米の放射線実測図、政府が放置
東電の会議映像 全面公開の責任果たせ 東京新聞【社説】
「内部被曝」 何ミリシーベルト以下なら大丈夫はウソ
東電 TV会議一般公開 緊迫のやりとり HPに6時間分
放射能汚染大地図 降下物の合計値
 東電の会議映像 全面公開の責任果たせ 東京新聞【社説】
 東京電力はやっと福島第一原発事故直後に記録した社内テレビ会議の映像を公開した。だが、音声や画像に手を加え、大幅に時間を制限している。
全面公開して国内外への説明責任を果たすべきだ。
 地震や津波の襲来で発生した事故がどう推移したのか。東電や政府はどう対応したのか。映像はその過程を検証し、教訓を引き出す重要な手掛かりといえる。歴史記録だし、世界の公共財だ。
 それをいまだに社内資料だと言い張る東電は、史上最悪級の事故の当事者としてあまりに無自覚と言うほかない。
 公開映像には東電本店と第一原発や第二原発などの現場とのやりとりが記録されている。
 第一原発1号機の原子炉建屋の水素爆発で画面が揺れたり、3号機の爆発で当時の吉田昌郎所長が「大変です」と叫んだりする。2号機への対応では注水が先か、ベント(排気)が先かで班目(まだらめ)春樹原子力安全委員長と現場の方針が食い違い、混乱する場面がある。
 文書や口頭では伝わらない生の動きや緊迫感が詰まっている。原発事故をめぐる危機管理の在り方を研究し、再発防止策を講じるのに第一級の資料価値がある。
 看過できないのは、社員のプライバシー保護を盾にした東電の過剰なまでの取材・報道規制だ。
 公開されたのは昨年三月十一日から十五日の事故直後の百五十時間分にすぎない。その後に相次いだ4号機の使用済み核燃料プールの温度上昇や、高濃度汚染水の海洋流出といった事態にどう対応したのか検証できない。
 しかも社員の名前や役職、顔が判別されないようにするためとして音声や画像を処理して視聴できなくしている部分が多い。意図的な編集はかえって都合の悪い情報を隠しているとの疑念を招く。
 東電は公開対象を報道機関に限り、生の映像の録音・録画に加え、役員らを除き個人名の報道を禁じている。条件に従わなければ今後の記者会見への参加を認めないとの強硬姿勢を見せている。
 東電は公的資金が投入された事実上の国有企業だ。報道機関はもちろん、国民全体に全面的に公開して説明を尽くす責任がある。政府も国会もその実現に向けて力を発揮すべきだ。
 日本新聞協会は東電に取材・報道制限の撤回を申し入れた。国民の知る権利に応えるためだ。それは世界の要請にもかなう。刷新された東電経営陣の全員が公開に後ろ向きなのか知りたいものだ。2012年8月8日
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 東電 TV会議一般公開 緊迫のやりとり HPに6時間分

 東京電力は五日、福島第一原発事故直後から記録された社内テレビ会議の映像約百五十時間のうち、約六時間分をホームページで一般公開した。3号機の水素爆発前には吉田昌郎所長(当時)が「もう危機的状況ですよ」「完全に(核燃料が)露出している状態」と上ずった声で本店に叫ぶなど、緊迫した様子が克明に記録されている。

 3号機は昨年三月十四日午前十一時すぎに爆発したが、前日の十三日午後には爆発を避けるために建屋内の水素を抜こうと、本店幹部が「自衛隊に火器で(建屋の)パネルを吹っ飛ばしてもらえば」と発案。危険性を指摘され「どの道、吹っ飛ぶぜ」とさじを投げるような発言をする場面もあった。
 公開されたのは昨年三月十二日深夜から十五日未明までの映像で、八月に一般公開した約一時間半分の追加に当たる。ただ、今回の映像を合わせても公開されたのは計約七時間半分にすぎない。

 社員らの顔や声にぼかしや音声処理も施されており、全面公開を求める声が再燃しそうだ。

 映像では、3号機の注水に使う消防車の燃料となる軽油について「(在庫は)あるはず」と報告した部下に、吉田所長が「『はず』はやめよう。今日は『はず』で全部失敗してきた」と注意している。

 その後、吉田所長が2号機への注水ラインを確保するため「じじいの決死隊で行こうかと相談していた」と思い詰めた様子で述べたり、プラントの監視体制などをめぐって部下に「言うだけの人はうらやましいよ。できないものはできないんだよ」と声を荒らげたりする場面もある。

 今回、公開対象になった映像は八月の公開後にメディアの要請を受け、東電が抜粋した。日本新聞協会は映像の全面公開などを求めている。

 映像の一部は東京新聞ホームページ「TOKYO Web」に掲載しています。


東京新聞

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 内部被曝の恐怖 「何ミリシーベルト以下なら大丈夫」はウソ
肥田舜太郎
肥田舜太郎氏
【肥田舜太郎】
’17年広島生まれ。医師。広島市への原爆投下により自身が被爆、その後被爆者の救援・治療にあたる。臨床体験をふまえて「原爆ぶらぶら病」と呼ばれる症状や、内部被曝、低線量被曝の影響に関する研究にも携わった。 
 内部被曝の恐怖
内部被曝の恐怖
「何ミリシーベルト以下なら大丈夫」はウソ

月刊SPA!
 内部被曝の恐怖[中編]
「放射線に対抗する唯一の方法は?」

月刊SPA!
内部被曝の恐怖[後編]
「日本の医学界が被曝の影響を無視してきた理由」

月刊SPA!
 “最後の被爆医師”が語る人体に与える内部被曝の脅威 【解説:内部被曝と外部被曝】

 内部被曝と外部被曝では、被曝の仕方が全く異なる。内部被曝では、透過性の低いアルファ線、ベータ線のエネルギーがほとんど体外に逃げることなく、人体に影響を与える。これに対して、外部被曝では透過性の低い放射線は届かず、主に透過性の高いガンマ線で被曝する。体内に摂取した際に危険なのはアルファ線、ベータ線を出す核種である。


「年間何ミリシーベルト以下だから大丈夫です」というのは大きなウソ


 放射線というのは、人間には見えません。色も臭いもない。見た目には認識できません。

 私はこれまでずっと広島・長崎で被爆した患者を診続けてきました。原爆のときは、火傷をしたり全身の粘膜から血が噴き出したり、頭髪が抜けるなどの急性症状がありましたが、今回の福島原発の場合は、長期的な「内部被曝」の影響が心配されます。
 よく年間何ミリシーベルトだとか、毎時何マイクロシーベルトまでなら大丈夫だとか言われていますが、これは外部被曝の場合のことです。内部被曝というのは外部被曝と違って、放射性物質を体内に取り込んでしまい、1日24時間ずっと被曝し続けるというものです。
 その影響は、その人の年齢や健康状態、生活態度、免疫の状態にもよりますし、その症状がいつでてくるかも、誰にもわからないことだからです。医者である私にだってわかりません。個人差があるので「必ず危険」だとも限りませんが、その人が病気になったり死んだりする可能性をアップすることだけは確かです。
 日本の政府や学者がついているいちばん大きなウソは、「(外部被曝線量が)年間何ミリシーベルトなら大丈夫です」ということ。内部被曝のことを全く考慮していません。体内に入る放射性物質は「それ以下なら大丈夫」ということはない。少しでも体内に入ったら、長期的に被曝し続ける。微量な被曝であれば大丈夫というのは間違いです。
 専門家というのは、政府の責任を隠したり、業界の利益を守ったりするために、ときに意識的にウソをつくことがあります。中には知らなくて言っている人もいますが。正確には、「今は大丈夫です。
でも先々は病気になる可能性もありますし、何とも言えません」と言うべきでしょう。
 福島原発事故後の例で私が実際に報告を受けたもので言えば、多くは放射線に敏感な子どもに初期の被曝症状が現れています。
 下痢が続いて止まらない、しばらくしたら口内炎が出るとか、のどが腫れて痛いとか。多くの母親が心配していたのは子どもの鼻血です。鼻血がずっと続いて止まらない。そのうちに、両親にもそんな症状が出てくる。これは福島に限りません。私のところには、東京や神奈川、静岡などからもこういった相談が寄せられました。

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事故で 世界中が破滅

福島第一原発4号機に
危機感を募らせる
国際社会
※週刊朝日
2012年5月18日号
5月5日、北海道電力泊原子力発電所3号機が停止し、国内全50基の原発が停止した。
しかし、これで安心といったわけではなく、福島第一原発4号機の危険性を世界が危惧している。
 米上院エネルギー委員会の有力メンバーの一人、ロン・ワイデン議員は4月6日に福島第一原発を視察。その後、16日付で4号機の原子炉建屋が再び大きな地震や津波に見舞われれば、使用済み燃料プールが崩壊し、「当初の事故より大規模な放射性物質の放出が起こる恐れがある」と警告した。
 さらに、ニュースサイト『ハフィントン・ポスト』は、4号機のプールにある核燃料棒が冷却されずに放射能が放出された場合、そこから出るセシウムの総量は、チェルノブイリ事故で出た量の少なくとも10倍になる、との専門家の分析を紹介した。
 これほどまで国際社会で福島第一原発4号機が注目される理由を、元スイス大使で東海学園大学名誉教授の村田光平氏はこう言う。
「いまや4号機の存在は、北朝鮮のミサイル問題にも劣らぬ、全世界にとっての安全保障上の大問題になっているのです」
 さらに村田氏は今年3月、参院予算委員会の公聴会に公述人として出席し、「4号機が事故を起こせば、世界の究極の破局の始まりと言える」と警告している。
 東電は4月26日、4号機原子炉建屋の倒壊危険性を否定するリリースを発表。しかし、村田氏が「事故を起こした国や東電の信頼は世界中で地に落ちています。発表をうのみにする国など、どこにもありません」と言うように、米国では福島第一原発の現状と事故の収束に向けて、世界のエキスパートを集め、中立した独立機関としての評価委員会を作る動きがある。
異聞風聞
4号機 いまもそこにある危機
北海道新聞
■福一4号機
5階燃料プール
倒壊したらチェルノの10倍被曝で寸前に慌てて抜き取り開始
政府は否定しているが、外国メディアは福一4号機燃料プールが倒壊寸前である報じている。

爆発事故でボロボロになった4号機燃料プールが5階にあることも知らないような情弱の日本人でも、政府・東電が原発事故の実際の被害状況を国民に隠蔽し続けているとことくらいは気づいているはずだ。

(豪ABC) 4号機燃料プールの危険性について
オーストラリアABCが、福島第一原発4号機の燃料プールの問題について取材を行った。初公開された4号機燃料プールも取材。
小出裕章氏やロバート・アルバレス氏にインタビューを行い、その深刻な危険性について語ってもらっている。鈴木智彦氏にも取材。氏の潜入取材映像も紹介。4号機建屋の補強工事の杜撰さについて現場作業員の証言。
村田光平元駐スイス大使にも取材。
Experts warn of another disaster awaiting at Fukushima
徹底検証:福島第一原発4号機(1)

徹底検証:福島第一原発4号機(2)

福島第一原発4号機燃料プール

東電が4号機の調査結果を公表
     
4号機は横向きに傾いている    
Reactor Number 4 Structure at Fukushima Tilts Sideways PDF Print
 Wednesday, 11 May 2011 09:45    
Hamsayeh.Net - Japan’s crippled nuclear power plant at Fukushima disaster zone continues its emission of high levels of radioactive smokes into the environment. Latest pictures show the entire structure of reactor number 4, housing a large pool of spent fuel rods some containing plutonium, is now tilted on its one side pointing a collapse may be be inevitable.

The Japanese nuclear agency in charge of the Fukushima complex said radioactive sludge in the sewage system has increased recently. It said there are plans to ‘shore up the structure of the building near the upper floor area.’

Reactor number 4 houses a large spent fuel rods pool which for many years served as a storage tank for fuel rods from all other reactors at Fukushima. It partly contains a special mixture of uranium and plutonium with the latter recognized as a highly dangerous radioactive substance.

Aside from causing some serious environmental disaster all the way to Tokyo, Japan’s largest city, the Fukushima nuclear crisis has already dealt major blows to Japan’s reputation as an export driven economy in the eyes of the international community who would from now on have their own doubts purchasing Japanese goods of various kinds. 
Despite seriousness of the nuclear catastrophe, Japan’s highly bureaucratic system of governance based on the notion of saving face under any circumstances, keeps censoring independent news reports coming out of the disaster area.
Expert believe Fukushima will spew large quantities of harmful radiations into the environment for many more years in the future, thus the entire region would have to grapple with long-term effects of this crisis.
Last Updated on Wednesday, 11 May 2011 09:49
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米の放射線実測図、政府が放置 原発事故避難に生かさず <朝日新聞>
 昨年3月17~19日、米エネルギー省が米軍機で空から 放射線測定(モニタリング)を行って詳細な「汚染地図」を提供
(米エネルギー省のデータから作成)

 東京電力福島第一原子力発電所の事故直後の昨年3月17~19日、米エネルギー省が米軍機で空から放射線測定(モニタリング)を行って詳細な「汚染地図」を提供したのに、日本政府はこのデータを公表せず、住民の避難に活用していなかったことがわかった。放射性物質が大量に放出される中、北西方向に帯状に広がる高濃度地域が一目でわかるデータが死蔵され、大勢の住民が汚染地域を避難先や避難経路に選んだ。

 政府の初動対応では、汚染の広がりを予測する緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)の試算結果の公表遅れが問題となった。同システムの予測値と決定的に違うのは、米エネルギー省のデータが放射能の拡散方向を示す実測値だったことだ。

 米エネルギー省は原発事故直後の昨年3月17~19日、米軍機2機に、地上の放射線量の分布を電子地図に表示する空中測定システム(AMS)と呼ばれる機材を搭載して、福島第一原発から半径約45キロの地域の線量を計測した。

 その結果、福島県の浪江町や飯舘村などを含む福島第一の北西方向に、30キロ超にわたり1時間当たり125マイクロシーベルトを超える高い線量の地域が帯状に広がっていることが判明。この線量は8時間で一般市民の年間被曝(ひばく)線量の限度を超える数値だった。

 外務省によると、測定結果を基に作製された汚染地図は3月18日と20日の計2回、在日米大使館経由で同省に電子メールで提供され、同省が直後にメールを経済産業省原子力安全・保安院と、線量測定の実務を担っていた文部科学省にそれぞれ転送した。文科省科学技術・学術政策局の渡辺格次長ら複数の関係機関幹部によれば、同省と保安院は、データを公表せず、首相官邸や原子力安全委員会にも伝えなかったという。


朝日新聞
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福島の魚の 放射能汚染について 報じるBBC
 BBCが、福島沿岸の魚の放射能汚染について報じている。
1.「福島の魚は原発事故で依然汚染されている」

2.「日本の東側沿岸で取れた魚の放射能汚染レベルが依然高いことが公式データにより分かった」

3.「福島第一原発が、原発事故以降1年以上にも渡って依然として汚染源となっていることの証拠である」

4.「福島の近くで取れた魚の約40%が、日本の規制によれば食用に適していない」

5.「福島の汚染した地下水の海洋への漏出が続いていることと、沖合に貯まった沈殿物が汚染を引き起こしている」

6.「こうしたことは全て、この問題が長引くこと、そして、そのために今後何十年間も監視を続ける必要があることを示している」

7.「セシウム134と137は、破壊された発電所からの放出されていることが確認できる」

8.「如何なる種類、或いは如何なる日付の魚のセシウムのレベルも非常に変動が激しい一方、福島沖の海底に棲息する種類が最も高いセシウムの値を示している」

9.「ウッズホール海洋学研究所の研究者にとって、これは、海底がセシウム汚染の貯蔵庫になっていることを示している」

10.「海底魚と同様に、カニやエビを食べる魚は、海底に棲息しているために、セシウムの量が増えていると見られる」

11.「福島県の魚の40%が安全でないと言えば、驚くべきことのように聞こえるかもしれないが、許容量を強化したことによって、魚の実際の汚染状況に違いはなくても、以前は適格とみなされていた魚が不適格とみなされることになった」

12.「国際基準と日本の許容量を比べることも有益である。例えば、米国では、許容量はキログラム当たり1200ベクレルになっており、日本の4月の改定以前の基準と比べても大変に緩やかなのだ」

13.「ビュッセラー教授は、カリウム40のような自然の状態で存在するある種の放射性物質が、放射性セシウムと同等かそれよりも高い値にあるように見えると指摘する」

14.「ただ、そうは言っても、アジア地域の人々は他の多くの国々よりも魚の摂取量が多いために、汚染のことについて不安に思ってもおかしくない」

15.「汚染の水準が同じであっても地域によっては受け止め方が違うのも当然であり、人々はそれぞれの状況に応じて事実を把握することが必要になる。そして、それは今後も続く問題になるであろう。

16.「そして、こうした結果から、どの位の期間、漁業が禁止されたままであるかを予想することは大変困難であると、ウッズホール海洋学協会のその科学者は言う」

17.「ビュッセラー教授は、日本の研究者とともに、11月12日、13日に、東京で科学シンポジウムを開催し、福島に関する最近の知見と海洋への影響について説明を行う。」

BBC News   
福島の魚の放射能 汚染について報じる BBC BLOGOS
 
いまさら 大々的に報じても 完全に手遅れ  朝日新聞一面 トップ記事「米情報 避難に生かさず」

週刊 上杉隆
「相変わらずの恥知らずだな」
 生放送直前、北海道U型テレビ(UHB)の出演者控室で、朝日新聞の一面トップ記事を教えられて、思わずそうつぶやいた。
 番組終了後、朝日新聞を読んだ。実際、それはまったくひどいものだった。  記事の内容のことを言っているのではない。記事は正しい。問題は、一面トップのそのニュースは一年前に既知のもので、いまさら大々的に報じても完全に手遅れなのである。
 〈米の放射線実測図、政府が放置 原発事故避難に生かさず
 東京電力福島第一原子力発電所の事故直後の昨年3月17~19日、米エネルギー省が米軍機で空から放射線測定(モニタリング)を行って詳細な「汚染地図」を提供したのに、日本政府はこのデータを公表せず、住民の避難に活用していなかったことがわかった。放射性物質が大量に放出される中、北西方向に帯状に広がる高濃度地域が一目でわかるデータが死蔵され、大勢の住民が汚染地域を避難先や避難経路に選んだ。
 政府の初動対応では、汚染の広がりを予測する緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)の試算結果の公表遅れが問題となった。同システムの予測値と決定的に違うのは、米エネルギー省のデータが放射能の拡散方向を示す実測値だったことだ。
 米エネルギー省は原発事故直後の昨年3月17~19日、米軍機2機に、地上の放射線量の分布を電子地図に表示する空中測定システム(AMS)と呼ばれる機材を搭載して、福島第一原発から半径約45キロの地域の線量を計測した。
 その結果、福島県の浪江町や飯舘村などを含む福島第一の北西方向に、30キロ超にわたり1時間当たり125マイクロシーベルトを超える高い線量の地域が帯状に広がっていることが判明。この線量は8時間で一般市民の年間被曝(ひばく)線量の限度を超える数値だった。

全部読む>週刊 上杉隆