非常に高く評価していただきました!」と宣伝文に名を使われた加藤勝信厚労相も、彼の弁明する通り、一億総活躍担当大臣時代の勉強会と称する食事会に山口氏が参加していただけなのだろう。
だが、「60」の総理枠で山口氏が「桜を見る会」に招待されたという事実は、重く見なければならない。安倍首相の知らないうちに、永田町に名がとどろく札付きの人物を総理枠に含めたとすれば、よほど秘書たちが低脳ということになる。安倍首相の了解を得ていたと考えるほうが自然だ。
山口氏がらみで脛に傷を持つ政治家は、山口氏を無碍に扱えないに違いない。安倍首相がこの問題に関する集中審議の要求に応じようとしないために、ますます首相への疑惑が高まっている。
山口元会長は「桜を見る会」の招待状を信用の証として、2015年の春以降に、大々的に販売攻勢をかけた。それは、被害のさらなる拡大を意味した。 ようやく消費者庁が行政処分、業務停止命令に踏み切ったのは2016年12月のことだった。これ以降、2017年3月、11月、12月と、計4回の業務停止命令を受けた。
この間にも山口元会長は、ジャパンライフに権力のお墨付きがあるかのごとく見せるよう、腐心していた。2017年会社案内の役員一覧に、中嶋元特許庁長官、永谷元内閣府国民生活局長らの名が並んでいる。
稀代の詐欺師は、悪徳商法で巨万のカネを集め、被害者が増えていくのを横目に、政官界へ食い込んで、消費者庁の対応を遅らせ、ジャパンライフの延命をはかった。今年4月25日、特定商取引法違反容疑で、警察の家宅捜索を受け、破綻したが、私財を隠し持っている疑いはぬぐえない。当然、老後資金を奪われた被害者たちは全国各地で損害賠償請求訴訟を起こしている。
山口元会長への「桜を見る会」招待は、政官界とジャパンライフの腐れ縁の象徴である。私的な宴ではなく、公的行事である以上、招待した「内閣総理大臣 安倍晋三」は、ぶら下がり会見や本会議の官僚文書読み上げですませるのではなく、“一問一答形式”の予算委員会で誠実に説明責任を果たすべきである。
【出典】MAG2NEWS(まぐまぐニュース) 12/6(金) 5:00配信
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「費用は参加者の自己負担」と主張する安倍首相 ©共同通信社 |
「桜を見る会」とその前夜祭について、「週刊文春」は、安倍晋三首相の従来の説明と食い違う、新たな証拠を入手した。
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【新証拠画像】安倍首相が代表を務める第四支部宛の領収書 |
安倍首相は11月15日の会見で、自身の政治団体の収支報告書に前夜祭などに関する記載がないことを政治資金規正法違反(不記載)と批判する声に、こう反論していた。
「夕食会(=前夜祭)を含めて旅費、宿泊費などすべての費用は参加者の自己負担で支払われており、安倍事務所、安倍晋三後援会としての収入・支出は一切ない」
だが、今回「週刊文春」は、一枚の領収書を入手。そこにはこう明記されている。
〈¥890,710 但し、2015/04/17~2015/04/18 旅費として〉
これは、自由民主党山口県第四選挙区支部(以下第四支部)の収支報告書に添付された領収書で、第四支部が約89万円を「サンデン旅行」(山口県下関市)に支出したことを示している。サンデン旅行は安倍事務所と協力して「桜を見る会」ツアーを組んだ旅行会社であり、但し書きに記載された日付は、2015年の「桜を見る会」および「前夜祭」が行われた日付と符合している。ツアー参加者らの証言からは、参加者の接待のために地元事務所の秘書やスタッフがこぞって上京していたことが判明しており、この「89万710円」は、彼らが上京する際の旅費だったと見られる。
第四支部の代表は安倍首相。首相が前夜祭と桜を見る会のために上京するスタッフの旅費を出したのであれば、主体的に一連の行事にかかわっていた証拠といえる。
神戸学院大学の上脇博之教授が解説する。
「これらの行事に安倍事務所のスタッフが“政党支部″のお金を使って参加していたとすれば、問題はさらに深刻です。支部の代表は安倍首相ですから、れっきとした安倍首相主体の政治活動といえる。そうなれば、やはりツアーや前夜祭の開催について収支報告書に記載がないのは益々おかしい。また政党支部には税金が原資の政党交付金が支給されています。その使途について、支部の代表たる安倍首相は、きちんと説明する義務があります」
サンデン旅行の竹重秀敏社長を直撃すると「何も答えられない」。別の役員は「(旅費は)事務所の方が出張で飛行機に乗ったもの。宿泊費は入っていません」と答えた。
安倍事務所に質問状を送付したが、回答はなかった。
11月28日(木)発売の「週刊文春」では、安倍首相と報道各社の政治部官邸キャップとの懇談会の模様や、森喜朗元首相らと首相在職日数記録更新を祝った宴の詳細、また桜を見る会での集合写真を巡る疑惑などについて詳報している。
【出典】「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年12月5日号
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「関与」していた(C)日刊ゲンダイ |
「もっと国会で議論すべき大事なことがあるだろう」
「国家予算から見れば5000万円程度の事業で大騒ぎする話じゃない」
安倍首相主催の「桜を見る会」をめぐり、野党が政権を追及し続け、それをメディアが報じることに対して批判があるが、お門違いだ。
「桜を見る会」疑惑は嘘とペテンにまみれた安倍政権の本質を表す問題である。安倍晋三という政治家が総理大臣としていかにふさわしくないかを見せつけた、これほど分かりやすい事象はない。
単なる「長期政権の驕り」ではなく、平気で嘘をつく、イカれた男が首相をやっている、というすべての国民にとっての大問題なのである。
今月8日の参院予算委員会で安倍が「招待者の取りまとめには関与していない」と答弁してから2週間。
次から次へと矛盾が露呈し、安倍本人も官邸も霞が関もボロボロだ。安倍は20日の参院本会議で、事務所が「花見ツアー」への参加を地元支援者に広く募っていたこと、自身も推薦者について事務所に意見を言っていたことを、認めざるを得なくなった。
当初「関与していない」と言い切った神経には呆れるが、「虚偽答弁だ」と突っ込まれると、「最終的な取りまとめには関与していない」と詭弁を弄して言い逃れ。
訂正しても非を認めない感覚は常人の想像を超えている。
菅官房長官もメチャクチャだ。招待者に安倍昭恵夫人の推薦枠があった一件で、発言が二転三転。20日の衆院内閣委員会で、「昭恵夫人の招待枠もあるのか」という質問に、「ありません」と答えたのだが、同じ委員会で内閣官房の役人は「安倍事務所において参加者を募るプロセスで、夫人からのご推薦もあった」と、菅とは異なる答弁。
すると菅は「夫人は(事務所の)推薦作業には関与していない」とお茶を濁していた。
安倍後援会が主催した「前夜祭」の夕食会に関する疑惑でも菅はトンデモ発言。後援会が収支に関与しない「会費制」の場合、首相夫妻が会費未払いなら法律違反になる恐れがある、と21日の記者会見で指摘されると、「首相も夫人も食事をしていない」と屁理屈をこね、開き直ったのだった。
招待者名簿の廃棄についての内閣府官僚の「シュレッダー」答弁に至っては噴飯モノだ。共産党議員の資料要求と廃棄日が同日だったことで証拠隠滅が疑われると、「シュレッダーの順番待ち」で廃棄が遅れ、たまたま同じ日に重なったと説明。
電子データも同日に廃棄しているからシュレッダー答弁は言い訳にすらならないし、シュレッダーが高性能すぎて順番待ちになどならないことはちょっと調べれば、すぐバレる。
それでも、政府見解を崩さないためにはキテレツ答弁を繰り出すしかない官僚の苦しさ。異常異様としか言いようがない。
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)がこう言う。
「不都合なことが起きると毎度、嘘で取り繕う。安倍政権は国民に対しナメてかかっています。『桜を見る会』の問題は安倍首相が公金を使って、自身の関係者に利益供与したこと。どんな言い訳をしようが、公的行事を私物化した事実から逃れられません。『国会ではもっと議論すべきことがある』という批判もナンセンスです。政治倫理の問題であり、公職選挙法(有権者の買収)という法律の問題でもある。当然、国会で議論すべき疑惑です」
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嘘はすぐバレる(C)日刊ゲンダイ |
森友問題でもそうだったが、「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」なんて嘘をつくから、閣僚も官僚も安倍を守るため、発言との整合性を取ろうとして、どんどんデタラメになる。
その結果、起きたのが公文書改ざんや近畿財務局職員の自殺だった。だが、これほどのことがあっても、安倍には全く反省がない。
国会ですぐバレる嘘をつける首相。その嘘に周囲を従わせ、ツジツマ合わせを強いる首相。それがあからさまになっても恥じない首相――。
オツムの検査が必要なのではないか、と心配になるが、精神科医の和田秀樹氏はかつて本紙のインタビューでこう言っていた。
〈普通の家庭に育てば、「ウソをついてはいけない」と親から教えられる。安倍首相の場合は、「ウソをついてでも権力を維持することが大事だ。どうせ大衆はすぐに忘れる」と家庭で教えられてきたんじゃないでしょうか。そうでないと、あそこまで堂々とその場しのぎのウソや言い逃れを連発することはできません。良心や羞恥心の問題ですが、安倍首相にはそれがないのだと思います〉
恥の感覚がないのは、家庭や育ちの問題なのか。安倍の生い立ちを取材し、その人物像についての著書も出版している政治評論家の野上忠興氏はこう話す。
「安倍晋三研究で50人近い人に会って感じたのは、多感な時期に両親が選挙のため不在で、それが安倍さんの人間形成に大きく影響したのではないかということです。養育係だったウメさんが『宿題を“やったよ”というからノートを見ると真っ白だった』と言ったのが象徴的で、平然と嘘をつく。もっとも、普通は成長とともに『嘘をついてはいけない』ということを学ぶものですが、『自己愛』が強く、『自己防衛』が全てに優先される安倍さんは、そのまま大人になってしまった。その場しのぎのいい加減な答弁を繰り返すのも、恥ずかしいという気持ちより、自分を正当化することの方が大事だからです。安倍さんに付ける薬はありません」
何度も何度も見せつけられる嘘に国民も一種の麻痺状態に陥らされるが、元参院議員の平野貞夫氏は、「国会の冒涜を絶対に許してはいけない」と苦言を呈する。
国会の冒涜とは、つまり国民に対する冒涜である。
平野氏はこう続ける。
「『桜を見る会』の問題には、公職選挙法や政治資金規正法など精査していけばいくつもの違反がありますが、それ以上に重大なのは、安倍首相の度重なる虚言によって、議会の秩序が破壊されていることです。本来なら、衆院議長が職権で『懲罰』を要請するような問題なのです。議長が動かないなら野党は懲罰動議を出し、それが本会議に上程されないようなら、審議を止めてでも、国民に議会のありようを示すべきだと思います」
映画監督の三谷幸喜の最新作「記憶にございません!」は、中井貴一扮する首相が記憶喪失になったことで、過去に約束していた利権やしがらみから解放され、国民のために働く善良な首相に生まれ変わるというストーリーだ。
記憶をなくした首相が勝手なことをするため、それまで首相を操っていた邪悪な官房長官が慌てふためく様子などが笑いを誘う喜劇だったが、フィクションだから笑っていられるものの、現実の首相が「記憶にございません」さながら嘘をつきまくるのは悲劇でしかない。イカれた首相には、一日でも早く退場いただくしかない。
【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2019/11/23 17:00 更新日:2019/11/23 17:00
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「桜を見る会」を巡り、記者の質問に答える安倍首相(C)共同通信社 |
公金を使った買収という見方も出ている「桜を見る会」について、説明から逃げ回っている安倍首相が15日夕方、突然、官邸で記者団の質問に応じた。それだけ焦っているという証左でもある。来年の開催中止で「臭いものにフタ」を決め込んでみても、国民の疑念は膨らむ一方だからだ。
税金で催される観桜会に地元関係者を850人も招待して飲み食いさせた接待疑惑。その「前夜祭」と称する夕食会でも後援会関係者に高級ホテルで格安に飲食させ便宜を図った買収疑惑。さらには、この夕食会が政治資金収支報告書に記載されていないことも問題だ。
公選法と政治資金規正法のダブル違反が疑われている。
安倍は夕食会について、
「いわば後援会の皆さんが集まればですね、それは広い意味での後援会活動なんだろう」と認めたが、「会場の入り口の受付にて安倍事務所職員が5000円を集金をし、ホテル名義の領収書をその場で手交し、集金した全ての現金をその場でホテル側に渡すという形で参加者からホテル側への支払いがなされた、ということであります」「そこで入ったお金をそのままホテルに渡していれば、収支は発生していないわけでありますから、政治資金規正法上の違反にはまったく当たらないということであります」
と弁明。
5000円という安すぎる価格の“差額補填疑惑”に関しては、「ホテル側が設定した価格」とホテルに責任を丸投げで、自身に違法性はないと強調した。
それが事実なら、最初からそう説明すればいいのに8日の参院予算委で疑惑を追及されて以降、観桜会をめぐる政府の説明は二転三転してきた。
政治資金に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏がこう言う。
「今回の説明で納得する国民はいないでしょう。後援会の活動であれば当然、政治資金収支報告書に記載する必要がある。ホテル名義の領収書を用意してもらったのは、報告書に記載しないための偽装工作にも見えます。領収書に『飲食代』『会場利用費』などのただし書きがないのも不自然です。それに、食事代が1人5000円だったとしても、数百万円とされる宴会場の貸し切り料金は誰が支払ったのか。会場費の不記載に問われる可能性があります。さらに言えば、仮に首相の説明通り、通常は1万円以上する食事代をホテル側から5000円にすると持ちかけたとすれば、半額以上の割引は社会通念上許される範囲を超えており、現物供与の寄付行為にあたるでしょう。本来は政党への寄付しかできない一企業が首相個人や政治団体に献金したことになり、違法です。名門ホテルの看板に傷がつきかねません」
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巨悪を眠らせた検察(C)日刊ゲンダイ |
何があっても「私から働きかけたことはない」と現場の“実動部隊”のせいにするのは安倍の常套手段だが、老舗ホテルの威信まで巻き込んで、どう落とし前をつけるつもりなのか。
「こんなの誰がどう見たって公選法違反ですよ。夕食会の差額は官房機密費で補填したのか、政党交付金から拠出したのか知りませんが、政府主催の観桜会を私物化し、大掛かりな選挙事前運動に悪用していたのです。同じ公選法違反の疑惑で菅原前経産相や河井前法相が閣僚をクビになったのだから、安倍首相もクビにならなければおかしい。公金を使った買収なんて前代未聞です。捜査当局は、こんな明白な違法行為が白昼堂々と行われているのに、見逃す気なのでしょうか」(政治評論家・本澤二郎氏)
疑惑の花見は「不適切でも違法ではない」「夕食会のカネは一時的に預かっただけだから収支にあたらない」――。安倍の発言は、福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていた関西電力幹部の言い訳とそっくりだ。
その関電疑惑でも、捜査当局はまったく動く気配がない。背景には、関電が検察幹部の天下り先になっているという醜悪な事情がある。金品受領問題を解明する第三者委員会の委員長に就任したのも、元検事総長の但木敬一弁護士という茶番劇である。
発売中の「月刊日本」11月号で、元東京地検特捜部検事の郷原信郎弁護士が関電と関西検察OBの「深い関係」を解説している。
<関電の社外監査役を長年務めていたのは、「関西検察のドン」と称された土肥孝治元検事総長です。その後任として社外監査役に就いたのも、元大阪高検検事長の佐々木茂夫弁護士です>
<関電の調査委員会で委員長を務めていた小林敬弁護士も、元大阪地検検事正です>
<こうした事情を踏まえれば、大阪検察の幹部たちが自らの退官後の処遇を考え、関電への捜査を躊躇しているとしても不思議ではありません。巨額の金の動きを伴う重大事案が表面化しているのに全く動こうとしない検察を見れば、そのような疑いを持たれても仕方ないでしょう>
その上で、こんなことがまかり通れば関電だけでなく検察への不信感も高まり、モラルの根本が崩壊してしまうと警鐘を鳴らしている。
「大阪地検の堕落は目に余りますが、観桜会の疑惑に切り込まない東京地検も、また石看板にペンキをかけられる事態になりかねません。第2次安倍政権で官邸の力が強くなり、法務・検察官僚も官邸を忖度するようになった。人事を握られ、出世のためには悪事に目をつむるのです。モリカケ問題でも首相夫妻の疑惑には触れようとせず、悪事を働いた役人も無罪放免にした。大臣室でワイロを受け取った甘利元経済再生相や加計学園から闇献金を受けていた下村元文科相もおとがめなしで、マトモな立件はひとつもありません。首相と親しければレイプ疑惑まで見逃されてしまう。法の下の平等がすっかり歪められています。国民が大量議席を与えた結果、安倍官邸の権限が増大して、司法も意のままに操れると、やりたい放題がまかり通っている。それがおごりにつながり、悪人天国になってしまいました」(本澤二郎氏=前出)
森友学園の籠池前理事長のように、安倍政権に批判的な言動をすると即座に身柄を拘束されるのに、お仲間は何をやっても罪に問われず、忖度官僚が出世する。善悪ではなく、安倍との関係性で物事が決まっていく。その延長に花見疑獄もある。
野党は国会での説明を求めているが、安倍は「国会のことは国会がお決めになる。その上で、政府としては、国会から求められれば、説明責任を果たすのは当然のことだろうと思っています」と繰り返すばかり。官邸のぶら下がりで一方的に言いたいことを言うだけだ。
モリカケ疑惑でも、証人喚問などは「国会でお決めになること」と言い続けて逃げ切ったが、いま問われているのは「政府」ではなく安倍個人の問題だ。支援者への便宜供与や夕食会の疑惑を払拭したければ、安倍自身が説明するしかない。
菅原、河井の辞任については、国会で任命責任を追及された時は「政治資金に関わることなどについて、あるいは公選法に関わることについては、これは大臣の職にある者、あるいはそうじゃない者、与党野党にかかわらず、そういった指摘があれば、その指摘に対して説明責任を果たしていかなければならない」とか何とか言って、個人に責任をかぶせていたが、いざ自分に降りかかってくると、政府の責任にスリ替えてしまう。このご都合主義には呆れるほかない。
与党が数の力を握る国会では予算委の集中審議にもなかなか応じようとしないし、役人も資料を隠蔽してしまう。嘘つき首相のはぐらかし答弁で時間切れにされるのがオチで、国会内での真実究明は難しいのが実情だ。
となれば司直の手に委ねるしかないように思うが、肝心の捜査当局が腐敗しきったこの国では、もはや正義のメスなど望むべくもない。
【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2019/11/16 17:00 更新日:2019/11/16 17:00
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イギリスの新聞紙「Times」がNHKの内部文書を暴露しました。Timesが暴露した文章によると、NHKは安倍政権から南京大虐殺や慰安婦問題などへの言及を禁止されていたとのことです。安倍政権側はNHKに強く日本の保守的な民族主義と政府の立場を反映するように命令し、NHKもそれに従っていたと報じられています。
Timesは「イギリスでは話題になっている情報も取り上げられない」と述べ、安倍政権とNHKが癒着していることの問題性を指摘しました。
安部首相が政権を取ってから真っ先にやったことがNHKへの脅しだったので、今回の件も予想通りだと言えます。そして、この内部文章のお陰で、日本政府が南京大虐殺や慰安婦問題などを誤魔化そうとしていることが改めて分かりました。前に外務省がホームページの慰安婦関連の記述を削除するということがありましたが、これも政府の方針と何か関係がありそうです・・・。
☆ Japan’s ‘BBC’ bans any reference to wartime ‘sex slaves’
URL http://www.thetimes.co.uk/tto/news/world/asia/article4239769.ece
「引用」:
A ban on reference to the Rape of Nanking is seen as a surrender of editorial independence by Japan’s public broadcaster, NHK
Japan’s public broadcaster, NHK, has banned any reference to the notorious Rape of Nanking, to the country’s use of wartime sex slaves, and to its territorial dispute with China, in what critics see as a surrender of its editorial independence.
日本公共放送(NHK)は戦時慰安婦、中国との領土問題、悪名高い南京大虐殺への言及を禁止されていることが分かりました。英タイムズ紙が入手したNHKの内部文書によると、 英語記者が注目しているトピックについて厳密なルールがあるといいます。 規制は安倍総理が日本の保守的な民族主義と政府の立場を反映するように指示しているようです。
:「引用終了」
【出典】2014/10/18 Sat. 19:00:19 真実を探すブログ
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【出典】2014/10/18 Sat. 19:00:19 真実を探すブログ |
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バカ丸出し!(C)共同通信社 |
〈これってポエムだろう〉〈必死に笑いをこらえるプーチンの表情が「笑ってはいけない」の出演者とソックリだよ〉――。5日、ロシア極東ウラジオストクで開催された国際会議「東方経済フォーラム」に出席した安倍首相の演説に対し、ネット住民が呆れ果てている。
全体会合で行われた安倍首相の演説はざっとこんな内容だった。
「ウラジーミル。君と僕は、同じ未来を見ている。行きましょう。ロシアの若人のために。そして、日本の未来を担う人々のために。ゴールまで、ウラジーミル、2人の力で、駆けて、駆け、駆け抜けようではありませんか。歴史に対する責任を、互いに果たしてまいりましょう。平和条約を結び、両国国民が持つ無限の可能性を、一気に解き放ちましょう。そのほとんど次の刹那、日本とロシアの連結は、地域を変える。世界を、大きく変え始めるでしょう」
領土問題を抱える相手国のトップを「君」と親しみを込めて呼び、すがるような目をしながら「同じ未来を見ている」「2人の力で駆け抜けよう」と呼び掛ける。ほとんど“青年の主張”のような演説で、領土返還を迫る“迫力”はどこにもなかった。
笑いをこらえたかのように見えたプーチン大統領には、北方領土の返還が絶望的となった安倍首相が「空想の世界」に逃げた――と見えたのではないか。
そもそも、プーチンが日本との前提条件なしの平和条約締結を呼びかけたのは、ちょうど1年前のこの会議だった。プーチンの挑発的な発言を真に受けた安倍首相は、歴代政権が積み上げてきた「4島の帰属問題を解決」という従来の日本政府の方針を勝手に転換して「2島返還」に舵を切り、3000億円もの経済協力まで約束した。ところが、結局、日ロ交渉は1ミリも進展しなかった。
マトモな国なら、だまされたことに気づき、ひとまず距離を置くものだ。ところが安倍首相は、「プーチン大統領と27回目の首脳会談」などと大はしゃぎで会議に出掛け、プーチンが色丹島に完成したロシア産・水産加工場の従業員をTV電話で激励する姿を見ても直接抗議はせず。その揚げ句のポエム演説だったから、ネット住民が大騒ぎするのもムリはない。元外務省国際情報局長の孫崎享氏はこう言う。
「ロシアは北方4島に対するプレゼンス(存在感)を強める姿勢をますます鮮明にしていて、日ロの領土問題は間違いなく後退したと言っていい。現実的な解決策が見つからないため、演説がスローガン的な内容になる。(ポエム調は)交渉行き詰まりの証左とも言えるでしょう」
安倍首相が韓国叩きに走るワケだ。
【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2019/09/07 14:50 更新日:2019/09/07 14:50
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【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2019/09/07 14:50 更新日:2019/09/07 14:50 |
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拉致問題でもウソばかり(C)共同通信社 |
総理大臣の在任日数が6日で2720日となり、歴代3位の伊藤博文と並んだ安倍首相。官邸で記者団に対して「約束をした一つ一つの政策をしっかりと前に進めていくことでその責任を果たしていきたい」とコメントしていたが、チョット待て。国民との約束を「前に進める」どころか、内政も外交も何ひとつ守っていないのが現実ではないのか。
そもそも歴代ナントカとか威張っているが、独裁を避けるために党則で決めていた総裁任期「連続2期6年」を、安倍自民は「連続3期9年」に変えた。
過去、そんな自分勝手な首相はいなかったのだから在任期間が長くなるのは当然。総理を長くやればいいってもんじゃないのは言うまでもないが、安倍首相の場合は反故にしている約束を挙げればキリがない。
「拉致問題は、安倍政権の最重要課題」「最後のひとりまで救出をやり切る」
安倍首相は事あるごとにこう強調してきたが、いまだに1ミリも進展していない。「対話のための対話は必要ない」と拳を振り上げていたものの、韓国や米国、中国、ロシアが次々に北と首脳会談を持ち、日本はすっかり蚊帳の外。
今になって「前提条件なしの首脳会談をする」とか言いだしたが、北には「厚かましい」と一蹴される始末だ。
「戦後外交の総決算に取り組む」「領土問題の解決をレガシー(政治的遺産)にしたい」
拉致問題と同様、「北方領土問題の解決」もヤルヤル詐欺だ。「総決算」どころか、ロシアに足元を見られて「ロシアの主権を含めて第2次世界大戦の結果を認めろ」などと条件を吊り上げられているから最悪だ。
「前に進める」どころか、「どんどん後退」が現実だ。
「最後のおひとりに至るまで、すべて記録をチェックし、保険料をまじめに払っていただいた方々に正しく年金をお支払いしていく」「1年以内に名寄せを行い、突き合わせを行う」
消えた年金問題を受け、第1次政権でこう叫んでいた安倍首相だが、名寄せが難しくなった途端にウヤムヤに。「100年安心」と喧伝していたにもかかわらず、保険料は右肩上がりで、受給金額は減る一方。
受給開始や保険料支払期間の年齢を引き上げる議論ばかりが先行し、しまいには金融庁が年金だけじゃ老後生活は持たないから、2000万円貯めろ! ときたもんだ。これで「約束を守っている」とはどのツラ下げて言っているのか。
「私が責任者となって前面に立ち、必ず解決いたします」
東京五輪招致のために「アンダーコントロール」と大嘘をつき、責任者になるどころか、解決の前面にも立っていない。選挙前になると福島に出掛けるが、選挙が終われば知らん顔。汚染水のダダ漏れは今も懸念が拭いきれず、メルトダウンした核燃料デブリを取り出す時期も手法も見えないのに、事実上、ホッタラカシだ。
他にも「GDP600兆円」「目標出生率1・8」「介護離職ゼロ」……など、ウソばかり。「丁寧に説明する」と丁寧に言うだけで、一切説明しない。
伊藤博文は明治憲法を制定し、2位の佐藤栄作は沖縄返還を実現したが、安倍首相がやったことと言えば「公文書の捏造・改ざん」「統計偽装」だ。
こんな男が首相に居座り続けていること自体が狂っているとしか思えない。
【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2019/06/08 15:00 更新日:2019/06/08 15:00
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もはや修復不能(河野外相とラブロフ外相)/(C)ロイター=共同 |
どうやらカンカンのようだ――。安倍首相が「領土問題を解決して平和条約を締結する」と表明していることに、ロシアのラブロフ外相がブチ切れている。
もはや“牽制”というレベルを超え、ほとんど安倍首相のことを“ウソつき”呼ばわりだ。
ラブロフ外相は、ベトナムと中国の歴訪前に、両国メディアのインタビューに答え、24日にロシア外務省が公表した。
安倍首相は6月に平和条約の枠組み合意を目指しているが、ラブロフ外相は「誰も一度も、枠組み案など見たことがない。日本側が何を考えているか、私には分からない」と一蹴。
安倍首相が北方領土を含む平和条約締結問題に「必ず終止符を打つ」と意気込んでいることについて、こうこき下ろした。
「正直言って、その確信がどこから来ているのか分からない。プーチン大統領も私も、他の誰も、そうした発言につながる根拠は与えていない」
要するに「何も決まっていないのに、なに勝手なこと言ってんだ!」ということだ。
筑波大の中村逸郎教授(ロシア政治)が言う。
「ラブロフ外相は、これまでも4島の主権や北方領土という呼称について発言してきましたが、今回は質が違います。『勝手に話を作るな』と言っているに等しい。ロシア側が一切根拠を与えていないのに、平和条約締結について、確信に満ちて語る安倍首相の姿勢と人格を批判しているのです。安倍首相があまりにも話を盛り、しかも繰り返して口にするので、さすがに堪忍袋の緒が切れたのでしょう」
さらにラブロフ外相は畳みかけた。
「日本は米国主導の反ロ的な国連決議には賛成するのに、ロシアの提案には反対か棄権ばかり」
「5月のトランプ大統領訪日時、ロシアとの平和条約もテーマだという。日本にそこまで独立性がないとは、(呆れて)何も言えない」
中村教授が続ける。
「日本では、ラブロフ外相に“強硬論”を言わせて、最後はプーチン大統領がうまくまとめるという見方がありますが、違うと思います。日本人は自分たちに都合よく解釈しすぎです。2人のスタンスは同じでしょう」
安倍首相は25日、ラブロフ発言について「いちいち反応するつもりはない」とダンマリ。国民は現実を直視した方がいい。
【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2019/02/26 14:50 更新日:2019/02/26 14:50
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術中にはまった(C)ロイター |
19年はいよいよ“外交の安倍”の化けの皮が剥がれる年になりそうだ。安倍は北方領土返還に総力を挙げる方針のようだが、1ミリも前進しない可能性が高い。
ロシアとの平和条約交渉は年明けから本格化。1月下旬に安倍が訪ロし、25回目の日ロ首脳会談に臨む。1956年の日ソ共同宣言を基礎とするのがロシアの立場で、ここがミソだ。歯舞群島と色丹島を引き渡すとの明記があるが、主権には触れていない。筑波大教授の中村逸郎氏(ロシア政治)は言う。
「年末恒例の大記者会見でのプーチン大統領の発言が交渉姿勢のすべてを物語っています。平和条約は経済協力を引き出すまき餌に過ぎず、そもそも返還に応じる気はない。だから主権移譲が書かれていない共同宣言を持ち出し、交渉を複雑化させているのです」
プーチン大統領は返還後の米軍基地配備に警戒感をあらわにしてきたが、大規模会見でも「日本がどの程度主権を持っているかわからない」と指摘。辺野古新基地建設の強行を挙げ、「知事が反対しているが、何もできない。人々が撤去を求めているのに基地は強化される」と言及した。
「在日米軍が撤退しない限り、条約締結はないとハードルを上げたのです。日米同盟の強化に動く安倍首相がこの難題を解決できるわけがない」(中村逸郎氏=前出)
安倍が最重要課題に掲げる北朝鮮による拉致問題も進展しそうにない。金正恩朝鮮労働党委員長にガン無視され続け、面目丸潰れだ。北村滋内閣情報官を密使に使い、水面下交渉に躍起になっているが、まったく相手にされていない。
「北村氏のカウンターパートは本来、金正恩氏の側近の金英哲党副委員長です。彼が出てこないのは、メリットがないとの判断からです。北朝鮮は米中ロ韓しか視野に入っていないのです」(南北外交関係筋)
安倍が人気取りに利用してきた“2大外交”は瓦解している。
【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2018/12/31 06:00
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安倍首相(C)日刊ゲンダイ |
「安倍晋三首相の政治手法は、ますます、その場限りを切り抜けようという刹那主義に陥っている」と、ベテラン野党議員が批判する。
「言葉の言い換え、すり替え、言い逃れ、ごまかしばかりで、まともな議論はゼロ。 国民もいい加減、その本質を見抜いているのではないか」と。
北方領土では、本当は「2島ポッキリ」で、国後・択捉は結構ですという路線なのに、それを「2島プラスアルファ」と言いくるめて、まだ先に何かありそうな幻想を抱かせる。
改憲では、正面切った論戦を避け、「9条1、2項はそのままで、3項を付け加えるだけだから、これなら護憲派の皆さんも反対できないでしょ」という超フォークボールで野党の空振り三振を狙う。
「これから焦点になるTAGも同じ」と同議員が指摘する。
「そもそも英語の原文では『物品並びにサービスを含むその他の重要分野についての通商協定』となっているものを、その頭の部分だけ切り離して『TAG』という略語を捏造し、それを国内向けには『物品貿易協定』と翻訳し、だから日米の包括的なFTAではないのでご安心をと説明している。こうなるともう“言葉遊び”の度が過ぎて、口から出任せの詐欺師の手法だろう」と怒っているのだ。
しかも、この安倍の詐欺師ぶりは間もなく明るみに出そうである。
マスコミではほとんど注目されていないが、米政府はすでに、日本が言うところのTAG交渉で来年早々から徹底的に日本を攻め立てる材料集めを始めており、12月6日に連邦政府の国際貿易委員会(ITC)が開いた公聴会では、全米自動車労組(UAW)代表が、「トランプ大統領が提起している車の輸入関税以前に、日本政府が輸出に有利なように円安誘導をしていることが問題で、それに対する強制力のある措置が必要だ」と主張した。
さあこれは大変で、TAGが単なる「物品貿易協定」でないことがたちまち明らかになる。それだけでなく、政府・官邸主導の円安・株高誘導作戦と日銀による国債市場制圧とによって、為替・株式・債券の3大市場を国家管理下に置いて景気がいいかのように見せかけていた、アベノミクスという安倍政権最大の詐欺話の嘘がバレることにつながっていく。
「嘘も方便」と言うが、それには当然、笑い話で済む限度があり、安倍はその限度をとっくに超えている。
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高野孟
ジャーナリスト 1944年生まれ。
「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。
主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。 |
【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2018/12/13 06:00
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【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2018/10/31 06:00 |
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国の根幹が見るも無残に壊され(C)日刊ゲンダイ |
安倍首相が官房長官時代に発表した「美しい国へ」と題した政権構想を焼き直し、「新しい国へ」を発表してから6年。この国は恐ろしいほど変貌を遂げてしまった。その変貌は表に見えていたものと、気が付いたらそうなっていたものがある。ここが安倍政権の狡猾なところだ。国民はのんきにお笑い番組を見ているうちに、国の根幹がすっかり変化してしまったのである。
国民監視を強める盗聴法改正に始まり、基本的人権や知る権利を踏みにじる特定秘密保護法、集団的自衛権の行使を容認する安保法。憲法学者をはじめとする専門家の反対を歯牙にもかけず、世論の大反発も無視。現代の治安維持法といわれる共謀罪法も数の力で押し通した。
防衛予算はすでに6年連続で増大し、19年度は過去最大の5兆2986億円に膨張する見通しだ。トランプ大統領に脅され、米国製高額兵器を爆買い。安倍がなし崩し軍拡の口実に利用してきた北朝鮮危機は収束に向かいつつあるにもかかわらず、陸上配備型迎撃ミサイルのイージス・アショアの配備は着々だ。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)が言う。
「政治的な目的といい、それを実現する手法といい、安倍政権は民主主義、立憲主義に反しています。選挙では有権者に耳当たりのいい公約を訴え、選挙に勝った途端、選挙期間中はおくびにも出さなかった法案を次々に出してくる。しかも、法律をつくる前提となる立法事実はデタラメばかり。世論や野党の反対には耳を貸さず、ウソを並べ立て、ロクに議論を重ねず、数を頼りに強引に法案を通す。自民党の支持基盤である財界の強い要望でゴリ押しした働き方改革関連法では、データ捏造がバレて裁量労働制拡大は頓挫しましたが、高度プロフェッショナル制度は通った。残業代ゼロで働かせ放題の高プロはまさに過労死促進法で、労働者保護の法規制が奪われた。憲法が保障する国民主権、平和主義、基本的人権をひっくり返すような政治が数の力を背景にゴリ押しされてきたのです」
そうやって、なし崩しに憲法を破壊してから、現実に合わせるように憲法改正に動く。ここも、安倍政権のずるさだ。連続2期6年までだった自民党総裁任期を3期9年に延長し、圧力と恫喝で3選を果たした安倍は、党人事であからさまな改憲シフトを敷いて、改憲の動きを加速化させるようにせっついている。
側近の下村博文元文科相を憲法改正推進本部長、新藤義孝元総務相を衆院憲法審査会筆頭幹事に就けて尻を叩きまくっているという。腕まくりの下村は全国の各選挙区支部に「憲法改正推進本部」の設置を文書で要請。改憲を訴え、安倍政権を支える右派組織「日本会議」との連携も示唆した。
そんな中、露骨だったのが週末の11日、ゴールデンタイムに2時間枠で放送された「超スゴ!自衛隊の裏側ぜ~んぶ見せちゃいます!」(テレビ東京系)だ。陸海空の全面協力で最新装備のほか、海洋進出を強める中国を念頭に3月に発足した陸自の水陸機動団の活動を紹介。
ブルーインパルスのおっかけ女子まで登場させて、全編自衛隊のPR番組に仕立てたのである。女優の夏菜とお笑い芸人の博多華丸・大吉は、自衛隊の奮闘VTRに「スゴイ!」「スゴイ!」を連発。閉めは華丸の「本当になんか憧れる職業」というコメントだったが、ついにここまで来たかと嘆息した国民も多かったのではないか。
安倍政権の6年弱でテレビもすっかり、安倍色に染まってしまった。こうした番組を何の違和感もなく、見ている国民も国民だ。なし崩しのような軍備強化、国民向けのプロパガンダ、戦争に対する警戒感がすっかり、消え去ってしまったかのように見えるのだ。
その一方で、安倍は自身が疑惑のド真ん中にいるモリカケ問題からはいまだ逃げ回っている。森友学園問題では、安倍の国会答弁を契機に財務省は民主主義の根幹を破壊する公文書改ざんに走った。
国家戦略特区を利用してオトモダチが切望する獣医学部新設をかなえた加計学園問題を巡っても、内閣人事局を通じて官邸に生殺与奪を握られた官僚が裏で走り回った。都合の悪い情報のヒタ隠し。こうして、安倍流の国家改造がどんどん進んでいる。こんな政権にやられっぱなしでいいのか。
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安保法の強行採決で暴走に拍車(C)日刊ゲンダイ |
構造改革で日本をおかしくした小泉政権の後を継いだ安倍は、第1次政権発足時の会見で、「まず初めに、はっきりと申し上げておきたいことは、5年間小泉総理が進めてまいりました構造改革を私もしっかりと引き継ぎ、この構造改革を行ってまいります」「私は、この構造改革をむしろ加速させ、そして補強していきたいと考えております」と言い切った。
その言葉通りに、売国が進んでいることにも目を向けなければならない。
米や麦、大豆の安定供給を国費で担保してきた種子法が4月に廃止され、外資参入の扉が開いた。麻生財務相が国際公約した水道事業を民営化する水道法改正案も今国会での成立が確実視。安倍は「移民政策は取らない」と断言しながら、事実上の移民受け入れを急ピッチで進めている。出入国管理法改正案の本格審議がきょう(13日)の衆院本会議から始まった。
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)は言う。
「保守を標榜する安倍首相は口では愛国を訴えますが、やっていることは売国そのもの。入管法改正案は安価な労働力確保を求める財界の要望の丸のみですし、無計画な外国人労働者の流入は賃金を押し下げる懸念があります。種子法廃止で国の礎ともいえる食材のタネを守らず、国民生活の生命線ともいえる水道の民営化で公共財を切り売りしようとしている。新たな利権を生み出すために規制緩和を推し進めるのは、新自由主義そのものです。安倍政権が恐ろしいのが、国民に政策への賛否を問わず、国会でまともに議論もせず、世論の理解も得ないままにやりたい放題を続けていることです」
米国隷従も加速している。トランプに押し込まれたカジノ法案はスピード成立。輸入自動車への高関税措置で揺さぶりをかけられ、来年1月中旬から日米通商協議が本格化する。安倍はTAG(物品貿易協定)交渉と強弁しているが、その実態は紛れもないFTA(自由貿易協定)だ。
異次元緩和で円安・株高を演出したアベノミクスもハナからデタラメ。金融緩和から引き締めに転じるタイミングを探っていたFRB(米連邦準備制度理事会)のプレッシャーに負けて動かざるを得ず、その結果が今の泥沼である。
マイナス金利で収益悪化に追い込まれた金融機関では不正が横行。年金まで鉄火場に突っ込まれ、国民の虎の子は蒸発しつつある。
その上、国民生活の基盤を壊す年金改革法で将来世代の給付カットを確実にし、改正介護保険法で利用者や家族の負担増を強いた。
現在進行形で国の形が変えられていることをどれほどの国民が気づいているだろうか。この5年半あまりで大メディアはすっかり骨抜きにされ、まともにニュースすら流さないのだから、絶望的な気分になる。
「大手メディアの報道姿勢は国民の知る権利に応えないばかりか、安倍政権の片棒を担ぐ御用機関に成り下がっていると言っていい。官邸の意向を垂れ流し、ヨイショ報道のオンパレードで、国民の暮らしを破壊する悪政の本質を知る機会を奪っている。問題を隠すよりも悪質です。中間選挙後のトランプ大統領の会見でCNNの記者が食い下がっていましたが、あれが権力を監視するメディアの本来のあり方です。彼が毅然とした態度で臨んだのは、事実を知りたいという国民の思いを背負っているからでしょう。メディアがおもねれば、安倍政権の暴走を許すことになってしまう」(法大名誉教授・須藤春夫氏=メディア論)
国民の暮らしと生命を守り、生活を向上させる。安倍政権が延命する限り、こうしたまっとうな政治が行われることはない。
【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2018/11/13 17:00 更新日:2018/11/14 01:31
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わたしはこれで記者を堕落させた 「機密費」で接待、「女」も用意
平野貞夫・元参院議員に聞く
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マスコミ扇動と虚報
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売文婦マスコミ=くず同然のマスメディア
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【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2018/10/31 06:00 |
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“ネタ切れ感”/(C)日刊ゲンダイ |
ようやく臨時国会が始まったが、安倍首相は所信表明演説からコケている。“やってる感”を演出してきたスローガン政治が、“ネタ切れ感”に変わったからだ。世論の半数超が反対する改憲案の国会提出をわめく前に、掲げた政策の大半が失敗していることを反省するのが先だ。
国土強靱化を掲げて公共工事を増やしても、西日本豪雨で愛媛の肱川は氾濫。農林水産業を活性化させると言いながら、TPP11や日欧EPAで農産物関税は大幅引き下げ。いくらTAGだと言いつくろっても、日米FTA交渉ではそれ以上を求められるのは必至だ。全世代型社会保障もメチャクチャ。待機児童は3年連続で増加する一方で、株式運用で公的年金はヨタヨタ。支給開始年齢を70歳に引き上げて帳尻合わせ。これでは死ぬまで働けと迫っているも同然だ。
“デフレ脱却”のアベノミクスはついに口にしなくなり、女性活躍の“目玉”の片山さつき地方創生相に口利きワイロ疑惑が浮上。1億総活躍社会の裏で官公庁では障害者水増し雇用が横行する。「生産性革命」は残業代ゼロで働かせ放題の高度プロフェッショナル制度の導入だ。
モリカケ問題から逃げ回る安倍の下、「全員野球内閣」の本領発揮とばかりに閣僚らの不祥事が噴出している。「政治とカネ」の問題は片山にとどまらず、宮腰沖縄北方担当相、渡辺復興相、柴山文科相、平井科学技術担当相、工藤国交政務官と、まさに「全員野球」で不正疑惑だ。この内閣には腐臭が漂っている。
野党は安倍政権が掲げた政策を一つ一つキッチリ検証し、安倍がいかにフェイクな印象操作に終始しているかを暴くことが不可欠だ。公文書やデータを改ざんしてもおとがめナシ。失言や暴言を吐き散らしても責任を問われない。日本の社会を根底から破壊するありさまを徹底的に追及し、白日の下にさらしてもらいたい。
安倍は改憲と同時に愛国心を育てる教育改革にも固執している。世論の反発が強い道徳の教科化は小学校で今年度から始まり、中学校は来年度からだ。まさか首相になれば「嘘をついても大丈夫」「約束は守らなくていい」「困ったら公文書を改ざんする」と教えるのではないでしょうね。
【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2018/10/31 06:00
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【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2018/10/31 06:00 |
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ペンス副大統領も巻き込まれ…
(大使館HPにはバッチリ「正文は英文」と)/(C)ロイター=共同 |
財務省の決裁文書改ざんに続き、今度は外務省が外交文書を“捏造”だ。
問題となっているのは、先月26日の日米首脳会談で発表された日米共同声明。米国との新たな貿易交渉について、外務省の和訳には、「日米物品貿易協定(TAG)」と記されているが、英文にはTAGなどとひと言も書かれていないのだ。
タチの悪いことに、外務省は最近まで、声明の和訳が「正式」な文書であると言い張っていた。しかし、在日米大使館のホームページに載っている共同声明の和訳には、「下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です」との注意書きがある。
外務省に和訳と英文のどちらが正式な文書か問い合わせると、「正文は英文だけです」(北米局北米第2課)とアッサリ認めた。つまり、外交文書として有効なのは英文のみ。安倍政権は、和訳にしかないTAGという造語が、あたかも「正文」であるかのような発表をして、国民をまんまと欺いたのである。
そもそも、外交文書の文言を捏造してまで安倍首相は何を隠そうとしたのか。元経産官僚の古賀茂明氏がこう指摘する。
「日本の農業関係者はFTA(自由貿易協定)が厳しい自由化や関税の引き下げにつながると信じています。FTA交渉開始となると、日本の敗北だと言われ、来年の統一地方選や参院選で不利な材料になる。だから、安倍さんは、先月26日の会見でTAGは、『包括的なFTAとは全く異なる』と強弁しました。ところが、日米共同声明を素直に訳すと、事実上FTAの交渉だと言われます。そこで、共同声明の正文は英語だけで日本語版は政府が勝手に作ったものに過ぎないことを隠し、『TAG』という言葉を捏造した。安倍政権と外務省が一体で演じる『猿芝居』に愚かな観客のマスコミがだまされたということです」
10日になって、国民民主と共産が「TAGは捏造」だと反発。野党に今月下旬召集の臨時国会で格好の追及ネタを提供したが、捏造に関わったのは安倍政権だけにとどまらない。
ナント、ペンス米副大統領が今月4日に「日本とのFTA交渉を始める」と発言したのに、米ホワイトハウスはFTAではない言葉に置き換えて公式文書に残していたのだ。「FTAではなくTAG」とする安倍政権に配慮したようだが、米国に捏造のグルになってもらった見返りに、安倍政権はどれだけムシリ取られるのか。
改ざん、隠蔽、捏造――。こんな異常な犯罪行為を平気でやってのける政権が、あと3年も続いたら世も末だ。
【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2018/10/11 14:50 更新日:2018/10/11 14:58
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(PHOTO) 首相官邸ホームページより |
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日刊ゲンダイ 公開日:2018/10/11 14:50 更新日:2018/10/11 14:58 |
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トランプの言いなり(写真)共同通信社 |
屈辱的な“カモネギ”訪米だ。26日(現地)の日米首脳会談で、安倍首相がトランプ大統領の圧力に屈し、農産品を含む全ての関税の2国間交渉にひきずり込まれた。
25%もの輸入自動車への高関税措置の発動という法外な要求から逃れるため、日本の農業を犠牲に差し出す――。合意内容は、米国第一主義を振りかざすトランプの理不尽なドーカツに震え上がった売国外交の極みだ。会談冒頭のやりとりが、安倍の対米隷属ポチ外交を象徴していた。
「交渉は満足できる結論が得られると確信している。もしそうならなかったら……」
トランプは言葉を止めると、強硬措置をにおわせるように安倍の顔をのぞき込んだ。安倍は苦笑を浮かべるのが、やっと。ああ、情けない。
会談後、“茶坊主”の西村康稔官房副長官は「今回が8回目の首脳会談、電話会談は26回やっている」と安倍とトランプの親密さをアピールしたが、友情の成れの果てがトランプに足をすくわれた外交敗北である。
さらにトランプは26日の国連総会を締めくくる会見で、「私が『日本は我々の思いを受け入れなければならない。巨額の貿易赤字は嫌だ』と言うと、日本はすごい量の防衛装備品を買うことになった」と暴露。首脳会談で合意した共同声明には一言も触れられていない武器購入の“密約”までバラされてしまった。
しょせん、安倍の「親密外交」なんて妄想に過ぎない。
もはや看過できないほどの米国隷従ポチ外交だが、問題はそれをゴマカす姑息な詭弁。国民を欺く恐るべき二枚舌である。
今回の日米合意について、安倍は「包括的なFTA(自由貿易協定)とは全く異なる」と説明。「TAG」(日米物品貿易協定)なる新語まで作って弁解しているが、トランプは「我々はFTA交渉開始で合意した。これは日本がこれまで拒否していたものだ」と明言。AP通信もロイターもワシントン・ポストも「日米FTA交渉入りに合意」と報じている。
「TAGなんて稚拙な言葉のゴマカシ。普通の神経の持ち主なら恥ずかしくて言えません」と怒り心頭なのは、東大大学院教授の鈴木宣弘氏(農政)だ。こう続ける。
「日本のメディアは『事実上のFTA』『FTAに発展も』と回りくどい報じ方ですが、今回の合意は紛れもないFTAです。日米共同声明は『TAG』と『他の重要分野(サービスを含む)で早期に交渉結果を出しうるもの』について『交渉を開始する』と明記し、これは特定の国・地域間で関税撤廃やサービス貿易の自由化を目指すFTAそのもの。FTAをTAGと言い張るのは、見え透いた嘘です。安倍政権はFTA交渉を拒否してきただけに、ゴマカすしかないのでしょうが、稚拙な屁理屈で国民をだませるという思い上がった感覚が恐ろしい。政権の言葉の破壊は国の崩壊につながります。姑息な詭弁を無批判でタレ流し、ハッキリと『FTA』と報じないメディアも国民を欺く共犯者です」
今や官邸は経産省出身の役人に支配されている。恥知らずの詭弁も経産省あがりの連中が進言したのだろう。しかも経産省は自動車産業を所管し、何を犠牲にしても業界の利益と自分たちの利権を守る。トランプに自動車関税を「人質」に取られ、農産品を「いけにえ」に差し出したことは容易に想像がつく。
「国民の生命に直結する農業を米国に売り渡しながら、詭弁を弄するのは典型的なペテンの手口。国家的な詐欺です」(経済アナリスト・菊池英博氏)
この政権には嘘と隠蔽とゴマカシが付きものとはいえ、国民を欺く安倍の態度には良識のかけらもない。
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自動車利権を守るため食が犠牲に(ケネディ前駐日大使と田植えをする昭恵夫人)
(写真)共同通信社 |
安倍の二枚舌は、農業票欲しさの悪巧みでもある。国内の生産者には「FTAに押し切られたら、TPP以上に市場開放を迫られる」との警戒感が強い。来年に統一地方選と参院選を控え、トランプの圧力に屈して農業票を失うのは痛い。そんな薄汚い自己保身で詭弁を弄しているわけだが、その場しのぎのインチキは通用しない。
大マスコミは首脳会談で「交渉中は米国が輸入車への高関税を日本車に適用しないこと、日本の農産品はTPPの水準までしか関税を引き下げないことを確認した」と伝え、さも安倍の外交成果のように報じたが、実際は玉虫色だ。
自動車の高関税措置について、声明には「共同声明の精神に反する行動をとらない」とあるのみ。逆に交渉が決裂したら即、米国は一方的な高関税措置を発動すると脅されているのに等しい。
農産品の自由化水準も共同声明では日本政府の立場を「尊重する」としただけ。何ら確約は得られていない。そもそもTPPが不十分だからこそ離脱して、日本に2国間交渉を求めたトランプに、TPP水準を期待するだけムダ。安倍が有形無形の圧力をかけられ、TPP以上の譲歩を迫られるのは明白だ。前出の鈴木宣弘氏が言う。
「その上、日本が農産品を差し出しても、米国の自動車業界が儲かるわけではありません。米国の自動車業界が納得するまで、トランプ政権の圧力は続くのです。安倍首相が2国間交渉に引きずり込まれたことで、この国は無限の譲歩を迫られる“アリ地獄”に陥ってしまった。大体、トランプ政権の自動車関税の引き上げに『日本だけには適用しないで』と懇願するのは、差別的な関税措置の容認という明確な国際法(WTO)違反。フランスのように真っ向から国際法違反だからやめろと主張しなければ、延々と自動車を『人質』に取られ、足元を見られる。さらなる要求を突きつけられるのがオチです」
大マスコミは、安倍のインチキ外交成果をタレ流している場合ではない。共同声明に「米国の自動車産業の製造及び雇用の増加を目指す」と明記され、トランプは「勝利宣言」。これだけ屈辱的なカモネギ訪米の真相を伝えるべきだ。
恐らく日米FTA交渉は米韓FTAと同じ道をたどる。2012年3月に発効した米韓FTAは、韓国だけ「ISDS」(投資家と国家の紛争解決)条項などを片務的に負わされた。今年5月にはISDS条項に基づき、サムスングループ内の合併案件に不満を覚えた米投資会社エリオットは、韓国政府に6億7000万ドル(約757億円)の損害賠償を求めた。
それでもトランプは韓国との貿易不均衡に不満タラタラで、今年に入りFTA再交渉を開始。交渉不調時の在韓米軍撤退まで示唆し、今月24日に米国基準に適合した車の輸入枠倍増や、通貨安誘導を防ぐ為替条項など不平等な内容を韓国にのませたのだ。
「自国民の安全を担保する自動車の基準を米国に委ね、自国の通貨政策決定に制限を設けられるとは経済主権の損失ですが、安倍政権も同じ轍を踏みかねません。安倍政権の円安誘導がトランプ政権の交渉ターゲット。自動車への高関税措置の発動をチラつかせているのも『円安で儲けた自動車輸出の利益を米国に吐き出せ』という意思の表れです。トランプ政権は韓国に為替条項をのませたことに味をしめ、日本にも円安是正を強引に迫るのでしょうが、異次元緩和の円安誘導はアベノミクスの生命線。安倍政権は円安誘導の継続と引き換えに、トランプ政権に無理難題を押しつけられ、譲歩の連続となりそうです」(菊池英博氏=前出)
安倍は総裁選で「今こそ戦後日本外交の総決算を成し遂げる」と豪語した。その答えが、経済主権を身ぐるみトランプに売り渡す日米通商交渉とは恐れ入る。
【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2018/09/29 17:00 更新日:2018/09/29 17:21
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【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2018/09/29 17:00 更新日:2018/09/29 17:21 |
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安倍首相はトランプのカモ(C)共同通信社 |
1日延期された茂木敏充経済再生担当相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表による日米貿易協議が、米ニューヨークで日本時間25日夜に開かれたが、茂木大臣は「大きな方向については一致した」と曖昧な発言しかせず、詳細は同27日未明の日米首脳会談後に公表するとした。トップ交渉で安倍首相はトランプ大統領に何を差し出すのか――。
日米貿易協議について安倍政権はこれまで、「農業分野ではこれ以上妥協できない」「自動車の追加関税は適用除外を求める」「2国間FTAではなく、米国のTPP復帰を促す」と主張してきた。しかし、中間選挙を前にして、対日貿易赤字削減で目に見える成果が欲しいトランプは強硬だ。
「トランプ大統領はツイッターで『米国は日本を助けるために多くのことをしているのだから、もっと互恵的な関係を築きたい』とつぶやいた。意味するところは、『北朝鮮の拉致問題で金正恩委員長に伝言したりするなど散々、協力してやったのだから、今度は安倍首相が私(トランプ)に協力する番だ』ということ。米国は、対中貿易戦争の結果、中国に買ってもらえなくなる大豆などの穀物類を日本が肩代わりするよう要求してきています」(自民党関係者)
23日の日米首脳の夕食会は急遽、トランプの自宅に変更され、通訳だけを交えた30分の会談も行われた。安倍首相は既にトランプに口約束させられてしまったのではなかろうか。というのも、米国が日本に対し、TPPで約束させた以上の要求をのませるのは“既定路線”だからだ。
「USTR代表は就任の際、『日本にはTPP以上のことをやらせる』と議会で宣誓した。これが代表承認の条件になっているのですから、米国は必ず実現させようとしてきます。では、日本側は何を譲歩するのかというと、農業でしょう。安倍政権は“経産省政権”ですから自分たちが所管する自動車の追加関税は絶対に阻止したい。代わりに農業が犠牲になるのです」(東大大学院教授・鈴木宣弘氏=農政)
米国はあらゆる農産物に牙を向けている。中でもコメ、乳製品、牛肉、豚肉は彼らにとっての目玉だ。中国が輸入制限する大豆やトウモロコシも日本が買わされる。牛肉と豚肉の関税引き下げのため、日米2国間FTAも締結させられることになるという。
「食の安全基準も緩和させられることになるでしょう。既に米国からは緩和を求めるリストが出されています。まずは、現在生後30カ月超となっている牛のBSE検査が撤廃され、ポストハーベスト農薬(防カビ剤)の食品添加物としての表記が撤廃される。日米の協議において日本に残された唯一の戦略は、『どれから差し出すか』という順番だけなのです」(鈴木宣弘氏)
こうした形で日本が米国に農作物を献上することによる打撃はTPP時以上。その金額は、鈴木教授の試算では米国を含むTPP時で1兆6000億円だったから、これに「プラスアルファ」が乗せられ、2兆円近い額になる恐れがあるという。
すべてはトランプとの蜜月関係と「外交の安倍」をフェイクにしないため。安倍首相はどこまで売国奴なのか。
【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2018/09/27 06:00
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安倍総理の演説風景 会場はスカスカ…(写真)共同通信社 |
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【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2018/09/27 06:00 |
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首相官邸ホームページより |
きょう、73回目の原爆の日を迎え、広島市の平和記念公園では「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」がおこなわれたが、安倍首相の言動は、またも被爆者の思いを踏みにじるものだった。
たとえば、安倍首相が今年おこなったスピーチは、昨年の文章の構成を巧妙に入れ替えた上、「言葉では言い表せない」という表現を「筆舌に尽くし難い」に言い換えるなどの簡単な手直しをしただけで、ほぼ“コピペ”の演説。2014年には広島で前年とほぼ同一の文章を“朗読”して批判が殺到したにもかかわらず、長崎でもそれと同じコピペ演説をおこなうという事件を起こした安倍首相だが、相も変わらず誠意が感じられない姿勢を晒したのだ。
しかも、松井一實・広島市長は平和宣言のなかで、昨年、ノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)や朝鮮半島の対話による平和構築に言及し、「日本政府には、核兵器禁止条約の発効に向けた流れのなかで、日本国憲法が掲げる崇高な平和主義を体現するためにも、国際社会が核兵器のない世界の実現に向けた対話と協調を進めるよう、その役割を果たしていただきたい」と述べたが、対する安倍首相は、昨年7月に国連で採択された核兵器禁止条約への言及がなかったばかりか、ICANにも一切ふれずじまい。安倍首相はいまだにICANとの面会はおろか、お祝いの電話さえ入れていないというが、これでよく「『核兵器のない世界』と恒久平和の実現に向けて力を尽くす」などと誓えたものだ。
その上、式典後におこなわれた被爆者7団体との「被爆者から要望を聞く会」では、核兵器禁止条約への署名・批准を求める声に対し、安倍首相は「参加しない考えに変わりない」と拒否した。
被爆者たちの願いを打ち砕く卑劣な姿勢を崩さない安倍首相──。だが、驚いたのは、その後の行動だ。安倍首相はTwittertとFacebookの公式アカウントに、広島県原爆被害者団体協議会の坪井直理事長とにこやかに握手する写真とともに、こう投稿したのだ。
〈「ネバーギブアップで頑張っていく」20歳の時、広島で被爆した坪井さんの言葉です。唯一の戦争被爆国として、我が国は、核兵器国と非核兵器国双方の橋渡しに粘り強く努めながら、「核兵器のない世界」の実現に向けて、一層の努力を積み重ねてまいります〉
坪井理事長はきょうの「要望を聞く会」で、「原爆は人間の悪知恵が作ったもの。われわれが核兵器をなくすような力を発揮しなきゃいけない」と主張し、核兵器禁止条約を批准するよう求めた。それを無下に拒否しておきながら、自分があたたかく手を差し伸べる写真を投稿して、あたかも被爆者の要望に応えているかのような“印象操作”をSNSで発信したのである。
しかも、坪井理事長の「ネバーギブアップで頑張っていく」という言葉にはどんな思いが込められているのか。坪井理事長は以前からこう語ってきた。
「『ネバーギブアップ』の精神を忘れず、命を大事に最後の最後まで核兵器廃絶の道を歩もうではありませんか」(今年5月、広島県被団協の定期総会での挨拶)
「(オバマ前大統領と)一緒に核兵器のない世界をつくろうと話した。誓い合ったことを、ネバーギブアップで頑張りたい」(中国新聞2018年4月6日付)
「長く生きた。もまれもまれて、ここまできた。いつか核兵器が廃絶されるのを見たい。でも私が見られなくても、後世の人が必ず成し遂げてほしい。頼みますよ、若い人たち。絶対に諦めちゃいかん。ネバーギブアップ!」(中国新聞2015年8月2日付)
坪井理事長が核廃絶に向けて語ってきた「ネバーギブアップ」という言葉の真意を無視して、まるで自分が被爆者に寄り添っているかのように演出するために言葉を引用する──。これは被爆者を裏切る行為であり、冷酷にも程があるだろう。
安倍首相は、それまで慣例として広島・長崎でおこなわれてきた被爆した人たちの暮らす原爆養護ホームの訪問を2013年以来サボりつづけ、2014年には訪問をドタキャンした挙げ句、戻った東京では歯の治療と美容室で散髪をするという信じがたい行動に出ていた。それが今年は久々に原爆養護ホームの訪問をおこなったのだが、これも、明日から来日する国連のアントニオ・グテーレス事務総長が長崎の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典への出席や被爆者との面会を予定しているため、自分が被爆者との面会をしないわけにはいかなくなってのことだろう。
グテーレス国連事務総長はこの訪日で〈核軍縮に向けた国連の取り組みと決意を被爆者と世界に表明する〉(時事通信より)予定だというが、唯一の被爆国でありながら、この国の総理大臣は被爆者の思いを裏切ってばかりいる。はたして、長崎でもまた同じように被爆者を不当に利用して自分の「やってる感」を演出するのだろうか。
(編集部)
【出典】LITERA 2018.08.06
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【出典】LITERA 2018.08.06 |
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石井国交相(中央)(C)共同通信社 |
西日本を中心とした記録的な豪雨災害に見舞われた被災者らは、3連休最終日の16日も、気温40度近い酷暑の中で厳しい復旧作業を余儀なくされた。豪雨災害による死亡者は13府県で210人、安否不明者は4県で20人に上り、今も5000人近くが避難所生活を送る。そんな中、14日、石井啓一国土交通相らが土砂災害で甚大な被害を受けた広島市安芸区を視察したのだが、その最中、泥だらけになったマスク姿の被災者やボランティアが石井国交相らを取り囲み、怒声を上げる場面があった。
「スコップの1本くらい持ってきて、1軒でもいいから(被災者宅に)行って(ボランティア活動を)やってみい」
「どんだけしんどい、臭い、酷いか……」
怒りと悔しさが交錯した複雑な思いを訴える住民の姿に気後れしたのか、石井国交相は直立不動のまま目を細めて黙ってうなずいていたが、住民らが憤りの声を上げたのもムリはない。未曽有の大水害によって、被災地の多くは道路や鉄道、電力、水道などの基幹インフラが寸断された状態が続いている。一刻も早い復旧作業が必要なのは言うまでもなく、本来であれば、率先して担うべき司令塔役が国交相なのに、大水害そっちのけで「カジノ法案」を審議中の参院内閣委に連日、出席しているからだ。
今ごろになって、汚れ一つないピカピカの防災服姿で現場にノコノコと姿を見せたところで、被災者の目には物見遊山の「顔見せ」としか映らないに決まっている。2016年9月の「台風10号豪雨被害」でも、当時の務台俊介内閣府政務官が長靴を持参せずに岩手・岩泉町を視察し、案内の職員におんぶされて水たまりを渡る姿に批判が殺到したが、安倍政権は災害視察を「仕事しています」というアピールの場に利用しているだけ。繰り返される政権のパフォーマンスに、被災者らは怒りを通り越してアホらしくなっているに違いない。
大体、朝日新聞の世論調査でも、回答者の7割余りが、今国会でのカジノ法案成立を求めちゃいない。大水害の復旧対策よりも優先して議論する必要など全くないのだ。15日のNHKの「日曜討論」でも、野党議員がそろって「カジノの審議よりも、まずは災害対応を」と訴えたのも当然の話だ。何も一から議論する必要はない。立憲や共産などの野党が共同で3月に衆院に提出している「被災者生活再建支援法改正案」を叩き台にすればいいのだ。
法案の中身は、被災者生活再建支援金の上限を300万円から500万円に引き上げ、支給の範囲を現行の全壊世帯から半壊世帯へ拡充する――など、西日本豪雨災害にも十分対応できる。常識的に考えれば、「カジノ法案」審議よりもよっぽど大事だ。ところが、野党側の提案に対し、自民党の愛知治郎参院議員副会長は全く聞く耳ナシ。「(カジノ法案で)観光や地域振興、雇用創出に大きな効果が見込まれる」なんて寝言を繰り返していたから呆れるばかりだ。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「政府与党は、災害対応よりもカジノ法案を成立させることの方が重要と考えている。国民の生命、財産よりも、自分たちの利権が何よりも大事なのでしょう。初動態勢の遅れは否めないのに『適切に指示した』とか言っている。200人以上の死者を出しながら、一体、どこが『適切』なのか。安倍政権は国民を向いて政治をしているとは到底、思えません」
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国民よりも自分が大事(西村康稔官房副長官のツイッターから) |
被災地視察で住民に詰め寄られた石井国交相の姿を見ておじけづいたのか、安倍首相は15日に予定していた広島県の視察を急きょ、取りやめた。
政府は「股関節周囲炎と診断されたため」と説明しているが、ホントかどうか疑わしい話だ。今、安倍が現地を歩けば石井国交相以上に罵声を浴びるのは容易に想像できる。気象庁が異例の緊急会見を開いて西日本豪雨への警戒を呼びかけた5日夜、安倍が衆院赤坂議員宿舎で開かれた酒席会合「赤坂自民亭」にゲスト出席し、党幹部や若手議員らとドンチャン騒ぎに興じていたことが被災地にもジワジワと拡散しているからだ。
会合後、安倍は記者団に向かって赤ら顔で「和気あいあいでよかった」と語っていたというから、さぞ楽しかったに違いない。この時点で、安倍も出席者も、誰一人として「豪雨災害」の「ご」の字も頭の中になかっただろう。西村康稔官房副長官が盛り上がる飲み会の様子を写した写真をツイッターにバンバン投稿していたのが証左だ。その後、「平成最悪」ともいわれ始めた豪雨災害が明らかになると、西村は慌てて〈週末の大雨による災害発生時に会合を開いているかのような誤解を与え、不愉快な思いを抱かせたことをお詫び申し上げます〉なんて釈明していたが、実際に酒席は行われていたのだから、誤解でも何でもない。
そもそも、2013年4月から定期的に開かれている「赤坂自民亭」は今回、“特別”な意味が込められていたと言っていい。これまでの27回のうち、安倍が出席したのは初めてだからだ。一部報道では、9月の総裁選に向けて〈幅広い支持を固める狙い〉と報じられているが、要するに、今回は安倍の「総裁3選実現」のための「決起集会」であり、それを党内外に宣伝するのが目的だったとしか思えないのだ。
そして、安倍自身も「数十年に1度」と予想されていた豪雨災害よりも、総裁3選のことでアタマがいっぱいだったのだろう。気象庁の会見以降、中四国地方などを豪雨が襲い始めていたにもかかわらず、公邸に宿泊したのは1日だけという危機意識の乏しさからも明々白々だ。
「この会合に出席したことにより、何らかの指示が滞ったり遅れたりしたことは、これはないと考えています。(略)総理は早急に外交出張を取りやめて、この災害に全力を尽くすということで(略)最大限の政府として取り組むべき課題に取り組んでいる」
NHKの「日曜討論」で、愛知参院議員副会長はこう言って「赤坂自民亭」に出席していた安倍をかばっていたが、信じる被災住民は皆無だろう。繰り返すが、安倍が「政府一丸となって取り組んできた」ことは、「総裁3選」の前夜祭のごとく、取り巻きの連中と酒を飲んでワァワァ騒いだことだけ。ところが、それがバレてニッチもサッチもいかなくなり、仕方なく欧州外遊をやめ、クーラー付きの避難所を訪ねる被災地視察パフォーマンスでゴマカそうとしたのだ。
豪雨災害に本気で取り組む気がないから、被災地の支援策も実にショボイ。非常災害対策本部で、農林漁業者や中小・小規模事業者向けの対策を取りまとめたが、中身をよくよく見ると〈災害関連融資を5年間、無利子化〉〈共済金の早期支払い〉〈債務の返済猶予〉といったありきたりの内容ばかり。大体、農林水産関係の被害額だけで現時点で481億円に上ると推計されているのに、被災地支援のために支出を決めた金額はたった20億円だ。米国に尻を叩かれてポンと1発数十億円のミサイルを買う時とは大違いではないか。これで、よくもまあ恥ずかしげもなく「政府一丸」なんて言えたものだ。立正大名誉教授の金子勝氏はこう言う。
「豪雨災害に対する政府・与党の姿勢であらためてハッキリしたのは、安倍政権にとって最優先するべきは国家であって、国民の生命、財産は二の次ということ。だから社会保障費や災害対策費などの国民のために使うお金はちょぼちょぼに抑えるのに、武器はどんどん買うのです。国民主権など頭にない。国家主義の考え方が如実に表れていると言っていいでしょう」
本来は内閣総辞職ものの大失態なのに平気の平左で開き直っているのも、国民をナメ切っているからだ。政権の座から早く引きずりおろさないと、国民の命は今以上にもてあそばれてしまう。
【出典】日刊ゲンダイ 2018年7月17日
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【出典】日刊ゲンダイ 2018年4月27日 |
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握手する金正恩委員長と文在寅大統領(C)AP |
両首脳とも満面の笑みで手を握り合った。27日、午前9時29分、予定より1分早く、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長がついに歩いて軍事境界線を越えた。板門店で出迎えた韓国の文在寅大統領と右手、左手と交互に入れ替えて何度も固く握手。共に手をつないで、境界線の北朝鮮側に渡る予定外の“サプライズ”演出を披露する余裕まで世界に見せつけた。
儀仗隊を伴う歓迎式の後、韓国側施設「平和の家」で首脳会談はスタート。南北分断の歴史に新たな一ページが刻まれた。北朝鮮の最高指導者による訪韓は初めて。
朝鮮戦争後初めて軍事境界線を越え、“敵地”に赴く金正恩について、北朝鮮は党幹部を対象にした教育用資料で、「元帥様が人民のため、命をかけて1人で南側に行かれる」と説明。南北会談を正恩の「神格化」に利用しているが、圧力の拳を振りかざし、融和ムードに取り残された安倍政権は今後どうするつもりなのか。国民が知りたい真相と今後を徹底検証する。
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平昌冬季五輪参加から一気に融和ムードに(C)AP |
金正恩は単なる「カリアゲデブ」ではなかった。6月にも予定されている史上初の米朝首脳会談を前に「核・ミサイル実験中止」を宣言。昨年、長距離弾道ミサイルを相次いで発射し、米朝間で緊張関係が一気に高まり、「開戦前夜」などと大騒ぎになった当時がウソのようだ。
2月の韓国・平昌冬季五輪参加から始まり、電撃訪中、南北会談など、北が一気に融和ムードにカジを切った背景には何があるのか。
安倍政権は米国を中心とした経済制裁などの「対北包囲網」や「圧力」を要因に挙げているが、全く信用できない。国際ジャーナリストの堀田佳男氏は「核兵器を保有し、米国と対等に交渉できるだけの自信を深めたから」と言う。
つまり、インドやパキスタンと同じ核保有国となった今、核・ミサイル実験を行う必要性は乏しく、近隣諸国をこれ以上、刺激して自国を窮地に追い込んでも意味がない。それよりも、米朝会談に前向きなトランプ米大統領から有利な条件を引き出したい――。金正恩の狙いはここにあるというのだ。
これまで、日本メディアの多くは金正恩を“狂人”扱いしてきた。しかし、最近の外交姿勢を見る限り、シタタカな側面が随所に垣間見える。26日のロイター通信も、金正恩の人柄について「悪賢い指導者」と評していたが、南北会談も米朝会談も、金正恩が描いたシナリオ通りに進んでいるように見える。
「日本では、金正恩の危うい人物像ばかりが注目されていますが、海外メディアでは『合理的な判断をする人物』との論調もあります」(国際ジャーナリスト・春名幹男氏)
北朝鮮が制裁に音を上げて対話を持ちかけたというのは、安倍政権にとって都合のいい見方に過ぎないのだ。
次は 、「圧力」一辺倒で来て、今さら「拉致でお願い」の安倍外交の醜態
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【出典】日刊ゲンダイ 2018年4月27日 |
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トランプに「拉致」を泣きつき(C)AP |
頭越しに金正恩との会談を決めたトランプ大統領の別荘にわざわざ出向き、「拉致問題を取り上げて」と懇願。南北会談直前の24日には文在寅韓国大統領に「拉致をお願い」と電話で泣きつく。安倍首相は昨年9月の国連演説で、「対話による(北朝鮮)問題解決の試みは、一再ならず、無に帰した」と豪語したが、今のみっともない姿はとても同じ人物とは思えない。
安倍は北に対する「圧力」一辺倒の姿勢を散々政治利用してきた。モリ・カケ疑惑で昨年、支持率低迷にあえいだ頃、北が太平洋に向け弾道ミサイルをぶっ放すと、もっけの幸いとばかりに早朝から不穏な音のJアラートをかき鳴らした。
弾道ミサイルを想定した政府主催の避難訓練も、昨年度は北は北海道から南は鹿児島・徳之島まで25自治体で実施。農家のオジサンを用水路にはいつくばらせ、頭を抱え込ませるバカバカしい光景が各地で繰り広げられた。
こうして国民の不安や危機感を煽りまくった揚げ句、北の脅威を「国難」と称して解散・総選挙を断行。勝利を収めた直後、麻生財務相は「明らかに北朝鮮のおかげ」とまで言ってのけた。
「いざ東アジア情勢が緊張緩和へ劇的にカジを切ると、悪目立ちの対北強硬路線がアダとなり、日本だけが蚊帳の外。政権復帰から5年間も安倍首相が『最重要課題』に掲げたはずの拉致解決も、圧力一辺倒で北との外交ルートを失い、就任1年足らずの文大統領に頼み込む情けなさ。嫌韓反中の外交姿勢で両国との良好関係も築けず、今や八方塞がり。何ごとも好き嫌いで決めてしまう安倍政治のツケです」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)
安倍外交の醜態は自業自得なのである。
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アホらしい訓練(C)共同通信社 |
米中両大国の向こうを張って交渉テーブルに着かせ、急転直下の展開に持ち込んだ金正恩。バランスに長けた大胆かつ冷静な外交戦略は、圧力バカの安倍の単細胞外交をあざ笑うかのような狡猾さとしたたかさだ。日本のテレビ専門家たちが、しきりに流布したイメージとは百八十度異なる。前出の五野井郁夫氏はこう言った。
「日本のメディアはこぞって金正恩委員長を側近を平気で殺す“狂った3代目”のように扱い、予測不能な戦争屋として『交渉しても意味がない相手』というレッテル貼りを続けました。ミサイル発射のたび『圧力しかない』との前提に立ち、安倍政権の強硬姿勢とそれに伴う軍拡路線をアシストしてきたようなものです。冷静に考えれば、北が対米戦争を仕掛ける可能性はゼロに近いのに、専門家たちまであり得ない想定に基づき、安倍政権の圧力路線に便乗して北の脅威を煽ったのです。彼らの話を聞いても、北朝鮮の実情は何ひとつ掴めないことが、よく分かりました」
南北会談の実現はメディアが作り上げた金正恩へのトンチンカンな印象操作の瓦解を意味する。訳知り顔の専門家を信じ、今なお安倍の強硬姿勢に騙され続けている国民は、そろそろ目を覚ました方がいい。
次は 、北朝鮮の非核化、これが現実的なシナリオ
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【出典】日刊ゲンダイ 2018年4月27日 |
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6カ国協議再開がカギ(C)AP |
「平和実現に向けて段階的で歩調を合わせた措置を取るなら半島の非核化は実現できる」――。金正恩は中国の習近平国家主席との首脳会談で、こう断言した。
カギは「段階的で歩調を合わせた措置」のくだりだ。これは中国が主導した6カ国協議で、朝鮮半島の非核化と平和構築について明文化した2005年9月の共同声明に盛り込まれた〈約束対約束、行動対行動で段階的に進む〉を意味する。つまり、金正恩は「段階的な非核化」であれば実現可能であり、過去には米国や韓国、日本も同意していたではないか――というメッセージを発しているのだ。
元韓国国防省北朝鮮情報分析官で拓大客員研究員の高永テツ氏はこう言う。
「この『段階的な非核化』が時間稼ぎではないか、と批判的に見られているワケですが、現実問題として、いきなりのCVID(完全かつ検証可能で、不可逆的な非核化)の実行は難しい。IAEA(国際原子力機関)の査察受け入れから始まり、具体的なロードマップを作り、一歩ずつ進むしかありません。そうして共同声明の『約束対約束、行動対行動』の原則に沿って、北への経済支援なども行う。そうやって南北関係だけではなく、米中日ロが北との信頼関係を醸成し、平和体制を構築する以外に現実的な非核化のシナリオはありません。北にとっても大きく経済成長するチャンスであり、体制維持のためにも悪い話ではないはずです」
「北は絶対に核を手放さない」との声もあるが、中国国内では、中朝国境に北の核を保管、封印する倉庫をつくり、5カ国共同で監視する――といった意見も広がっている。いずれにしても、金正恩が「もはや核を持つ必要はない」と思うまで地道な協議を続ける以外にない。
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「困った時の北頼み」も終わり(C)日刊ゲンダイ |
南北会談で非核化と並ぶもうひとつのキモは、1953年に米軍中心の国連軍と朝鮮人民軍、中国人民義勇軍の3者が調印した「朝鮮戦争」の休戦協定に区切りをつけ、平和条約へと転換する道筋をつけられるか、だ。
仮に北が核放棄、平和条約締結をスンナリ受け入れた場合、これまで北に対して「対話のための対話はしない」「最大限の圧力が必要」と拳を振り上げてきた日本の安全保障はどう変わるのか。
元外交官の孫崎享氏は「まず、休戦協定の当事者は南北だけではなく、平和条約までこぎ着けるには米国の同意が欠かせない。核放棄と同様にハードルが高いでしょう」と前置きした上で、こう続ける。
「北が平和体制の構築へとカジを切れば、日本の安全保障も当然、見直しを余儀なくされるでしょう。これまで『北の脅威』を理由に迎撃ミサイルや在日米軍などを拡充してきたわけですからね。本来は日本も早い段階で北との対話交渉に乗り出すべきですが、安倍政権は圧力一辺倒を主張してきたため、対話のルートを何も持っていません。
今後、どう展開していくか分からない朝鮮半島情勢に対して明確な外交方針も戦略もない。頼みの米国も『日本は黙っていろ』というスタンス。ポンペオCIA長官と金正恩との会談が日本政府に対して事前に何ら知らされていなかったのが証左です。対米従属の日本の安全保障の仕組みを見直すべき時が来ているのです」
「困ったときの北頼み」の安倍無策外交も終わりだ。
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最悪は日本も巻き添えに(コリアメディア提供・共同) |
「非核化するまで補償はない」。強硬路線から対話路線にカジを切った北に対し、トランプ政権が繰り返し言い続けているのが、核放棄先行、補償は後――という「リビア方式」の受け入れだ。
リビアのカダフィ大佐は2003年、米英両国との水面下での交渉を経て、核を含む大量破壊兵器の放棄を宣言。核施設の公開や弾道ミサイル廃棄に応じた。ところが、カダフィは11年、米欧が支援する反政府勢力によって殺害された。
北の機関紙「労働新聞」は〈米国の誘惑と軍事的恐喝によって銃床を下ろすことが、どれほど残酷な結果を招くかはイラクとリビアの悲劇的現実が物語る〉と報じていた。米朝会談で北が主張する「段階的な非核化」が受け入れられなければ、たちまち「交渉決裂」となりかねない。そうなれば、どんな展開が待ち受けているのか。外交評論家の小山貴氏はこう言う。
「トランプ大統領は北に対して綿密な外交戦略を持っているわけではありません。米側の要求が金正恩委員長に早々に突っぱねられて感情的に陥り、『軍事行動だ』などと言い出す可能性は十分あります」
駐豪大使に指名されていたハリス太平洋軍司令官が急きょ、駐韓大使に起用される見通しになったのも不気味だ。「米軍はいつでも動ける」という北へのプレッシャーとも受け取れるからだ。
「交渉決裂の場合、11月の中間選挙を控えたトランプが低迷する支持率の回復を狙って北の空爆に踏み切るかもしれない。当然、北は反撃し、韓国、日本も巻き込まれるでしょう」(高永テツ氏=前出)
言うことが全く信用できない安倍政権が続く限り、交渉からは蚊帳の外で、戦争リスクだけが高まっていく。悪夢のシナリオを回避するには安倍退陣が最低条件だ。
【出典】日刊ゲンダイ 2018年4月23日
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【出典】日刊ゲンダイ 2018年4月27日 |
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どうにもならない(C)日刊ゲンダイ |
北朝鮮が「核実験中止」を宣言したことに安倍政権が慌てふためいている。NHKも土曜日の早朝、テロップで速報している。
金正恩が20日、核実験とICBM試射を中止し、核実験場も廃棄すると宣言した。朝鮮中央通信が翌21日、党中央委員会総会での正恩報告として伝えた。
朝鮮半島は一気に動きが加速している。今週27日(金)には、板門店で「南北会談」が行われ、6月上旬には「米朝会談」が行われる予定だ。安倍政権は動きの速さについていけず右往左往しているが、ここまでは、すべて正恩のシナリオ通りとみられている。
「正恩委員長は、昨年秋から周到にシナリオを練っていた可能性が高い。昨年11月、ICBM火星15を発射して『核戦力の完成』を宣言した後、ミサイル発射などの挑発行為をピタリとやめ、2018年1月1日、突然、新年の演説で平昌オリンピックへの参加を表明しています。そこからは、ほほ笑み外交に切り替え、“南北会談”“米朝会談”と立て続けに首脳会談をセットし、中国を訪問して習近平主席とも会った。恐らく正恩委員長は、アメリカと韓国をジーッと観察し、勝負をかけるなら2018年しかないと判断したのでしょう。
文在寅大統領は親北であり平昌オリンピックの成功を切望している。11月に中間選挙を控えているトランプ大統領も外交成果を欲している。アメリカも韓国も、対話を持ちかけたら乗ってくると確信したのだと思う。金王朝体制を維持するためには、千載一遇のチャンスと判断したのでしょう」(元韓国国防省北朝鮮情報分析官で拓大客員研究員の高永テツ氏)
「南北会談」の後、正恩はロシアに飛んでプーチン大統領と会談するという情報も流れている。トランプと会う前に、中国、韓国、ロシアを“味方”にするつもりだ。
果たして世紀のイベントである6月の「米朝会談」はどうなるのか。
米朝会談は予定通りに開かれ、予想以上の成果を上げる可能性がある。
早くもトランプ大統領は、「北朝鮮と世界にとってとても良いニュースだ。大きな前進だ! 首脳会談を楽しみにしている」とツイッターに書き込み、北朝鮮の核実験中止を手放しで喜んでいる。
正恩も、核実験とICBM試射の中止だけでなく、ほかにもトランプが飛びつく材料を用意している。米朝会談に合わせ、「スパイ容疑」で拘束しているアメリカ人3人を解放するつもりらしい。
「中間選挙を控えるトランプ大統領にとって、アメリカ本土を脅かすICBMの発射凍結だけでも、“外交成果”を訴える大きな材料になります。目に見える成果を欲しているトランプ大統領は、席を蹴らないと思う。北朝鮮と何らかの合意をするのではないか。何より大きいのは、金正恩委員長が習近平主席と会ったことです。あの時、正恩委員長が頭を下げて“体制の保障”を取りつけた可能性がある。中国の“核の傘”に入ったのではないか。もし、中国と北朝鮮が強固な“軍事同盟”を再確認したとすると、さすがにアメリカも北朝鮮を武力攻撃できない。トランプ大統領は、北朝鮮と合意し、果実を得た方が得策です」(元レバノン大使の天木直人氏)
似たもの同士のトランプと正恩は、いざ会ったら意気投合するだろうともみられている。正恩は“体制の保障”を望んでいる。アメリカと北朝鮮が「平和協定」を結び、国交正常化までコトが進むかもしれない。
この半年間、米、中、韓、ロ、朝の5カ国は、「平和解決」を模索し、水面下で凄まじい外交を続けていた。アメリカは4月上旬、ポンペオCIA長官を極秘に訪朝させ、正恩と会談させている。5カ国の外交によって、東アジアは大きく変わろうとしている。
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日本は眼中にない(C)AP |
東アジアが大きく動いているのに、ひとり「蚊帳の外」なのが日本だ。遠く離れた欧米メディアにまで、「日本は蚊帳の外に置かれた」(英タイムズ紙)とバカにされているのだから、情けないにも程がある。
一体、どこが「外交の安倍」なのか。いくら何でも、この男の外交無能、外交無策はヒドすぎる。
信じられないのは、正恩の中国訪問をまったくキャッチできなかったことだ。国会で「報道で初めて知った」と堂々と答えているのだから仰天である。当然、ポンペオCIA長官の極秘訪朝も聞かされていなかった。10日後、アメリカから報告され「エッ」と驚いたというから話にならない。
御用新聞は「安倍首相がトランプ大統領にアドバイスしている」などと報じていたが、情報がゼロなのに、どうやってアドバイスするのか。お笑いである。
「安倍首相がみっともないのは、各国のリーダーが平和解決を望み、水面下で必死に外交努力を重ねていた時も、1人だけ『圧力だ、圧力だ、圧力だ』と拳を振り上げていたことです。世界の笑い物ですよ。なぜ、この5年間“安倍外交”は失敗ばかりなのか。アメリカしか見ていないからです。隣国の韓国を見下し、実現不可能な中国包囲網に血道を上げてきた。その結果、アジアで孤立し、大事な情報を教えてもらえない。外交センスがなさすぎます。しかも、トランプ大統領を“ドナルド”と呼んで親密さを演出しているが、北朝鮮問題で慌てて訪米しても、拉致問題よりも貿易問題が会談の中心になり、『2国間交渉をやりたい』と攻め立てられる始末です。話になりませんよ」(天木直人氏=前出)
アジア外交が大失敗に終わっているのに、よくもまぁ、安倍は「桜を見る会」を主催し、花見に浮かれていられるものだ。このままでは、北朝鮮問題は日本にとって最悪の結果に終わる恐れがあることを、安倍は分かっていないのではないか。
最終的に金正恩は、「新しい核は作らない」「ICBMは開発しない」という2項目を提示し、トランプと交渉するつもりだろう、とみられている。アメリカ本土には、手を出さないということだ。
しかし、その場合、日本を射程に収める中距離弾道ミサイルは温存されることになる。脅威が変わらない日本は、今まで通り、アメリカからバカ高い兵器を買わされ続けることになるだろう。トランプも、日本に兵器を売りつけるには、その方が好都合だと考えている疑いがある。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「安倍首相がどうかしているのは、国際社会の変化を見ようともしなかったことです。金正恩委員長の“新年の演説”を聞けば、朝鮮半島が動きだす可能性があることは想像がついたはずです。少なくとも、平昌オリンピックに参加し、妹の与正氏を送り込んだ時点で、正恩委員長が本気だということは分かったはず。なのに、まったく手を打とうとしなかった。ひたすら、北朝鮮と対話を進めようとする韓国に文句を言っていただけです。
安倍首相は国際社会を大局的に見る能力も、歴史的な視野もない。やったのは、トランプ大統領に『米朝会談では拉致問題も言って下さいね』と頼み込んだくらいです。そのトランプ大統領には『アメリカの兵器をもっと買え』と迫られている。安倍首相はレベルが低すぎます」
東アジアは100年に一度の変化が起きようとしている。その時、100年に一人の無能首相では、どうにもならない。
【出典】日刊ゲンダイ 2018年4月23日
北朝鮮や通商の問題が話し合われたトランプ米大統領と安倍晋三首相との17日の首脳会談に関し、米メディアの注目は、森友学園や加計学園をめぐる問題などで苦しむ安倍氏の現状にも及んだ。
CNN(電子版)は17日、「日本での支持急落の中、安倍氏は北朝鮮問題で危険なトランプ会談に直面」との見出しで報じた。
CNNは「安倍政権は北朝鮮を信じるなと忠告してきたが、米国と韓国が対話に動いたことで無視された」と指摘。その上で「急速に変化する北東アジアで取り残されないよう、(北朝鮮の)金正恩(キムジョンウン)(朝鮮労働党委員長)との直接対話まで模索している」と苦しい状況であることを強調した。
ニューヨーク・タイムズ(電子版)は16日、「スキャンダルまみれの安倍首相、トランプ氏に会う」との見出しで詳報。トランプ氏に続き、年内にも開催をめざす中国の習近平(シーチンピン)国家主席との会談、さらには安倍政権が模索する金正恩氏との会談に触れつつ、「この3連戦に勝利するほど長くは首相の座にいないかもしれない」と指摘した。
また、公共ラジオ「NPR」(電子版)は16日付の記事で、日本の国会前で「首相はウソつき」などと訴えるデモが行われたと報じた。
その上で、昨年、トランプ氏と安倍氏が日本でゴルフをした際、安倍氏がバンカーで転んだ映像に触れ、「安倍氏の問題など眼中にないトランプ氏がフェアウェーを闊歩(かっぽ)し、安倍氏が取り残されていることを象徴している」というアジア専門家の意見を載せた。(パームビーチ〈米フロリダ州〉=土佐茂生)
【出典】朝日新聞社 4/18(水) 16:46配信
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【出典】日刊ゲンダイ 2018年4月16日/朝日新聞社 4/18(水) 16:46配信 |
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アベ日本は格好の草刈り場(C)JMPA |
6回目の日米首脳会談を前に、安倍首相の口からやたらと威勢のいいセリフがポンポン飛び出している。北朝鮮問題では完全に蚊帳の外に置かれているにもかかわらず、「南北首脳会談や米朝首脳会談における基本方針を固めたい」と強がり、化学兵器使用疑惑が持ち上がったシリアに対する米英仏による攻撃を受け、「シリア問題、中東問題について話をしていきたい」と気勢を上げる。
6月上旬までに実施予定の史上初の米朝首脳会談で日本人拉致問題を取り上げるよう働き掛け、北朝鮮の核放棄を確認するまで経済制裁を緩めないようクギを刺す一方、シリア問題を北朝鮮に対する「間接的な圧力」にする狙いがあると解説されている。とどのつまり、トランプ大統領からひと言でも安倍寄りの発言を引き出し、“外交の安倍”の再演で政権浮揚を図るもくろみなのである。
そもそも、この会談はなぜセットされたのか。
「日米は100%共にある」「日米同盟はかつてないほど強固」と繰り返し、拳を振り上げて対北圧力を叫んできたのに、トランプが突如として融和政策にカジを切り、米朝会談を決定した。寝耳に水の急展開に慌てた安倍は、トランプとの電話会談で予算成立後、最短スケジュールの4月初旬の訪米を打診。それもトランプの都合で先延ばしにされ、17~20日の日程でようやく着地した。
この間、安倍を取り巻く状況は一層悪化。モリカケ疑惑の再炎上、働き方改革をめぐる厚労省の不正データや野村不動産の過労自殺、防衛省の日報問題などが政権を直撃し、内閣支持率はつるべ落とし。
13~15日に実施されたNNNの世論調査では支持率は26.7%まで下落。ついに3割を切り、危険水域に突入した。第2次安倍政権発足後、報道各社の調査で最低の数字だ。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「安倍首相は政権基盤が弱くなると外遊に出かけ、カネをばらまいて外交ショーを演出し、大国ヅラすることで支持率回復を図ってきました。そうした姿勢は露骨に強まり、日米会談で何としてもいいところを見せ、点数を稼ごうと必死です。かたやトランプ大統領の足元もグラグラで、ロシアゲート疑惑などで支持率は下落傾向にある。米朝会談やシリア攻撃も11月に控える中間選挙に向けた成果づくりの一環です」
安倍もトランプもグチャグチャの内政を抱え、外交を世論対策に利用しようとおのおの企てているのである。
元外務省国際情報局長の孫崎享氏がこう言う。
「シリアのアサド政権は全土をほぼ制圧しています。このタイミングで化学兵器を使用する動機も理由も見当たらない。にもかかわらず、米国はアサド政権による仕業だと断定し、OPCW(化学兵器禁止機関)による現地調査も検証も待たず、国連安保理の決議もないまま軍事力を行使しました。背景には米国と親密なイスラエルの安全保障問題もある。シリアの隣国であるイスラエルにとって、敵対関係にあるイランが支援するアサド政権の復権は受け入れられない。北朝鮮問題を重視する日本はあらゆる動きを北朝鮮と結び付けようとしますが、シリア問題との関連は5%もありませんよ」
疑惑まみれの2人が画策する刹那の目くらましの不毛と無定見の恐ろしさがアリアリである。
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渦中の柳瀬経産審議官も同行(C)日刊ゲンダイ |
日米会談のもうひとつのテーマが通商問題だ。
米国第一主義のトランプは3月に安全保障上の理由で鉄鋼・アルミ製品への新たな関税措置を導入。同盟国の日本を適用除外にしないばかりか、安倍を名指しして「こんなに長い間、米国をうまくだませたなんて信じられないとほくそ笑んでいる。そんな日々はもう終わりだ」とコケにした。
好条件での再交渉を前提にTPP(環太平洋経済連携協定)への復帰検討を始めると、安倍は急きょTPPを担当する茂木経済再生相に訪米を指示。カウンターパートにUSTR(米通商代表部)のライトハイザー代表を想定した新たな対話の枠組みを提起するという。もっとも、追加関税もTPP歩み寄りも、日本が避けてきたFTA(自由貿易協定)などで2国間交渉に持ち込むための呼び水だともっぱらだ。
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「関税措置を回避する道は、トランプ政権が求め続けている日米FTAの交渉開始しかないでしょう。しかし、それを受け入れたら、多国間協定にこだわり、日本が主導した米国抜きのTPP11が宙に浮いてしまいます。それでも安倍首相はトランプ大統領からのプレッシャーに耐えかね、日本市場の開放に踏み出してしまうのではないか。そんな懸念が高まっています」
米国の農業界は、トランプが中国に仕掛けた貿易戦争への報復措置で稼ぎ頭である中国市場を失う危機感を募らせている。その穴埋めになるのが、日本市場なのだ。
さらに、自動車業界をはじめとする複数の日本企業による直接投資プランも浮上している。米国内に生産拠点などを新たにつくるほか、米企業のM&A(合併・買収)を進めて投資を加速させる提案を検討していると報じられた。雇用創出にこだわるトランプにとって、わかりやすい手土産になるというのである。
安倍は4月に入って連日、官邸で訪米に備えた勉強会を開催。外務、財務、経産、農水、国交、防衛各省から幹部が参加。都合2時間を超える日があるほどの熱の入れようだが、その結果がこうした売国外交なのだから、目もあてられない。
勉強会に日参する柳瀬唯夫経産審議官も訪米に同行。加計学園による獣医学部新設計画をめぐり、首相秘書官として官邸で愛媛県と今治市の職員と面会し、愛媛県が作成した備忘録に「本件は首相案件」との発言を記載された渦中の人物である。各社の世論調査で約7割が証人喚問を求めている。追い詰められた首相と元首相秘書官がトランプ相手にディールという冗談のような亡国貢物交渉の行く末に、マトモな展望が開けるはずがない。
日米会談の会場はフロリダ州にあるトランプの別荘「マール・ア・ラーゴ」。トランプのリクエストに応じ、結局ゴルフをプレーするという。
「日本の国益を考えれば、今回の日米会談は外交手腕が問われる非常に難しい交渉です。そんな席でゴルフに興じるなんてあり得ません。ゴルフ外交を通じて信頼関係を深めるとかいわれていますが、トランプ大統領は安倍首相をハナから交渉相手と見なしていないのでしょう。これまでの付き合いを考えれば、議論をしようがしまいが、最後は自分の言いなり。政権基盤の弱体化でますます足元を見られ、何を言ってもイエスと応じるとタカをくくっているのです」(五十嵐仁氏=前出)
大義も何もない世にもおぞましい日米首脳会談。安倍をズルズルと延命させた代償は国民一人一人に重くのしかかることになる。
【出典】日刊ゲンダイ 2018年4月16日
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【出典】日刊ゲンダイ 2018年4月16日 |
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安倍首相のメシ友読売新聞・小田尚 論説主幹が警察行政を仕切る国家公安委員に!
持ち回りの”マスコミ枠”で年間給与額は2347万円! (国家公安委員会HPより) |
政府が国会同意人事案、12機関28人を提示 【日本経済新聞】
経済 政治 2018/1/23 13:23より
政府は23日午後、衆参両院の議院運営委員会理事会に、公正取引委員会の杉本和行委員長(67)を再任し、国家公安委員会委員に読売新聞グループ本社取締役論説主幹の小田尚氏(66)を充てるなど、12機関28人の人事案を提示した。 |
通常国会の裏側で、またもや安倍首相の“お友だち”人事がコッソリと進められようとしているのをご存知だろうか。政府が23日、衆参両院の議院運営委員会理事会に提示した政府人事案によると、近年“安倍政権御用紙”化が著しい読売新聞の現役幹部を、警察行政の最高管理機関・国家公安委員会の委員に抜擢するというのだ。
その読売幹部とは、読売グループ本社取締役論説主幹の小田尚氏のことだ。小田氏は読売の政治部畑を歩んできたエリート中のエリート。政治部長などを経て、2011年に東京本社取締役論説委員長、そして第二次安倍政権誕生後の2014年にはグループ本社論説主幹にまで上り詰めた人物である。昨年5月には日本記者クラブの理事長にも就任したが、2年間の任期満了を待たずして、先日突如「一身上の都合」を理由に理事長を退任していた。
一方、読売の小田氏といえば、大マスコミ幹部でありながら安倍首相と会食を繰り返す、いわゆる“メシ友”としても知られる。その会食回数は抜きん出ており、首相動静によれば、第二次政権発足から現在までに少なくとも14回を数え、永田町の高級中華料理店「溜池山王聘珍樓」や西新橋の「しまだ鮨」などで仲良く美食に舌鼓を打ってきた。
小田氏は昨年12月26日にも、日本テレビの粕谷賢之報道局報道解説委員長、NHKの島田敏男解説副委員長、朝日新聞の曽我豪政治部編集委員、そしてお馴染み田崎史郎・時事通信社特別解説委員らとともに安倍首相を囲んでいる。舞台となった日本料理店「京都つゆしゃぶCHIRICHIRI」京橋店は安倍首相が好んで会食場所にする店。極薄の高級豚肉をお湯にさっとくぐらせ、あっさりした和風つゆでいただく「つゆしゃぶ」が売りだ。
そんな安倍首相の“メシ友”である小田論説主幹だが、実際、読売紙面で担当している「補助線」という名のコラムでも、安倍政権を擁護するような論調が目をひく。
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読売新聞・小田尚 論説主幹 |
たとえば、「「森友」政局に幕引けるか」と題した昨年4月15日付コラムでは、〈常識的には、国有地払い下げの手続きに国会議員が介在することはない。秘書も含めて、そんな危ない橋は渡らないものだ〉〈口利きが「ない」ことを立証するのは「悪魔の証明」にほかならない〉〈結局、森友問題は、政局の要素を除けば、籠池氏が小学校建設の工事契約額をごまかして、国交省の補助金を不正受給したとの疑惑が主なのではないか〉と連ねるなど、安倍夫妻にかけられた疑惑を徹底して払拭しにかかるような書きぶりだった。
また、加計学園問題をとりあげた昨年6月17日のコラムでも、前川喜平氏について〈前次官の乱という様相を呈している〉としたうえで、〈会見の発言との整合性は保たれているのか〉〈「総理の意向」はしょせん、伝聞の伝聞に過ぎない。それによって、行政のあり方はどうゆがめられたというのだろう〉と攻撃。さらに〈規制緩和で新規参入を認めたい内閣府に対し、規制を維持したい文科省が、政府内の議論で敗れただけではないのか〉などと書いており、その目線はまるで官邸の代弁者かのようだ。
いや、コラムだけでない。周知の通り、最近の読売はもはや安倍政権の“広報別働隊”のようになっており、その関係はまさに相思相愛だ。昨年5月には憲法改正に関する安倍首相の独占インタビューを読売が報じ、さらには前川氏への「出会い系バー」スキャンダルのような“謀略記事”まで手がけるようになった。
実際、この“買春”を匂わせた実話誌レベルの下半身記事は、NHKや民放のインタビューに応じていた前川氏の動きを察知した官邸が、その告発を潰すために読売にリークして書かせたものだとい言われる。読売の報道後、各社が後追いに走ったが、結局、前川氏の“買春”の事実はまったく浮び上らなかった。
記事の不自然さは、元読売新聞社会部記者の大谷昭宏氏も「これは依頼が断れない記事を指す『ワケアリ』の特徴です。官邸との癒着を読売は否定するだろうが、内部にいた人間なら誰でもわかる」(「AERA」17年6月12日/朝日新聞出版)と指摘。また、米紙ニューヨーク・タイムズの前東京支局長であるマーティン・ファクラー氏も〈この出来事1つを取っても、読売新聞は完全に安倍政権の機関紙といえるだろう〉〈アメリカの状況に当てはめると、朝日新聞がニューヨーク・タイムズに、読売新聞は「オルト・メディア」のブライトバートに当てはまる〉(『権力者とメディアが対立する新時代』詩想社)と、“オルタナ右翼のフェイクニュースメディアと同レベル”とまで断じている。
やはり、読売新聞がこうした謀略記事まで手がけるようになった背景には、“天皇”こと渡邉恒雄主筆と自民党の関係だけでなく、小田論説主幹らが頻繁にくり返す安倍首相との会食も関係しているのではないのか。そう勘ぐられても仕方があるまい。そして、そんななかで政府が読売幹部を国家公安委員という役職に抜擢しようというのだから、これも読売の貢献に対して安倍政権が与えた“ご褒美”としか思えないのだ。
そもそも、この小田氏の起用を含む政府人事案は、国会で同意されたのち、総理大臣が正式に任命する見通しだが、国家公安委員会といえば前述のとおり、内閣府外局として警察庁を管理する行政機関だ。1名の国家公安委員長(現在は自民党の小此木八郎衆院議員)と5名の委員で構成され、委員(任期5年、1度に限り再任可)は「特別職の国家公務員」という扱いである。
当然、委員には国から給与が支払われる。内閣人事局に問い合わせると、その俸給は月額117万5000円で、期末手当(ボーナス)などを含む年間給与額は実に約2347万円にものぼるという。これは内閣官房副長官補や常勤の内閣総理大臣補佐官と同レベルであり、政府役職のなかでも“高給取り”と言えるだろう。
だが、その高待遇以上に疑問なのは、仮に、大マスコミの現役幹部が国家公安委員という政府の役職に就任したとしたら、はたして報道機関に当然求められる「公権力からの独立」が保たれるのだろうかということ。とりわけ、たとえば国家公安委員会が不問とした警察不祥事に対しては、委員の出身機関の報道が萎縮してしまうのではないか。そもそも、報道各社は国家権力の暴走や不正を追及する立場であるにもかかわらず、経営幹部が“お上”からカネをもらうこと自体が倫理的にアウトだろう。
いったい、小田氏が所属する読売新聞社はどう考えているのか。本サイトは29日、読売新聞グループ本社に対し質問状を送付。以下の4点について問い合わせた。
・小田尚氏は、平成30年1月29日現在、「読売新聞グループ本社取締役論説主幹」の役職に就いていますか。
・小田氏が政府人事案どおりに国家公安委員会委員に就任した際、御社の取締役論説主幹から退任、あるいは御社を退職する予定はありますか。
・いずれにしても、御社の取締役論説主幹まで登りつめた方が、政府役職である国家公安委員会委員を務めることになれば、報道機関に求められる公権力からの独立に反すると本サイトは考えます。御社のご見解をお聞かせください。
・国家公安委員会委員は「特別職の国家公務員」であり、年間給与額にして約2300万円の俸給が与えられます。マスコミの経営幹部が政府から大金を受領することは、国民感情としても受け入れられないと考えます。御社として倫理上、どのようにお考えですか。
これに対し、読売新聞グループ本社広報部は30日、書面で〈以下の通り一括してお答えします〉として、このように回答した。
〈小田は取締役論説主幹を近く退任する予定であり、国会の同意があれば、退任後に国家公安委員会委員に就任することになります。
今回の件で、読売新聞の報道がなんらかの影響を受けることはありえず、報道の独立を損ねるというご指摘は当たらないと考えます。
なお、国家公安委員には、歴代、新聞社、通信社、NHKの出身者が就任しています。〉
見ての通り、「マスコミの経営幹部が政府から大金を受領することは、国民感情としても受け入れられない」という本サイトの意見についてはまともに取り合わなかったかたちだが、いずれにしても、小田氏が取締役論説主幹を退任するだけでは、問題の本質は何も変わらないだろう。
そもそも、国家公安委員の選考については表向き「法曹界、言論界、産学官界等の代表者」(国家公安委員会ホームページより)とされる一方、実際には5名のうち1名は“マスコミ幹部枠”であり、そこに新聞社やNHKの経営幹部が入れ替わり起用されてきた。これは政府・マスコミ間の“暗黙の了解”であり、だからこそ「お飾り装置」「税金泥棒」という批判とともに、以前からそのベタベタな体質が「御用機関」と問題視されてきたのである。
事実、これまでも坂本朝一・元NHK会長や、新井明・元日経新聞会長、吉田信行・元産経新聞専務取締役などが就いており、読売新聞からも荻野直紀・元常務取締役論説委員長が2000年から04年まで国家公安委員となった。また、現在は奥野知秀・元共同通信デジタル社長が2013年から委員を務めている(新井氏以外は就任前に当時の肩書きから退任)。つまり今回、読売の小田論説主幹は、共同の奥野氏と入れ替わるかたちで、その“マスコミ枠”の後釜におさまるわけである。
読売が本サイトへの回答に〈なお、国家公安委員には、歴代、新聞社、通信社、NHKの出身者が就任しています〉とわざわざ付したのを見ると、さも“われわれだけ批判される覚えはない”とでも言いたげだが、こんなものは言い訳にすらならない。繰り返すが、そんな政府役職にマスコミの幹部が持ち回りで就き、大金を得てきたという経緯自体がどうかしているのだ。ようするに、読売の回答からわかったのは、この大新聞は依然として国家公安委員をめぐる危険な人事体制を容認しており、ましてやこの問題が「報道の独立」を脅かしかねないという認識すら持っていないという、おそるべき事実に他ならない。
しかも、マスコミ以外からも東電会長や経団連会長などが委員に選ばれてきたことを考えれば、国家公安委員会というのはつまるところ、政治権力に都合よくつくられた“お仲間クラブ”と言わざるをえない。たとえば第一次安倍政権が生まれる直前には、安倍首相のブレーンとも言われるJR東海の葛西敬之会長(現名誉会長)が就任しているが、これは当時官房長官だった安倍氏の意向を受けて警察庁が推薦したのではないかとも取り沙汰された。
いずれにせよ、国家公安委員に読売の小田尚論説主幹をあてるという今回の政府人事は、政権によるメディアへの“アメとムチ”のひとつとしか考えられない。だが、やはりというべきか、“共犯関係”にあるマスコミ各社はこの人事案をベタで伝えるだけで、問題を完全に無視し続けている。その意味でも、政治権力にとってこの“アメ”はうまくいっているようだ。マスコミが見て見ぬ振りをするならば、国民が声を大にして批判するしかあるまい。
(編集部)
【出典】LITERA 2018.01.31
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総理!今夜もごちそう様!【平成30年1月のご会食一覧】
今月の「会食人数(のべ人数)」は49名でした。今月の「会食時間」は36時間10分でした。今月の「会食総額(予想)」は110万4980円でした。 |
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奔放すぎる(C)日刊ゲンダイ |
日経新聞の世論調査で、森友問題を巡る疑惑で政府の説明に「納得できない」が78%だったのに対し、「納得できる」はたったの12%。国民の理解が進まない原因の一端は、いまだにハッキリと説明をしない昭恵夫人(55)にもある。
ところが、まったく懲りちゃいないようだ。関係者によると、20日に首相公邸で親しい知人を招いて忘年会を開く予定だというのだ。
昭恵夫人は、11月18日に自身がオーナーを務める居酒屋「UZU」の開店5周年記念パーティーを開催。今月10日には、安倍首相を伴いパレスホテル東京の中華料理店「琥珀宮」で歌手の松任谷由実と会食した。昭恵夫人のフェイスブックには他にも、本人がワイン片手に関係者と笑顔を浮かべていたり、立食パーティーを楽しんでいる様子を撮った写真が掲載されている。
昭恵夫人開催の飲み会に参加したことがある関係者はこう言う。
「忘年会や新年会、暑気払いなどといった節目に縛られず、ちょくちょく私的な飲み会を開いているようです。過去に知り合った仕事の関係者や社会人大学院時代の同級生など、気の合う仲間を招くケースが多い。本当にたわいのない気軽な宴会といった雰囲気でしたね」
すっかり“飲み会”三昧のようだが、首相公邸で開催するというのはいかがなものか。首相公邸は国家公務員宿舎法に基づき設置され、年間約1億5000万円の維持管理費の原資はもちろん税金だ。政府は今年3月、昭恵夫人について「公人ではなく私人」と閣議決定していたではないか。
政治評論家の山口朝雄氏はこう言う。
「『私人』という立場にありながら、首相公邸で私的な会合を開くのならば、公私混同と言わざるを得ません。それに、森友問題について、国民はまだ納得していない。私的な会合への出席を優先させるのは順序が違います。説明が先でしょう。夫人の行動をとがめない首相にも問題があります」
首相官邸に問い合わせると「夫人のプライベートな案件については、把握していない」と回答。安倍晋三事務所に質問状を送付し、昭恵夫人の携帯電話の留守電にもメッセージを残したが、返答はなかった。
昭恵夫人は7日、ベルギー大使館での勲章授与式で「今年は本当にいろいろなことがあり、つらい一年でした」と涙ながらに語っていたが、酒を飲んで“年忘れ”なんて許されない。
【出典】日刊ゲンダイ 2017年12月19日
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飲み会三昧の昭恵夫人 首相公邸で忘年会開催の公私混同(日刊ゲンダイ) |
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「つらい…」の3日後 昭恵夫人“ユーミンとニコリ”の厚顔
日刊ゲンダイ 2017年12月13日 |
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写真記者協会賞に「沖縄の視線」- 12月19日から展示 2017年の東京写真記者協会賞グランプリに選ばれた東京新聞・沢田将人記者撮影の「沖縄の視線」 |
「目は口程にものを言う」と言うが、まさにそのものずばりの写真である。この写真1枚で100行の原稿より説得力がある秀作だ。私もこの写真が載った記事を見て衝撃を受けた。それほどインパクトがある1枚である。by
半歩前へ
東京写真記者協会(新聞、通信、放送など33社加盟)は24日、今年の優れた報道写真に贈る各賞を発表し、東京新聞の「沖縄の視線」が協会賞グランプリを受賞した。沖縄慰霊の日の「沖縄全戦没者追悼式」で献花に向かう安倍晋三首相に対して翁長雄志知事や関係者、子どもたちが視線を注いだ瞬間を捉えた。
受賞作品を含む約300点の写真は「2017年報道写真展」で展示される。期間と場所は12月19~25日が日本橋三越本店(東京都中央区)、12月27日~来年1月3日(元日を除く)が静岡伊勢丹(静岡市)、1月13日~3月25日(休館日を除く)が日本新聞博物館(横浜市中区)
【出典】2017/11/25 05:00 一般社団法人共同通信社
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首相官邸HPより |
トランプ米大統領はきょう、離日し、韓国に向かった。安倍首相は今回の来日について「日米同盟の揺るぎない絆を世界に示すことできた」と自画自賛しているが、バカも休み休み言え。
この米大統領は、日本を徹頭徹尾、“米国の属国”扱いし、食い物にしようとしていただけではないか。
来日前からその兆候はあった。トランプは立ち寄ったハワイで「パールハーバーを思い出せ。戦艦アリゾナを思い出せ。決してあの日を忘れない」とツイートしたのだ。いうまでもなく“Remember Pearl Harbor”は真珠湾を奇襲した日本の卑劣さを忘れるなという意味で、日米開戦のスローガンとして使われた言葉だ。
さらに、信じられないのが米軍横田基地から日本入りしたことだ。通常、歴代米大統領が首都圏に来る場合、羽田空港を使う。ところが、トランプはあえて日本の入国審査や法体系が通用しない米軍基地に降り立ったのである。これは明らかに“日本には主権などない、いまも米国の支配下にある”とのメッセージにほかならないだろう。
しかもその日、トランプ大統領は横田基地での演説で「横田基地は日本のみならず世界でもっとも能力の高い基地だ」とした上で、こう言い放った。
「我々は空を支配し、海を支配し、地上と宇宙を支配している! 単にいま最高の装備を持っているからではない。これからたくさんやって来るのだ。諸君も予算を知っているだろう。過去とは比べものにならない。素晴らしい新装備がこれからたくさん送られてくることになる。そして、アメリカ以上にそんな装備を作ることができるものなどいない。アメリカだけだ」
他国の駐留基地で「空と海と地上を支配している」などというセリフを平気で口にするというのは、日本を属国扱いしている証拠である。
しかも、トランプが今回の来日で目的にしていたのは、日米同盟の結束などではない。
安倍首相との共同記者会見でトランプはこう断言した。
「安倍首相は様々な防衛装備を米国からこれから購入することになるだろう」「そうすれば上空でミサイルを打ち落とすことができる」
そう、トランプは、武器を売りつけていたのだ。もともと、「バイ・アメリカン」(アメリカ製品を買おう)をスローガンにかかげ、とりわけ軍需産業の活性化によって国内経済を立て直したいという思惑をもつトランプだが、北朝鮮を挑発して危機感を煽ることでアメリカの武器を買うよう、日本に要求していたのだ。
まるで“ヤクザ”まがいのやり口だがが、しかし情けないのが、その“ヤクザ”に言われるがまま状態の安倍政権だ。
安倍首相はこれまで国会で「我が国は最先端の技術を用いた米国の装備品を導入しているが、これらは我が国の防衛に不可欠なもの」として、「結果として、米国の経済や雇用にも貢献するものと考えている」などと宣い、8月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)でも、北朝鮮危機を理由に小野寺五典防衛相が新たなアメリカ製弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」を導入したいとアメリカ側に伝えた。
イージス・アショアは1基につき約800億円で、日本は2基・約1600億円分を購入する予定だという。
そして、昨日の日米首脳共同記者会見で安倍首相は、あらためて「北朝鮮情勢が厳しくなるなかで、日本の防衛力を質的に量的に拡充していかないといけない」と明言し、具体例としてF-35戦闘機などをあげて「米国からさらに購入することになる」とトランプの前で確約。貿易摩擦を軍事装備で解消するとのアメリカの目論見を丸呑みしてしまったのだ。
しかも、あらためて言っておくが、こうした安倍政権の軍事装備の大量購入は、日本を守るためではなく、単にアメリカの懐を潤すことにしかならない。むしろ、トランプによって、これから日本は北朝鮮との戦争参加を強要されていくだろう。
事実、トランプは日本の対北朝鮮への姿勢にかんして、恐るべき発言をしていた。今年8、9月に北朝鮮が日本列島上空を通過する弾道ミサイルを発射した際、日本政府は「我が国に飛来する恐れがないと判断した」(小野寺防衛相)として、イージス艦や地対空誘導弾PAC3などで破壊措置を実施しなかった。ところが、これについてトランプは、東南アジア諸国の複数の首脳に「迎撃するべきだった」「武士の国なのに理解できない」などと、不満げに語っていたというのである。
「武士の国」などという言い方がネトウヨとそっくりで笑ってしまうが、それよりも、この男は日本が北朝鮮のミサイルを迎撃するということがどういう意味をもつのか、わかっていっているのか。
日本政府は8月と9月のミサイル発射の際、事前にその兆候を掴んでいたといわれるが、そもそも、落下地点はそれぞれ襟裳岬から東に約1180km、2200km先太平洋上の公海で、日本の領海どころか排他的経済水域の外側だ。
北海道を通過したといっても、高度は推定550km(8月)と800km(9月)で、日本の領空のはるか上である。
それを、トランプが言うように、日本が迎撃していたらどうなっていたか。そもそも技術的問題として可能だったかはおくとしても、もし上空のミサイルを撃ち落としていれば、逆に日本の先制攻撃とみなされうる。言わずもがなその場合、北朝鮮が日本を攻撃する口実を与えることになる。
おそらく、トランプはそのことを期待していたのだろう。日本が北朝鮮のミサイルを迎撃し、北朝鮮が日本を攻撃すれば、心置きなく戦争に突入できる。
しかも、その場合の日本の被害など一顧だにしていない。ようするに、トランプはアメリカの安全が守られれば、日本なんてどうでもいい。もっといえば、アメリカを守るための盾としか考えていないのだ。
しかし、繰り返すが、こんな姿勢を露骨に示されても、安倍首相は、トランプ大統領を散々もてなしてご機嫌をとり、武器の大量売りつけを丸呑み。国内マスコミも、武器輸入の問題にほとんど沈黙するだけでなく、まるで報道協定を結んでいるかのごとくトランプ批判を封印した。それどころか、読売新聞、産経新聞などの安倍応援団は、安倍首相同様、トランプ来日の意義を「同盟を盤石なものとする絶好の機会」(産経)、「相互の信頼は一段と深まった」(読売)などと手放しで礼賛している。
さらに失笑せざるをえないのが、ふだん「愛国」をふりかざしている安倍応援団やネット右翼の連中だ。
トランプ来日と前後して、日本に暮らすアメリカ人や市民が集まり、トランプ大統領の排外主義や北朝鮮への挑発を批判するデモが行われたが、一方の「保守派」は新宿などで来日歓迎のデモや街宣を行ない、「反トランプは在日だ」などとのたまいながら星条旗を振りかざしていた。
ネット上でも、トランプを批判する発言を「反日」「売国奴」扱いし、逆に「真珠湾を思い出せ」ツイートについては見て見ぬふりを決め込んでいる。
日本内の米軍基地からの“裏口入国”を許すなど、国の主権を散々踏みにじられている行為を看過し、米国のためでしかない無用な軍事装備を大枚叩いて買わされ、あげく戦争まで起こせと言われている。これの一体どこが日本の「国益」になるのか、連中に聞いてみたいものだ。
「保守」を名乗る連中は、リベラル派を「思考停止のお花畑」と揶揄するが、トランプのむちゃくちゃな要求に両手を上げて受け入れ、対米従属のポチ犬ぶりをさらけ出す安倍政権を盲目的に賛美する。そういう奴らのほうが明らかに「思考停止のお花畑」と呼ばざるをえない。
いずれにせよ、トランプが朝鮮半島情勢の緊迫を奇貨として、日本に対する経済的圧力を強め、あまつさえ戦争さえけしかけているのは明らか。このままトランプ・安倍の暴走を許してしまったら、それこそ「売国」どころか「亡国」の事態になりかねない。
(編集部)
【出典】LITERA 2017.11.07
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芝居がかった挑発 裏側と危うさ こんな政治ショーで金正恩がひるむのか 北をとことん利用し、壊憲という暴力政治を正当化したうえで、トランプの威光をかさに戦争国家への総仕上げにひた走る狂乱政権とそれに全面協力の大メディア
(日刊ゲンダイ) |
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日米同盟で日本が守られるのではなく戦争に巻き込まれる |
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金子勝の天下の逆襲(日刊ゲンダイ) |
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対日貿易赤字の解消迫る 嗚呼・・・無軌道な政権の大盤振る舞い【トランプが貪り尽くすジャパンマネー8兆円】米国の輸出地ならしに1兆円差し出す馬鹿さ加減 安倍の隷従外交により、トランプは完全に図に乗ってしまった。今後も8兆円の赤字が埋まるまで、対日FTA交渉などで容赦なく..(日刊ゲンダイ) |
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メラニア夫人に真珠、長女イバンカには高給クロス【昭恵夫人】金満外交のエゲツなさ お嬢さま育ち故の天真爛漫さといえばそれまでだろうが、エゲツない金満外交には呆れるばかり。せめて、プレゼントの原資がどこから出ているのかフェイスブックで明かして欲しい。(日刊ゲンダイ) |
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国連の慰安婦日韓合意見直し勧告に発狂する安倍政権とネトウヨの身勝手な論理!
首相官邸HP「総理の一日」より |
国連の人権条約に基づく拷問禁止委員会が12日、慰安婦問題に関する2015年末の日韓合意について、合意の見直しを勧告した。元慰安婦に対する「補償や名誉回復、再発防止の保証などが十分ではない」として懸念を表明している。
案の定、この報道に日本のネット右翼はブチギレ。こんな雄叫びをあげている。
〈国連が完全に狂ってる〉〈国連委員会の勧告なんていうのはどこの国も無視している。日本も無視して黙って拠出金を止めればいい〉〈トランプと組んで、国連脱退せよ!!〉〈日本は国民感情で韓国との国交断絶を望む!〉〈国連とやらはそんなに日本に戦争させたいのか?〉
国際社会を顧みず「国連脱退」や「戦争」などとすぐに言い出す連中のファナティックぶりには毎度、呆れざるをえないが、こうしたネトウヨの反応の背景には、今月就任が決まった韓国新大統領の文在寅が、日韓合意の再交渉を主張してきたことも大きいのだろう。
だが、考えてもみれば、そもそもネトウヨや右派たちは、15年末に安倍政権が慰安婦問題で朴槿恵前政権と合意を結んだ際、これに猛反発。〈詐欺師売国アベ!日本から出ていけ!〉〈国賊、安倍晋三は今すぐ死ね〉〈今日の件で支持をやめました。アベ政治を許さない〉などと怒り狂って“合意無効”を主張していた。
ところが、合意から1年を迎えた16年末、韓国の市民団体が新たな少女像(「平和の碑」像)を設置したことが伝えられると、ネトウヨたちは一転、今度は「合意を守れ!」の大合唱。結局のところ、連中の目的は、いかにして日本の戦争犯罪の事実をかき消して、「韓国は黙ってろ!」と叫べるかに尽きるのだ。実に愚かである。
しかし、この新たな少女像設置については、安倍政権も駐韓大使を引き揚げるなど、正気の沙汰とは思えない対応に出て、国内マスコミも散々煽りに煽った。結果、ネトウヨ以外の一般の日本国民までもが「約束を守らない韓国はけしからん」という誤った空気に染まってしまった。
その意味においては、今回の国連委員会の勧告は、両国の慰安婦問題を今一度見直すいい機会になるだろう、とまずは言っておく。そのうえでわたしたちは、15年末の日韓合意がいかに不十分であったかを認識し、韓国市民による新たな少女像の設置に対して政府が「けしからん」といきり立つ道理などないことを、再確認する必要があるだろう。
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首都ソウルの日本大使館前に設置された「慰安婦像」と記念撮影する少女=2015年8月14日、韓国(早坂洋祐撮影)
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まず、簡単に振り返っておくと、15年の日韓合意では、日本政府は韓国政府が設立する元慰安婦を支援するための財団(「和解・癒やし財団」)に10億円を拠出し、一方の韓国政府はソウルの日本大使館前の少女像について関連団体と協議したうえで「適切に解決されるよう努力する」と提示。これにより、日韓政府は「慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決」を確認するという内容だった。
しかし、もともとこの合意自体、慰安婦問題の歴史認識を軽視し、カネですべてを解決しようとする安倍政権の意向が強く滲み出たものだ。「心からおわびと反省の気持ち」の表明等についても、一貫して日本政府に慰安婦問題での謝罪を要求してきたアメリカ側からのプレッシャーにしぶしぶ従ったにすぎない。
だいたい安倍は、若手議員のときから「(慰安婦だという人の中には)明らかに嘘をついている人たちがかなり多くいる」「実態は韓国にはキーセン・ハウスがあって、そういうことをたくさんの人たちが日常どんどんやっているわけですね」(『歴史教科書への疑問 若手国会議員による歴史教科書問題の総括』より、勉強会での安倍の発言)と主張し、2006年の第一次政権では「狭義の強制性はなかった」「強制性を証明する証言や裏付けるものはなかった」などとして河野談話の見直しを宣言してきた。
そんな安倍が手のひらを返し、元慰安婦の人々に対して「心からおわびと反省の気持ち」を表明したことは、日韓両国で意外なこととして受け取られた。しかし一方で「朴大統領に安倍首相が心からおわびと反省の気持ちを表明」というのは岸田文雄外相や世耕弘成官房副長官(当時)らが伝聞として説明しただけで、安倍首相自身の口から公の場で「元慰安婦たちへのおわびと反省」が具体的に語られることはなく、当然、ある種の警戒心が芽生えてしかるべきことだった。
そして事実、昨年10月には、元慰安婦たちが首相による「おわびの手紙」を求めていることに対し、安倍は国会答弁で「毛頭考えていない」と全否定。やはり「心からのおわびと反省の気持ち」は“見せかけ”だけのものでしかないことを知らしめたのである。韓国内で慰安婦合意の撤回と全面的再交渉を求める声が盛り上がるのも当然だろう。
そんななか、前述のとおり昨年末、韓国の市民団体が釜山に新たな少女像を設置すると、安倍政権は駐韓大使の一時引き上げや日韓通貨スワップ協議の中断などの対抗措置を断行。露骨に韓国政府に圧力をかけ、近代民主主義国家の大原則である表現の自由と“平和を思う人々の内心”を圧殺しにかかったのだ。
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日韓合意後も慰安婦像前のデモは続いている(写真:YONHAP NEWS/アフロ)
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念のため繰り返すが、日韓合意では、少女像について韓国政府と団体が協議などを通じて解決に努力すると決めただけであって、法的な拘束力はないし、もとより、そんなことが認められるはずもない。
そもそも、安倍政権は少女像をさも“反日の象徴”“日本への嫌がらせ”のように扱っているが、これは彫刻家によるれっきとした美術作品=表現芸術で、その資金は市民による募金である。民主主義国家ならば当然尊重すべき、国民の「表現の自由」の範疇だ。
しかも、少女像の製作者である彫刻家、キム・ソギョン氏とキム・ウンソン氏夫妻は、決して日韓の慰安婦問題だけに取り組んでいるのではなく、ベトナム戦争時の韓国軍による民間人虐殺の加害意識も正面から受け止め、謝罪と反省の意味を込めた「ベトナムのピエタ像」の制作も行なっている。
つまり、少女像は決して“反日の象徴”ではなく、正式名称の「平和の碑」の名のとおり、戦争を憎み、犠牲者を悼み、世界の平和を希求する市民の思いが込められているのだ。たとえば、同じように平和の象徴である広島の「原爆の子の像」(禎子像)について、原爆を投下したアメリカが「10億円を出すから像を撤去しろ」などと言って日本政府が強制排除したら、わたしたちはどう思うだろうか。そんなものは、いくら政府間で合意をしようが人々の気持ちを置き去りにしたものであって、なんの意義もなければ正当性もない。当たり前の話だろう。
日韓合意も同じだ。本来、慰安婦問題に“解決”というものがあるとしたら、それは、加害国の首相が、元慰安婦の目の前で過去の行いを詫びて、反省を示し、今後絶対に戦争犯罪を再現しないことを誓って初めて、そのスタート地点に立てるというものだろう。ところが安倍は、元慰安婦の人々が求める日本の首相の直接的なおわびの手紙を拒否し、あろうことか「財団への10億円の拠出」を名目に平和を希求する市民の心まで弾圧しにかかった。
ようは「カネを出したのだからつべこべいうな」というあまりに心無い態度だ。
何度でも言うが、本来、被害者や平和を思う市民の気持ちを無視したまま、国と国とが勝手に交わした“合意”など、なんの価値もないのである。それは、民意も直接的に表している。周知のとおり、韓国では朴槿恵前大統領が親友の国政介入疑惑で国民から盛大な怒りを買い失職。直接選挙で、リベラル派で日韓合意に否定的な文在寅氏を新大統領に選出した。報道によれば、文在寅大統領は11日の安倍首相との電話会談でも、日韓合意について「国民の大多数が、心情的に合意を受け入れられないのが現実だ」と伝えたという。民主主義国家の代表として至極当然の表明だ。
ところが安倍政権は、この期に及んでも、日韓合意を履行するよう韓国政府を強くけん制し続けている。見せかけだけの「慰安婦問題の最終的な解決」を盾に、今後、“戦争の歴史の忘却作戦”に邁進していくのは明らかだろう。それは、安倍首相が憲法9条の改憲を明言し、戦後日本の平和主義を破壊しようとしているのと完全にシンクロしている。
平和主義を守るためにも国連委員会の勧告を真摯に受け止め、むしろ日韓合意を盾に少女像を弾圧する安倍政権のやり方に、断固、反対していくべきだ。
(編集部)
【出典】LITERA 2017.05.13
旧日本軍による慰安婦の強制連行を示す証拠が、政府の発見した資料の中にあった。軍が抑留中のオランダ人女性を強制連行した事件の記録だ。
安倍内閣は、この事実を認める答弁書を閣議決定した。2007年の第一次安倍内閣時の答弁書で「強制連行の資料なし」としたのを、自ら否定した形だ。
強制否定派の最大のよりどころが揺らいでいる。(佐藤圭)
「僕の発言で維新への信頼が失望に変わった」。
東京都議選で惨敗を喫した日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)は24日、自身の慰安婦発言の影響を認めざるを得なかった。
慰安婦発言は先月13日に飛び出した。国内外で猛反発を浴びたのは「(慰安婦制度は)当時は必要だった」の部分だが、強制連行の問題でも元慰安婦の気持ちを逆なでしていた。「暴行、脅迫、拉致をした証拠が出てくれば反省しなければならないが、証拠はないと閣議決定している」
この閣議決定こそが「07年答弁書」だ。
慰安婦問題では、宮沢内閣の河野洋平官房長官が1993年8月の談話で、政府として初めて軍の関与と強制性を認定した。
ところが、第一次安倍内閣が07年3月に閣議決定した答弁書は、河野談話を「継承している」と強調する傍ら、強制性については「政府が発見した資料の中には、軍や官憲による強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」と断じた。
では、「政府が発見した資料」とは何か。
共産党の赤嶺政賢衆院議員が質問主意書で、この点をただした。
安倍内閣が18日に閣議決定した答弁書は、「内閣官房長官が発表した『いわゆる従軍慰安婦問題の調査結果について』に記載されている資料を指す」と説明した。
この調書は91年12月から進められ、92年7月と93年8月に結果が公表された。その中には、旧日本軍による強制連行をズバリと示す資料が含まれていた。
法務省が保管していた「バタビア(現・ジャカルタ)臨時軍法会議の記録」だ。
記録によると、第二次大戦中の44年、日本占領下のオランダ領東インド(現・インドネシア)のジャワ島・スマランで、日本軍将校らがオランダ人抑留所からオランダ人女性を慰安所に強制連行し、脅すなどして売春を強要した。
将校らは戦後、オランダがバタビアで開いたBC級戦犯裁判で強制売春事件として裁かれ、死刑を含む有罪判決が言い渡された。
それでも答弁書は、「強制連行の資料なし」との安倍内閣の認識は「同じである」とする。
赤嶺氏は「強制否定派は、07年答弁書を最大限利用してきたが、政府資料に強制連行の記述はあった。安倍内閣は07年答弁書の『強制連行の資料なし』は誤りであったことを認めて撤回するべきだ」と迫る。
官僚たちは、政府の発見した資料の中に「スマラン事件」が含まれていることを知っていた。
安倍首相が事務局長を務めた「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の97年の会合で、内閣官房の審議官は「官憲等が直接加担したことがあった。
慰安所に入れた事例(スマラン事件)だ」と明言した。
民主党政権では、スマラン事件を踏まえた「答弁メモ」を官僚が作成していた。
野田内閣の藤村修官房長官は国会答弁で「強制連行を直接的に示す(日本政府の)公文書は発見されなかった」と述べている。
この表現ならば、オランダの資料は除外される。
一方、07年答弁書は、河野談話を誤った解釈に誘導してきた。
「公文書なし」を「資料なし」とぼやかし、世間の目からスマラン事件を隠した。
さらに安倍首相は国会答弁で「証拠はなかった」と拡大解釈した。これが広く流布した結果、橋下氏ら一部政治家の「証拠なし」発言が繰り返されている。
慰安婦問題に詳しい吉見義明・中央大教授は「河野談話は、誘拐や人身売買による連行、慰安所での強制使役への軍関与を幅広く認めているが、安倍首相は、強制の問題を軍・官憲による暴行・脅迫を用いた連行に縮小化し、証拠は文書に限定して強制連行はなかったと言っている。だが、それだけ絞り込んでもスマラン事件という反証がある」と指摘する。
安倍首相ら強制否定派は、河野談話の「ミスリード」にとどまらず、同談話以降に明らかになった資料や証言を無視して取り合わない。
オランダ政府が94年に公表した報告書では、スマラン事件以外にも、未遂を含めて8件のオランダ人女性強制連行事件を挙げている。
日本の裁判所も、軍による暴行・脅迫を用いた強制連行の事実を詳細に認定している。
例えば、中国人慰安婦第一次訴訟の東京高裁判決(04年12月)では「軍構成員によって、駐屯地近くに住む中国人少女や女性を強制的に拉致し、連日強姦すする慰安婦状態にした」と、原告の被害事実を認めた。
元慰安婦からの聞き取り調査を進めてきたノンフィクション作家の川田文子氏は「裁判所の事実認定は元慰安婦の証言に基づいている。
強制否定派が、元慰安婦の証言をウソだと言ったりするのは、残忍な連行や性暴力の事実と向き合いたくないからだ」とみる。
国連の拷問禁止委員会は先月31日、橋下氏らの発言を念頭に、慰安婦問題について「政府当局や公的な人物による事実の否定に反論を」と日本政府に勧告した。しかし、安倍内閣は18日に閣議決定した答弁書で「勧告に従うことを義務づけているものではない」と突っぱねた。安倍首相らが「事実の否定」をしているのだから無理もない。
橋下氏も、慰安婦発言について「間違ったことを言ったとは思っていない」と撤回を拒否している。
吉見氏は「国連などからは、慰安所で女性の自由を奪い、性行為を強要したことが性奴隷制度だと非難されている。連行の形だけにこだわる安倍首相らの議論は国際的にまったく通用しない」と警鐘を鳴らす。
川田氏は「安倍首相や橋下氏らの妄言が元慰安婦を一層傷つけている」と批判した上で、「根本的な解決を」と訴える。
「元慰安婦はほとんどが80歳を超えている。訃報も頻繁に伝えられるようになってきた。日本政府の明確な謝罪と補償が急がれる」
【出典】東京新聞「こちら特報部」
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鹿内信隆(1911年~1990年)
元産経新聞社長 勲一等瑞宝章受章 |
中曽根康弘(1918年5月27日~)元首相
大勲位菊花大綬章 |
※ 写真は本サイト主催者がモノクロ写真をカラー化したものです。
<産経新聞社長と中曽根元首相が慰安所づくり自慢>
3千人の総指揮官だった中曽根元首相が「慰安所をつくってやった」と証言しているのに「慰安婦は日本軍とは公的な関係はない」などと2014年の8月20日に報道の「産経新聞」こそ「歴史から目をそらし」「史実に基づかない報道」をしている。
「慰安婦は日本軍とは公的な関係はない」などと2014年の8月20日に報道している「産経新聞」こそ、「歴史から目をそらし」「史実に基づかない報道」をしている新聞なのではないでしょうか。
勲一等瑞宝章受章『鹿内信隆』元産経新聞社長曰く「『慰安所の開設』「調弁する女の耐久度とか消耗度、どこの女がいいとか悪いとか、持ち時間が将校は何分、下士官は何分、兵は何分…といった事まで決めなければならない(笑)」
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漠とした空気に支えられ…(C)日刊ゲンダイ |
平和憲法の施行から、間もなく70年。戦後日本が守ってきた「大事な一線」を、安倍政権はどんどん越えていく。
1日、海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」が横須賀を出港。平時から武器を使って米軍の艦船を守る「米艦防護」を初めて実施する。2年前の安全保障関連法の成立で可能になった任務で、南スーダンPKO部隊の「駆けつけ警護」に続き、自衛隊の戦闘参加に道を開くものだ。
なし崩し的な憲法蹂躙で、もはや9条は有名無実化。安倍政権はあっという間に「戦争できる国」へと突っ込んだなと思い知らされる。選挙のたびに争点隠しのイカサマで「平和の理想」を着々と放棄。今なお高支持率キープは不思議だが、安倍はエスカレート。「サリンを弾頭につけて着弾させる能力をすでに保有している可能性がある」と率先して北朝鮮危機をあおり、国民の不安をたき付ける。今や毎日が防衛出動の手前、日本の平和と安全を脅かす「重要影響事態」ムードだ。
北朝鮮が人民軍創建85年を迎えた先月25日には、「ミサイル50発を日本に発射」とのニセ情報がネット上で拡散。こんなデマさえ信じてしまう国民心理につけ込み、希代の悪法、共謀罪を成立させる魂胆は悪辣だ。
その証拠に、さんざん危機をあおりながら、GW中は首相以下、11閣僚が外遊に飛び立つ。北のミサイル発射後も、韓国への渡航リスクを上げもしない。
北朝鮮危機は、国民に恐怖心を植えつけ、テロ対策を口実にした悪法ゴリ押しを狙った「フェイクニュース」ではないか。
そのうえ、今国会でハッキリしたのはチンピラ大臣たちの無能ぶりだ。「大震災は東北でよかった」でクビの今村前復興相だけではない。南スーダンの状況は「一般的に『戦闘』、法的には『武力衝突』」、森友学園絡みの答弁の事実誤認には「記憶違いなら虚偽答弁にならない」と言い張った稲田防衛相。まともに国会答弁できず、「私の頭脳が対応できなくて、申し訳ありません」と言ってのけた金田法相……。挙げればキリがないが、居丈高に開き直る大臣たちに通底するのは、権力の驕りだ。
「どんなバカをしでかしても支持率は下がらない。そんな『1強支配』の思い上がりが今の政権には垣間見えます。しかも北朝鮮との緊迫感をあおれば“危機の前では”と、国民は大臣の失態を不問に付す。さらに政権がゴーマンさに拍車を掛ける悪循環です」(政治評論家・森田実氏)
1強支配が続けば役人たちも政権にせっせと「忖度」。森友問題の情報隠しはその最たる例だ。政権内は上から下まで腐っているのに、安倍人気は衰えない。この負のスパイラルから抜け出せないのは、なぜなのか。戦後政治史の最大の謎と言ってもいい。
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叩かれすぎ?(C)日刊ゲンダイ |
メディアは「ほかに適当な人がいない」が安倍支持の最大の理由と報じるが、嘘八百だ。そもそも、この論調が安倍PR。安倍より首相にふさわしい資質と器量を兼ね備えた政治家は山ほどいる。
安倍じゃなければ誰でもいいくらいなのに、メディアは安倍サマに忖度するように“出ようとする杭”を叩いてきた。
野党叩きも目に余る。政権に厳しい目を向けるのは野党の責務だ。民進党はその点、森友疑惑や共謀罪をよく追及しているのに、メディアは「また批判だけ」と、さも政権の足を引っ張るのが悪事のように書く。支持率下落は止まらないと、執拗に蓮舫代表に「不人気」のレッテルを貼る。
安倍もメディアに便乗し、国会答弁で二言目には「民主党政権の3年間はヒドかった」とあげつらう。メディアも政治家の品格のカケラもない答弁を無批判に垂れ流す。本当に異常だ。前出の森田実氏はこう嘆く。
「野党も森友問題と共謀罪で政権を追及すると決めたら、脇目も振らずに突き進めば有権者も振り向くのに、ちょっと批判記事が出ると、すぐメディアに忖度して攻撃を緩める。あまり追い込むと解散するぞ、と選挙を恐れて首相の気持ちまで忖度する始末。情けない限りです」
深刻なのは、「国の邪魔をするな」という風潮が広く国民の間に浸透していることだ。倒錯的な「強いリーダーへの憧憬」が、明らかに安倍人気を支える要因のひとつとなっている。
端緒となったのは、90年代後半からの就職氷河期を体験した「ロスジェネ」世代だ。バブル期の「普通に」就職より、ちょっと変わった道がカッコイイとのムードが、バブル崩壊後に一変。安定を求めて「正社員と公務員」が“憧れの職業”の座に取って代わる。そんな空気を身をもって感じた世代である。
2000年に大学を卒業したロスジェネ世代の芥川賞作家、中村文則氏が昨年1月に朝日新聞に寄稿した「不惑を前に僕たちは」という一文は示唆に満ちている。要点を拾うと、中村氏は大学時代に第2次大戦の日本を美化する友人に反論した際、こう面罵された。
「お前は人権の臭いがする」
人権は大切だと問うと、友人はこう畳み掛けてきた。
「俺は国がやることに反対しない。だから国が俺を守るのは分かるけど、国がやることに反対している奴らの人権をなぜ国が守らなければならない?」
数年後、世に「勝ち組・負け組」という意識が定着した頃、フリーターだった中村氏は、バイト仲間が渡した第2次大戦を美化する本にいろいろ言うと、仲間は嫌な顔をしてこう言い放った。
「お前在日?」
経済がバブル後の苦境から抜け出せず、「失われた○年」を重ねるごとに、「自己責任」や「自助努力」なる言葉が蔓延。それに連なるように偏狭なナショナリズムが芽生えていった。自信を失った人々が「日本人の誇り」を持ちたいがため、歴史上の汚点をなかったことにする。他国の人々を見下すようになる。中村氏はこう書いた。
〈格差を広げる政策で自身の生活が苦しめられているのに、その人々がなぜか「強い政府」を肯定しようとする場合がある。(中略)フロイトは、経済的に「弱い立場」の人々が、その原因をつくった政府を攻撃するのではなく、「強い政府」と自己同一化を図ることで自己の自信を回復しようとする心理が働く流れを指摘している。経済的に大丈夫でも「自信を持ち、強くなりたい」時、人は自己を肯定するため誰かを差別し、さらに「強い政府」を求めやすい〉
「安倍1強」は決してイデオロギーや強い意志に根差しているわけではない。現状不満派が自信回復のため、「強いリーダー」なる虚像に何となく、なびいているだけ。強そうなら安倍じゃなくてもいい。逆に自信を失った人々がこれだけ増えたことに震撼する。
あるいは、どうせ政治に声を上げても将来は変わらない。今さえ楽しければいい。政治的無関心と諦念に基づいた消去法が、安倍1強を生み出しているのだ。ロスジェネ世代で、高千穂大教授の五野井郁夫氏(政治学)はこう言う。
「安倍1強も北朝鮮危機も漠とした空気に支えられたもの。その空気に皆が忖度し、北朝鮮がミサイルを放ってもソウルは静かなのに、東京の地下鉄や北陸新幹線はストップ。その奇妙さに気付いても、『国の邪魔をするな』の風潮にのみ込まれてしまう。国民の多くが虐げられた人々に寄り添わず、沖縄の基地問題や生活保護を批判し、『国の邪魔をするな』と権力への同調圧力を強める。弱い者がさらに弱い者を叩く構図は、政治学者の丸山真男氏が唱えた『抑圧の移譲』そのもの。つくづく、嫌な風潮に支えられた政権です」
異様な空気に包まれたまま、平和憲法への挑戦と北朝鮮への挑発を重ね、戦争できる国づくりを進める悪辣政権を許していいのか。この時代の異様さを後世の歴史家に任せてはいけない。今から徹底検証が必要だ。
【出典】日刊ゲンダイ 2017年5月1日
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出典:日刊ゲンダイ 2017年5月1日 |
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訪ロ前に「北朝鮮情勢など率直に意見交換する」/(C)日刊ゲンダイ |
北朝鮮危機は消え去ったのか。思わず、そう問いたくなる。
安倍首相は昭恵夫人連れで恒例のGW外遊へ出かけ、さして共同経済活動に進展はないのにロシアのプーチン大統領と共同記者会見に臨んだ。麻生財務相をはじめとする主要閣僚も次々に海外へ飛び立つ。
ちょっと待てよ、ではないか。空母カール・ビンソンや原潜ミシガンを朝鮮半島へ派遣して北朝鮮への軍事的圧力を強めている米国のトランプ大統領。
一触即発の威嚇路線を全面的に支持し、日本も一蓮托生で北との戦いに挑んでいたのは誰だったのか。北からの弾道ミサイル攻撃に備え「退避マニュアル」まで出していたくせに、連休中は外遊三昧とはイイ気なものだ。
この1カ月にわたる連日の騒ぎを振り返ってみると、誰が危機を煽っていたのかを聞きたくなる。金正恩朝鮮労働党委員長の核武装にどういう進展があったのか。
何の情報も開示されないまま、いきなりシリア空爆に踏み込んだトランプが「次は北朝鮮」と言い出し、安倍が賛同。大マスコミは「明日にも開戦か」と騒ぎ出した。国民にしてみれば、いきなり戦争危機なんてチンプンカンプンだ。
大体、北朝鮮が核実験や弾道ミサイル発射を強行し、米軍が先制攻撃を仕掛ければ、イの一番に戦禍を被るのはソウルだ。しかし、この間の韓国はマスコミも市民も騒がなかった。
日本の外務省が在韓邦人や渡航者向けに注意を促す海外安全情報を出すと、韓国政府は「なぜ、このタイミングでこうした呼び掛けをしたのか」「変に不安を煽る恐れがある」などと抗議したほどである。日本だけが「戦争危機」でコーフンしていたことになる。
韓国で取材するジャーナリストの太刀川正樹氏はこう言った。
「北朝鮮問題を報じる日本のマスコミの煽り方は異常です。核実験Xデーやらミサイル発射Xデー、米軍空爆Xデーだとか大騒ぎしているのは日本だけ。そうした日本の狂騒曲を韓国マスコミは半ば呆れて伝える半面、北朝鮮脅威論を利用して一気に軍事化を進めかねない安倍政権の思惑を疑っています。常に有事が隣り合わせの韓国では、無駄に不安をかき立てるような報道はなされない。とりわけ5月9日に大統領選を控えているため、まずは選挙戦の動向です。欧州の行方を占う仏大統領選の第1回投票結果はトップニュースでしたが、新聞やテレビが北朝鮮の動きをトップ扱いしたことはほぼありません」
揚げ句が連休中の安倍内閣の能天気外遊なのである。
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カール・ビンソンと共同訓練する海自の「あしがら」と「さみだれ」/(C)AP |
米軍が北朝鮮に軍事力を行使すれば在韓、在日米軍も報復の標的になる。つまり米朝開戦だ。それなのに戦争の当事者となる米国での報道はちょぼちょぼだった。
北朝鮮はおろか、米軍が太平洋で展開している軍事行動についてもほとんど報じられなかったのである。
むしろ、流れが変わったのは日本がXデーと騒いだ25日の翌日、26日からだ。
トランプ政権が上院議員100人全員をホワイトハウスに招き、ティラーソン国務長官とマティス国防長官、コーツ国家情報長官、ダンフォード統合参謀本部議長が対北方針を非公式ブリーフィングしたものだから、緊迫ムードが出てきた。日米の動きは、あまりにもチグハグだ。
米国事情に詳しい国際ジャーナリストの堀田佳男氏に聞いてみた。
「すべての上院議員をホワイトハウスに招いて会合を持つのは異例です。下院議員からも要望が上がったため、ペンス副大統領も加わって議会でも説明が行われた。さすがに大きな動きなので主要メディアが取り上げていますが、非公式ブリーフィングのため詳細は伝わっていません。中国を巻き込んだ外交努力を尽くすものの、万が一の場合は軍事行動を排除しないという趣旨だったようです」
軍事行動を起こすには、議会の理解も必要だ。だから、トランプも非公式ブリーフィングを行った。一方、日本はなんでもいいから米国追随。大メディアも無批判に米空母の動きなどを伝え、緊迫感を煽った。
改めて、日本の大マスコミの異常ぶりがよく分かる話ではないか。
本来ならば、軍事行動に前のめりになりかねない安倍を諌めるのがマスコミの役割だ。
安倍は国会で「北朝鮮はサリンを弾頭につけて着弾させる能力をすでに保有している可能性がある」などと煽り、流入難民対策とか在韓邦人6万人の保護を言い出して、戦争危機をたきつけた。大マスコミはそれを垂れ流しだからヒドイものだ。
こうやって北朝鮮危機が煽られ、森友疑惑は吹っ飛び、共謀罪成立に国民世論が流された。なんだか戦前の大本営発表の垂れ流しみたいだが、果たして、法大名誉教授の須藤春夫氏(メディア論)もこう言った。
「大マスコミは本来の役割を放棄していますね。北朝鮮の危機は否定しませんが、とりわけ安倍政権には監視が必要なのです。秘密保護法、安保法制を成立させ、内心の自由を奪う共謀罪にまで手を掛けている。戦前の体制に戻したいのかという懸念がある。それなのに、大マスコミは1強政権の圧力にひれ伏し、この政権の特異な体質に触れようとしないのです」
これじゃあ、安倍政権はラクチンだ。
ついでに言うと、被災地をナメ切っていた今村前復興相がクビになったのも、きっかけは記者会見でのフリージャーナリストの執拗な質問だった。
ブチ切れた今村は「撤回しなさい!」「出ていきなさい!」「うるさいっ!」と激高。これが“更迭”の下地になったのだが、このときも記者クラブに所属する大マスコミの記者たちは傍観していた。フリージャーナリストの言葉尻を捉えて責め立てる風潮すらあって、外国人記者からは呆れる声が上がっていた。
こんな大メディアが、「(大震災は)東北でよかった」と失言してクビになった今村を今さら攻めても鼻白む。後出しジャンケンみたいなものだ。
大マスコミがこんな調子だから、問題大臣が何人も平然と居座っているのである。
安倍べったりのメディアは共謀罪の世論調査でも、この法律の危うさを説明せずに賛否を問うて、賛成多数の数字だけを報じている
一事が万事。ここまで政権に協力的なメディアはつくづく異常だ。その政権が戦争危機を無責任に煽って、政治体制の法整備に着々なのだから、なおさら狂っていると言うしかない。
【出典】日刊ゲンダイ 2017年4月28日
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出典:日刊ゲンダイ 2017年4月28日 |
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解決しない拉致問題はどこへ?(写真左)
米空母カール・ビンソン /(C)ロイター |
日本の海上自衛艦「あしがら」と「さみだれ」が、アメリカの空母「カール・ビンソン」と共同訓練を開始した。23日、フィリピン東方で合流し、現在、朝鮮半島へ向けて並んで北上している。カール・ビンソンが、北朝鮮に圧力をかけるために朝鮮半島に向かうと分かった直後、日本政府から合同訓練を持ちかけたという。
能天気な大手メディアは「海自と米空母 訓練開始」「北朝鮮牽制」などとあっさり報じているが、これは大変なことだ。これまで北朝鮮はアメリカを敵国と名指しし、だから「在日米軍」もミサイルの標的になりかねないと懸念されていた。北朝鮮が対峙している敵国は、あくまでアメリカだった。しかし、北朝鮮を恫喝しに行くカール・ビンソンと合同で軍事訓練をしたら、日本も敵対国とみなされ、日本全体がミサイルの標的になるのは明らかである。
朝鮮半島の危機は、日を追うごとに高まっている。戦争に巻き込まれないように細心の注意を払う必要があるのに、日本は北朝鮮を挑発し、わざわざ危機を呼び寄せているのだから話にならない。
「日本はいきり立っている北朝鮮にケンカを売っているようなものです」と元外交官の天木直人氏がこう言う。
「もし、カール・ビンソンとの合同訓練が以前から予定されていたとしても、“時期が悪い”とキャンセルするのが当然です。なのに、安倍政権は自分たちから申し入れているのだから狂気の沙汰です。訓練だったらいつでも出来るでしょう。しかも、共同訓練は通常、終了後に公表しているのに、あえて事前公表に踏み切っている。これでは北朝鮮から『日本はアメリカと一緒になって戦争を仕掛けている』とみられても仕方ない。一国のトップの最大の使命は、戦争に巻き込まれないようにすることなのに、安倍首相は自ら危機に突っ込んでいるのだからどうかしています」
信じられないのは、安倍首相が見るからにハイテンションになっていることだ。
なにを話したのか知らないが、24日にトランプ大統領と30分間、電話会談した後に行ったぶら下がり会見は異様だった。
恍惚とした表情で、「トランプ大統領と北朝鮮情勢について突っ込んだ意見交換をしました。すべての選択肢がテーブルの上にあると言葉と行動で示している大統領の姿勢を高く評価しました」と胸を張ってみせた。
すべての選択肢とは、当然、武力行使も入っているだろう。しかし、もし米軍が北朝鮮を空爆したら、金正恩が日本にミサイルを撃ち込んでくるのは間違いない。たとえ1発でも原発に命中したらどうなるのか。北朝鮮が日本に向けているミサイルは1000基を超えている。取り返しのつかない被害を受けるのは、確実である。
だから、絶対に米軍に武力行使をさせてはいけない。なのに安倍首相は、「すべての選択肢をテーブルの上に置いているトランプ大統領を高く評価しました」と高揚して語っているのだから信じられない。
「深刻なのは、日本全体が不感症になっていることです。大手メディアも、国民も、朝鮮半島の危機をなかば面白いショーのように見ている。米朝戦争がはじまったら、日本国民も無傷では済まないことが分かっていない。北朝鮮は必ず日本に向けてミサイルを発射してきますよ。このタイミングでカール・ビンソンと合同訓練を行うことだって、本当は国論を二分しておかしくない重大な政策決定なのに、誰も問題にしない。その一方、安倍首相はハイテンションになっている。非常に危険です」(天木直人氏=前出)
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日本全土が標的に(C)ロイター |
いったい、安倍首相はなにを考えているのか。
二言目には「いかなる事態でも国民を守り抜く」と口にしているが、トランプ大統領と一緒になって北朝鮮を挑発し、国民を危険にさらしているのだから、やっていることはアベコベである。
安倍首相が意図的に危機をあおっているのは、明らかだ。
わざわざ、弾道ミサイル攻撃を受けた時の避難方法を内閣官房のホームページに掲載し、外務省も在韓邦人向けに注意を促す「海外安全情報」を発表。安倍首相みずから、北朝鮮はサリンを弾頭に装着して攻撃できると国会で説明している。
どうやら安倍首相は、朝鮮半島危機を千載一遇のチャンスだと計算しているらしい。最新号の「週刊現代」によると、側近に「ツキが回ってきた」と話しているというのだ。
「安倍首相にとって北朝鮮危機は、願ってもない“神風”でしょう。毎度のことですが、内閣支持率が急回復しています。森友問題も消えてしまった。本来、国会が紛糾してもおかしくない共謀罪もメディアの関心が薄い。有事の前に、多くの問題が吹き飛ばされている形です。さらに、専守防衛に触れかねない“敵基地攻撃能力の保持”まで認められそうな空気です。解決しない拉致問題も免罪される。安倍首相にはメリットばかりです。なにより、安倍首相の最大の狙いは、国民を有事に慣れさせることでしょう。国民の中に有事の意識が広がれば、安倍首相が掲げる“戦後レジームからの脱却”もスムーズに進むと考えているのだと思います」(政治学者・五十嵐仁氏)
この政権はマトモじゃない。能天気な国民を騙し、官邸主導で勝手に軍事活動を広げるやり方は、まさに「いつか来た道」である。
そもそも、アメリカと北朝鮮の今回の「チキンレース」は、日本には関係のないことだ。
核実験を強行しそうな北朝鮮に、アメリカが軍事圧力を加えたことが発端である。日本が一緒になってケンカする必要がどこにあるのか。カール・ビンソンと合同軍事訓練を行い、北朝鮮を挑発するなど愚の骨頂である。しかも、議論もなく、勝手に官邸が決めている。
なにより、北朝鮮に軍事圧力を加えても逆効果になるだけだ。北朝鮮が核保有に執着するのは、アメリカの武力に恐怖を感じているからである。中途ハンパに圧力を加えても、北朝鮮は恐怖心を強め、かえって暴発を招くだけである。
「常識で考えて、さすがにアメリカが北朝鮮を先制攻撃することはないでしょう。しかし、第1次世界大戦がそうだったように、戦争は予想もしない形ではじまることがあります。忘れていけないことは、アメリカと日本とでは置かれた立場が違うということです。アメリカには北朝鮮のミサイルは届かないが、日本は射程圏内です。安倍首相は『どうせ戦争は起きない』とタカをくくっているのでしょうが、もし、万が一のことが起きたら、どうするつもりなのか。『いかなる事態でも国民を守り抜く』と豪語していますが、政府がホームページに掲げている弾道ミサイルからの避難方法は、“物陰に隠れて地面に伏せましょう”というレベルです。お話になりません」(五十嵐仁氏=前出)
危機が強まっているというのに、恍惚としているこの男はヤバイ。一刻も早くクビにしないとダメだ。
【出典】日刊ゲンダイ 2017年4月25日
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出典:日刊ゲンダイ 2017年4月25日 |
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