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6月の任期満了で退任が決まった日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長(71)。今後の注目は、仏当局により本格捜査が行われている2億2000万円のワイロ疑惑の行方だ。予審判事が竹田会長を正式な裁判にかけるのかどうかが焦点なのだが、捜査に関して興味深い記事があった。竹田会長サイドが判事による事情聴取に際して、ナント「黒塗り」の報告書を提出していたというのだ。
「東京2020五輪キーマンの判事に対する苦しい言い訳」と題された記事は仏通信社AFPが今年1月に配信したもので、仏語のためか日本ではほとんど報じられていない。
それによると、仏当局の予審判事による事情聴取を受けるにあたって、竹田会長はJOCが作成した報告書を提出したのだが、<そこには問題があった。一部を黒塗りにして提出していたのだ>という。そして記事は、<日本の検察の事情聴取を受ける際に、そんな黒塗りの書類を出すだろうか(そんなもの出さないだろう)>と続く。竹田会長とJOCは仏の捜査をナメているのではないか、と驚いているのだ。
事情聴取では、竹田会長が判事から「もっと具体的に言うことができますか?」と促される場面もあったという。
不都合な部分を黒塗りにした報告書とはいかにも日本的だが、とてもグローバルに通用するとは思えない。本当にそんな報告書を仏の裁判所に提出したのか。JOCは「捜査中のため、こちらからお答えすることはできません」(広報企画部)とコメントした。
竹田会長は拘束を恐れて国外に出ることもできない状況だ。そのうえ「黒塗り報告書」を提出するとは……。逃げも隠れもする竹田会長。裁判所の心証を悪くしているのは間違いない。 |
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『出典』日刊ゲンダイ 公開日:2019/03/24 06:00 更新日:2019/03/24 06:00
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金にモノを言わせて招致(C)共同通信社 |
■ 以前からくすぶっていた疑惑にフタをした日本政府も共犯同然
衝撃的なニュースが飛び込んできた。五輪の黒い疑惑に急展開だ。
2020年東京五輪・パラリンピック招致をめぐる裏金問題で、フランス捜査当局が日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長を贈賄の容疑者とする予審手続きを開始。刑事訴追に向けた動きの本格化だ。11日、日本でも一斉に報じられ、大騒ぎになっている。
竹田氏は「昨年12月、パリで仏当局の担当判事による聴取を受けたが、不正なことは何も行っていないことを説明した」とするコメントを発表。今後も調査には協力するという。
裏金疑惑は以前からくすぶっていた。16年に世界反ドーピング機関(WADA)の第三者委員会が、国際陸連前会長で国際オリンピック委員会(IOC)委員だったラミン・ディアク氏の汚職調査をする中で、日本の裏金疑惑が浮上。
仏当局がディアク氏の息子に関係する口座を洗ったところ、竹田氏が理事長を務めていた日本の招致委員会から180万ユーロ(約2億3000万円)の送金が見つかったのだ。
当時、この問題は国会でも取り上げられ、JOCは調査チームを設置したが、16年9月に「違法性はない」と結論づけるお手盛り報告書を公表しただけで、日本では幕引きになってしまった。
「調査チームの報告書は、何の根拠もなく『不正はなかった』とお墨付きを与えるだけのシロモノでした。
17年2月には、仏当局からの捜査共助要請を受けた東京地検特捜部が竹田氏らから任意で事情聴取しましたが、それも形ばかり。あの時、しっかり捜査して膿を出し切るべきだったのに、問題をウヤムヤにしてフタをしてしまった。その結果、五輪開催が1年半後に迫った今になって、仏当局による訴追の動きが本格化するという深刻な事態を招いた責任は重大です」(元特捜検事で弁護士の郷原信郎氏)
仏当局は3年近くも調査を継続していたわけだ。これはJOCだけの問題ではない。国策五輪のため、不正に目をつぶってきた日本政府も共犯だ。
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竹田氏の自宅前は騒然(C)日刊ゲンダイ |
■ 国会答弁でスットボケてした竹田会長の厚顔
ディアク氏の息子が関係するペーパーカンパニーに日本の招致委から約2億3000万円の送金があったのは、13年7月と10月。IOC総会で東京開催が決まったのが同年9月だ。
このタイミングから、仏当局は開催地決定に権限を持つIOC委員を買収するための支払いだったという見方を16年5月に示し、招致委理事長として全容を知る立場にあった竹田氏は、すぐさま参考人として国会に呼ばれることになった。
「野党議員から不正疑惑について質問されましたが、シラを切り通していましたね」(元民主党議員)
何を聞かれても、「第三者の調査チームで検証する」とノラリクラリ。「ペーパーカンパニーではないと確信していた」「息子との関係も知らなかった」とスットボケた。送金は「正当なコンサルタント契約の対価」と言い張ったのだ。
「リオ五輪の招致をめぐっても、ブラジルオリンピック委員会(BOC)の会長が17年に逮捕されましたが、その容疑は『開催都市を決める投票権を持つディアク氏の息子に関係する口座に約200万ドルを振り込んだ』というもの。金額も送金先も、竹田氏の疑惑とまったく同じ構図です。それでも、自分だけは逃げ切れると思っていたのでしょうか。仏当局が竹田氏の刑事訴追に向けた動きを本格化させたのは、当然の流れです」(郷原信郎氏=前出)
五輪招致は安倍政権の国家プロジェクト。成功すれば、何をやっても許されるというおごりがあったのではないか。
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偶然とは思えない(C)ロイター |
■ これはゴーン逮捕の意趣返しかという当然の疑問
それにしても、なぜこのタイミングで捜査着手なのか。ささやかれるのは日産自動車の前会長カルロス・ゴーン逮捕の意趣返し――の可能性だ。
仏検察が今回の東京五輪招致をめぐる裏金事件について、竹田氏に事情聴取を始めたのが先月10日。東京地検特捜部がゴーンを金融商品取引法(金商法)違反の疑いで再逮捕した日と重なる。そして、予審手続き着手が大々的に報じられたきのうは、特捜部がゴーンを会社法違反(特別背任)罪で追起訴した日である。
偶然と言ってしまえばそれまでだが、そこに仏政府の日本政府に対する「ゴーンを起訴して犯罪者扱いするのであれば、竹田についても容赦しない」という特別なメッセージが込められているのではないか、と疑わずにはいられない。元検事で弁護士の落合洋司氏はこう言う。
「(裏金)事件は急に浮上してきた話ではなく、さすがにゴーン起訴の意趣返しということはないでしょう。しかし、仏検察が予審手続きが必要と判断したということは、(容疑に対する)疑いが強いということを意味します。予審判事は(捜査)権限も強い。今後、捜査がどう展開していくか注目です」
意趣返しという意味では別の思惑もうかがえる。ゴーン事件をきっかけに、今や、容疑を認めるまで容疑者を「長期勾留」する日本の「人質司法」は世界中で問題視されるようになった。
一方、裏金事件が表面化した16年5月以降、仏検察が竹田氏の身柄を拘束したことはない。それでも仏検察は地道な証拠集めを続け、その結果、嫌疑アリと判断したわけで、仏政府にすれば、「これが近代国家の罪刑法定主義であり、日本の刑事司法は中世の魔女狩りだ」と皮肉っている様子がうかがえるのだ。
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「アンダーコントロール」の大嘘(C)共同通信社 |
■ 列挙すればキリがない 呪われた東京五輪をやる意味
ケチのつき始めは13年9月7日。ブエノスアイレスで行われたIOC総会の五輪招致最終プレゼンで、安倍首相が放った大嘘だった。世界が懸念した福島原発事故の汚染水について、「アンダーコントロール」と言ってのけてから5年4カ月。今なお汚染水はダダ漏れ、大量にたまったタンクの処分方法は足踏みしたまま。福島原発の「アウト・オブ・コントロール」(制御不能)は続いている。
「立候補ファイル」にある「2020年東京大会の理想的な日程」なる項目も、真っ赤な嘘。〈この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候〉と記したが、開催期間の7月24日から8月9日に東京が昨年、命の危険すらある酷暑に襲われたのは記憶に新しい。
新国立競技場の「ザハ案」の白紙撤回、旧エンブレムの盗作問題、聖火台の仕様や設置場所は今も決まっていない。列挙すればキリがないほど呪われた五輪は竹田氏の裏金事件がトドメだ。
「招致委のトップの汚職が立証されれば、明確な五輪憲章違反。憲章を厳格に適用すれば、東京五輪は返上となり、その損害の責任をIOCが負う義務はなく、この国が一切をかぶるのです。いくら大金を投じても、これだけリスクの高い五輪は過去にない。金で買った五輪を強行すれば、この国に蔓延する金権主義と、官民挙げてのモラルハザードを許すことになる。競技場の残骸と精神の荒廃という巨大な負の遺産を抱えるだけです」(思想家で神戸女学院大名誉教授の内田樹氏)
汚れた五輪の開催に意義はない。裏金事件が立証されたら手遅れだ。損害が小さなうちに返上すべきだ。
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大胆すぎるデザインで白紙に(日本スポーツ振興センター提供) |
■ 金で買った東京五輪の“主犯”は国威高揚目論む安倍首相
世界に嘘をつき、金にモノを言わせて強引に招致した黒い五輪を国威高揚と政権維持の大舞台に仕立て上げようとしている主犯が、安倍だ。
前回のリオ五輪の閉会式では、スーパーマリオに扮して大ハシャギ。「1964年の東京五輪の夢よ、もう一度」とばかりに、20年を「新しい時代の幕開け」と勝手に位置づけ、高度経済成長が再現するかのような夢想を国民に植えつけ続けている。
20年に改憲を目指すのも、国中が「ニッポン」「ニッポン」と浮かれて、思考停止に陥っているスキに、祖父の代からの悲願を達成しようという薄汚い魂胆が垣間見える。
会計検査院によると、現時点の事業項目を積み上げただけで、五輪関連経費は2兆8100億円。国威高揚を目論む安倍のために金で買った五輪に、虎の子の血税を3兆円も費すのだ。前出の内田樹氏はこう言った。
「『平和の祭典』という理想は消え去り、大枚はたいて国威高揚のビジネスチャンスを買ったのが、安倍政権下の東京五輪です。ところが、裏金事件によって世界の満天下に大恥をさらし、日本の国威を著しく下げるとは愚かの極み。招致委のトップの関与が疑われている以上、裏金事件は組織ぐるみ、国家ぐるみの犯罪の可能性が高い。安倍首相にも責任の一端はあるのに、日本経済『起死回生の一発逆転』の夢にとらわれ、東京五輪という無謀な大博打に突き進むのでしょう。少子高齢社会に突入した日本の経済はいわば後退戦局面で、『起死回生の突撃』のような無謀な作戦を言い立てる指導者に従うのは自殺行為。それでも、五輪批判の言質がメディアから出てこない今の日本は危機的状況です」
国民が力を合わせ、五輪が成功すればバラ色の未来が待っているかのような安倍の言動にダマされてはいけない。国民もいい加減、五輪の夢から覚めた方がいい。
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本当に開催できるのか(C)共同通信社 |
■ 事件の今後の展開はどうなるのか
東京五輪は仏当局に“生殺与奪権”を握られたも同然。事件の今後の展開はどうなるのか。
仏の予審手続きは、裁判所の予審判事が証拠収集や尋問などにあたる。今回の事件の担当は数多くの大型汚職事件を手掛けた敏腕判事。国内で最も有名な大物とされ、仏当局が捜査に本腰を入れている証拠だ。
捜査期間は定められておらず、証拠が出そろった時点で竹田氏の起訴・不起訴を判断する。
予審判事の権限は絶大で、場合によっては竹田氏に仏裁判所への出頭を命じたり、身柄を拘束することも可能だ。
「具体的には、日本の外務省を通じて司法当局に捜査を嘱託する流れになるでしょう。ただし、竹田氏はJOC会長であり、IOC委員とはいえ、日本では『みなし公務員』にもあたらない。つまり、日本では贈賄に該当しないのです。犯罪人の引き渡しには、双方の国で共通に犯罪と認められるものに限る『双方可罰の原則』がある。フランスの予審判事から竹田氏の引き渡しを求められても、日本政府は拒否するはずです」(落合洋司氏=前出)
最大の焦点は、仏の予審判事がいつ、竹田氏の起訴・不起訴を判断するかだ。捜査期間がどのくらいの長さになるのか分からない以上、来年7月の東京五輪の開会式直前や直後に起訴される可能性もあり得る。
それでも汚れた東京五輪の開催を強行すれば、この国は国際社会から非難の集中砲火を浴びるだけだ。やはり、嘘と金で汚れて真っ黒な東京五輪は、潔く返上するしかない。
『出典』日刊ゲンダイ 公開日:2019/01/12 17:00
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東京オリンピック・パラリンピックの招致で汚職の疑いが浮上していることについて、IOC=国際オリンピック委員会は倫理委員会で調査を開始していることを明らかにしました。
東京オリンピック・パラリンピックの招致をめぐって、フランスの裁判所は、招致委員会の理事長を務めたJOC=日本オリンピック委員会の竹田恒和会長に汚職に関わった疑いがあるとして、起訴するかどうかを判断するための「予審手続き」を始めました。
今回の「予審手続き」についてフランスの有力紙、ルモンドは、国際陸上競技連盟の前会長の息子に関係するとみられるシンガポールのコンサルタント会社への支払いが、汚職の疑いにあたると伝えています。
この問題についてIOCは11日、倫理委員会で調査を開始していることを明らかにしました。
IOCは、この日も本部のあるスイスのローザンヌで、定例の倫理委員会の会合を開催しているということで「この捜査に関してIOCは『当事者』であり、フランスの司法当局と緊密に連絡を取っている。倫理委員会の調査の状況を注視する」としています。
オリンピックを巡っては過去にも招致合戦が加熱し、前回のリオデジャネイロオリンピックでは、招致委員会のトップを務めたブラジルオリンピック委員会のカルロス・ヌズマン会長が票の買収に関与した疑いで逮捕されるなど、汚職が問題になってきました。
IOCは倫理規定を強化するとともに、招致活動に関わるコンサルタント会社には厳格なガバナンスと倫理、特に腐敗防止に関する厳しいIOC規則を尊重するよう求めています。
『出典』NHK NEWS WEB 2019年(平成31年)1月11日金曜日
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NHKニュース |
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NHK NEWS WEB 2019年(平成31年)1月12日土曜日 |
フランスの裁判所がJOC=日本オリンピック委員会の竹田恒和会長について、来年の東京オリンピック・パラリンピックの招致をめぐる汚職に関わった疑いで、起訴するかどうかを判断するための手続きを始めたことが分かりました。これはフランスの検察当局が11日、NHKの取材に対して明らかにしたものです。
それによりますと、JOCの竹田恒和会長について来年の東京オリンピック・パラリンピックの招致をめぐる汚職に関わった疑いで、フランスの裁判所が先月10日に、起訴するかどうかを判断するための手続き、「予審手続き」を始めたということです。
この日に予審判事がフランスで竹田会長本人を聴取したということで、今後も竹田会長の聴取を続ける見通しだとしています。
竹田会長をめぐっては、オリンピックの招致に絡んでフランスの検察当局が贈収賄などの疑いで少なくとも2016年から捜査していました。
具体的には、国際陸上競技連盟の前会長の息子に関係するとみられるシンガポールの会社に、およそ2億2000万円が振り込まれていたことをめぐる捜査でした。これについてJOCは「招致委員会が行った金銭の支払いに違法性はなかった」とする調査結果を発表していました。
今回の「予審手続き」についてフランスの有力紙、ルモンドはこのシンガポールの会社への支払いが汚職の疑いにあたると伝えています。
フランスの「予審手続き」とは、検察の請求に基づき裁判所が容疑者を裁判にかけるかどうか審査する手続きです。
フランスでは「重大」または「複雑な」事件が起きた場合、検察による捜査の結果を受けて裁判所の予審判事が容疑者から話を聞いたり、証拠を精査したりして、犯罪の十分な証拠があるかどうか審査します。
予審判事は審査の過程で必要に応じて容疑者の身柄を拘束できるほか、捜索や押収、証人の尋問を行えるなど強力な権限を持っています。
審査の結果、犯罪の十分な証拠があると判断された場合には裁判が開かれますが、証拠が十分でなかったり、犯罪の疑いなしと判断されれば手続きは打ち切られて免訴され、裁判は開かれません。
竹田会長は「東京2020年招致活動に関し、その調査協力として担当判事のヒヤリングをフランス・パリにて受けました。招致委員会はコンサルタント契約に基づき正当な対価を支払ったものであり、贈賄にあたるような不正なことは何も行っていないことを私は説明いたしました。
ヒヤリングにおいて新しい事実が判明したというようなこともありませんでした。東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けてご支援いただいている国民の皆様に大変ご心配をおかけしておりますが、私は疑念を払拭(ふっしょく)するために、今後とも調査に協力するつもりです」とするコメントを発表しました。
竹田会長は71歳。馬術の選手としてオリンピックには1972年のミュンヘン大会と次のモントリオール大会に出場しました。その後、JOCで選手強化などに携わり、常務理事を経て2001年から会長に就任し、2012年からはIOC=国際オリンピック委員会の委員も務めてきました。
東京オリンピック・パラリンピックの招致では当時の招致委員会トップの理事長を務めるなど中心的な役割を果たしました。
JOCの竹田会長をめぐっては、東京オリンピック・パラリンピックの招致に絡んでフランスの検察当局が贈収賄などの疑いで捜査に乗り出し、おととしにはフランスの要請に基づいて、東京地検特捜部が、竹田会長をはじめ招致委員会の関係者から任意で事情を聴いたことも明らかになっています。
具体的には、日本の銀行口座から、国際陸上競技連盟の前会長の息子に関係するとみられるシンガポールの会社に、日本円でおよそ2億2000万円が振り込まれていたことをめぐる捜査でした。
これに関して竹田会長は「フランスの捜査に協力するということで、話をした。JOCの調査結果を話しただけだ」などと説明しました。
またJOCは「招致委員会が行った金銭の支払いに違法性はなかった」とする調査結果を発表していました。
竹田恒和会長が副会長を務めている東京オリンピック・パラリンピックの組織委員会は「報道で初めて知ったので詳しい状況は分からず、この件についてのコメントは差し控えたい」としています。
東京都の小池知事は都庁内で記者団に対し、「先ほど、第1報を伺っただけで、情報を十分に持ち合わせていない。
今後、情報収集をしていきたいが、大変驚いている。困惑しており、今後の動向を見守っていきたい」と述べました。
また、来年に迫った東京オリンピック・パラリンピックへの影響を問われたのに対し、「いま、何が、どういう形で行われているのか、確認をしていきたい。まず、そのことから始めたい」と述べました。
2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致をめぐっては、WADA=世界アンチドーピング機構の第三者委員会がロシアの一連の組織的なドーピングを調査していた中で、2016年1月、日本側が国際陸上競技連盟などに多額の協賛金を支払ったと疑惑が持ち上がりました。
その後、フランスの検察当局が捜査を開始し、5月には、日本の銀行口座から国際陸連のラミン・ディアク前会長の息子に関係すると見られるシンガポールの会社に、東京大会招致を名目に2回に分けて合わせておよそ2億2000万円が振り込まれたとして、贈収賄の疑いで捜査していると公表しました。
検察当局は、東京が開催都市に選ばれた2013年9月、ディアク前会長がIOC=国際オリンピック委員会の委員を務めていたため開催地の決定に影響力を行使できる立場にあった、と指摘していました。
一方、当時、招致委員会の理事長を務めていたJOCの竹田会長は振り込みを認めたうえで「招致計画づくり、ロビー活動など多岐にわたる招致活動のコンサルタント料で、正式な業務契約に基づく対価として行ったものだ。なんら疑惑をもたれるような支払いではない」などと主張していました。
そのうえでJOCは、シンガポールの会社との契約に違法性がなかったどうかを調べるため、弁護士2人と公認会計士1人からなる調査チームを5月25日に設置し、調査チームは契約に関わった当時の招致委員会のメンバーから聞き取りを行ったり、会社の実態をシンガポールで調べたりして、違法性の有無や実態解明につとめてきました。
そして調査チームは9月に調査結果を報告し、当時の招致委員会が行った金銭の支払いに違法性はなかったと結論づけた一方で、手続きの透明性に問題があったと批判していました。
『出典』NHK NEWS WEB 2019年(平成31年)1月12日土曜日
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東京五輪招致疑惑の構図 |
【ブリュッセル八田浩輔】 2020年の東京五輪・パラリンピックの招致活動に不正があった疑いがあるとして、フランス司法当局が、日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長(71)について贈賄容疑で捜査を始めたことが明らかになった。仏メディアが11日報じた。竹田氏は「不正はなかった」とのコメントを出した。今後、予審判事が起訴の可否を判断する。
AFP通信や仏紙ルモンドによると、正式な裁判の前に取り調べをする「予審」の手続きが昨年12月10日に始まり、本格捜査に着手した。東京五輪・パラリンピック招致委員会(14年解散)がシンガポールのコンサルティング会社「ブラックタイディングス」に支払った約230万ドル(約2億3000万円)の一部が、選考に絡む国際オリンピック委員会(IOC)関係者に渡った疑いがあるとみているもようだ。竹田氏は招致委の理事長を務めていた。
竹田氏は11日発表したコメントで「調査協力として担当判事のヒアリングをパリで受けた。招致委は、コンサルタント契約に基づき正当な対価を支払った。贈賄にあたるような不正なことは何も行っていないことを説明した」などとした。
JOCの調査チームは16年9月、コンサル社への支出に「違法性はなかった」との報告書を公表している。
仏当局は、16年のブラジル・リオデジャネイロ五輪と東京五輪の不正招致疑惑について、捜査を続けてきた。AFP通信などによると、リオ五輪招致を巡る収賄などの疑いで、セネガル出身の元IOC委員で国際陸上競技連盟(IAAF)のラミン・ディアク前会長を起訴。前会長の息子パパマッサタ氏にも逮捕状を出し、国際刑事警察機構(インターポール)を通じて国際手配しているが、セネガル政府が引き渡しを拒否している。
パパマッサタ氏は、日本の招致委の費用支払先であるブラックタイディングス社の経営者イアン・タン氏と友人関係にあったという。招致委の不正疑惑は、ディアク氏に対する捜査の中で表面化した。
IOCは、今回の問題を巡り倫理委員会を開くとの声明を11日発表、同日開催した。声明の中で、IOCは仏当局の捜査に協力してきたとしたうえで「竹田氏には推定無罪の原則が適用されている」とした。
20年の夏季五輪開催都市は東京のほかマドリード(スペイン)、イスタンブール(トルコ)が立候補し、13年のIOC総会でIOC委員の投票で決まった。
<2016年>
1月14日 国際陸上競技連盟前会長のラミン・ディアク氏の汚職疑惑を調査する世界反ドーピング機関(WADA)の第三者委員会が公表した報告書で、2020年東京五輪招致を巡り「日本側が国際陸連に協賛金を支払った」と指摘。
5月11日 東京五輪招致委員会がディアク氏の息子パパマッサタ氏に関係する口座に多額の送金をしたと、英紙ガーディアンが報道。
同12日 フランス検察当局が送金に関して汚職や資金洗浄などの疑いで捜査を行っていることが判明。
同13日 招致委理事長だった日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長が、イアン・タン氏が代表を務めるシンガポールのコンサルタント会社「ブラックタイディングス社」と契約して、2億3000万円を送金したことを認める。
同16日 竹田会長が、衆院予算委員会に参考人として出席。「海外コンサルタントとの契約は一般的」と正当性を強調する。
同18日 竹田会長が第三者を交えた調査チームをJOC内に設置する考えを表明。
9月1日 調査チームが報告書を公表してブ社との契約に違法性はないと結論付ける。
<2017年>
2月8日 東京地検特捜部がフランス検察当局からの捜査共助要請を受けて竹田会長から任意で事情聴取をしていたことが判明。
<2019年>
1月11日 フランス検察当局が竹田会長の刑事訴訟手続きを開始したことが判明。
『出典』毎日新聞 2019年1月11日 20時30分(最終更新 1月12日 00時57分)
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読売オンラインニュース |
2020年東京五輪・パラリンピック招致活動を巡る不正疑惑で、招致委員会がシンガポールのコンサルタント会社の口座へコンサル料を送金した直後に、この口座の資金が高級腕時計などの購入費用に充てられていたことが17日、仏検察当局関係者への取材でわかった。 仏当局は、招致委の支払ったコンサル料が、招致活動に絡む贈賄資金として使われた可能性もあるとみて捜査している。
東京開催は13年9月にブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会で、約100人のIOC委員の投票によって決まった。招致委は、決定前後の同年7月と10月に、約9500万円と約1億3500万円をそれぞれ、コンサル会社「ブラック・タイディングス」の口座に送金した。
『出典』読売オンラインニュース 2016年05月18日 07時30分
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東京五輪招致を巡る資金が振り込まれたとされる、シンガポールの
コンサルタント会社の所在地となっている公営住宅=13日(共同) |
【ロンドン=岡部伸】BBC放送によると、2020年東京五輪招致に関連して日本側が国際陸上競技連盟(IAAF)のラミン・ディアク前会長の息子に2800万シンガポールドル(約2億2000万円)を支払ったと指摘される問題で、仏検察当局は、2013年7月と10月、資金移動を確認し、「東京2020年五輪招致」名目で、日本の銀行から前会長の息子に関係するとみられるシンガポールの「ブラック・タイディングス」社に送金されているとして贈収賄などの疑いで捜査している。
2013年まで国際オリンピック委員会(IOC)委員も兼ねていたディアク前会長は昨年、ロシアのドーピング違反に対する制裁を見送ったことで謝礼を受け取ったとされ、汚職と資金洗浄の疑いで逮捕された。同会長は国際陸連のトップを16年間務め、昨年8月退任。IAAFのコンサルタントとして父親に雇われた息子のパパ・マサタ・ディアク容疑者もインターポール(国際刑事警察機構)が指名手配している。
「ブラック・タイディングス」社の口座にはロシアからドーピング違反で不正な資金が送金されている。
BBCによると、東京の五輪招致活動が捜査線上に上がったのは、1月に世界反ドーピング機関(WADA)の独立委が提出した腐敗関連報告書だった。ディアク前会長のもうひとりの息子ハリル氏とトルコ・イスタンブール招致委委員の会話内容を詳述。記録では、日本の招致委が「ダイヤモンド・リーグかIAAFのいずれかに」、「協賛金400万ドル~500万ドルを支払った」と示唆している。さらにイスタンブールが招致争いで敗れたのは「協賛金を払わずラミン・ディアクの支持を失ったからだ」と主張している。
WADAは昨年12月、ディアク会長が2020年五輪の開催地選びで自分の票を提供する引き換えに、IAAFに協賛金を得ようとしていたと報告した。
『出典』産経ニュース 2016.5.14 06:55
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イギリスのガーディアン紙は5月11日、2020年東京オリンピックの招致委員会側から、多くのスキャンダルが報じられた国際オリンピック委員会(IOC)委員側に、130万ユーロ(約1億6100万円)が渡っていたと報じた。
同紙は「東京が選出された過程に深刻な疑義がわき上がった」としている。
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ラミン・ディアク氏 |
この人物は、IOC委員で、国際陸上競技連盟(IAAF)前会長のラミン・ディアク氏。同紙によると、招致委員会またはその代理人とみられる名義で、シンガポールの秘密口座に直接振り込まれたという。この秘密口座は、「電通スポーツ」の代理人を務める人物が管理しており、ディアク氏の息子、パパ・マサタ・ディアク氏らに渡ったとみられる。
ラミン・ディアク氏は、東京オリンピック開催が決まった2013年9月にはIAAF会長も務めており、国際スポーツ界に大きな影響力を持っていた。金銭の授受については、フランスの捜査当局がすでに把握しており、父親のディアク氏はフランスからの出国を禁じられているという。
ディアク氏はセネガル出身で元陸上選手。アフリカ陸上競技連盟会長やダカール市長などを経て、1999年から国際陸連の会長を務めた。国際スポーツ界に大きな影響力を振るう一方、スポーツマーケティング企業からの現金受領でIOCから警告を受けるなど、数々の疑惑が指摘されてきた。
2015年に浮上した陸上界のドーピング問題を受けて国際陸連会長を辞任したが、ロシアの選手がドーピング検査で陽性になったことを明らかにしない代わりに、少なくとも20万ユーロを受けとった疑いが持たれており、同年にフランスの捜査当局が捜査に乗り出していた。
【UPDATE】2016/05/12 19:50 東京オリンピック組織委員会は、ハフポスト日本版の取材に対し「今回の報道の内容について、組織委員会の理解とは全く異なるものです。東京は、IOCにベストな提案をした結果として、招致を獲得したものと確信しています」とコメントした。
『出典』HUFFPOST 2016年05月11日 23時46分 JST | 更新 2016年05月12日 19時54分 JST
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