29日投開票の山口県知事選は自民、公明両党の推薦を受けた元国土交通審議官の山本繁太郎(やまもとしげたろう)氏(63)がNPO法人「環境エネルギー政策研究所」所長の飯田哲也(いいだてつなり)氏(53)の追い上げを振り切る形で初当選を果たした。原発再稼働に反発する声が全国に広がる中、「脱原発」を掲げた飯田氏に無党派層の支持が集まり、既成政党批判が「保守王国」を揺るがした。不戦敗に終わった民主党内の衆院解散・総選挙に対する恐怖感も強まっている。
◇無党派票、半数飯田氏に
飯田氏は29日夜、山口市で「保守王国の中で自公を追い詰める良い戦いができた。明日につながる足場はできた」と語った。
選挙戦は自民、公明両党の推薦を受けた山本氏を、政党の支援を受けない飯田氏が追う展開となった。「大阪維新の会」を率いる橋下徹大阪市長のブレーンだった飯田氏は無党派層の支持を集め、山本氏を脅かした。投票率が45・32%にとどまり、組織票を固めた山本氏が選挙戦を制したが、飯田氏の善戦は原発政策などをめぐる既成政党批判が広がっていることを印象づけた。