入手した北電の社内メールには、「『プルサーマル計画に関する公開シンポジウム』への参加協力について」というタイトルがつけられている。
発信は'08年10月3日付。
原発周辺の自治体との折衝などを担当する泊原子力事務所渉外課が、社内21の部署に発送した。
9日後に原発に近い岩内町で開かれるプルサーマル導入がテーマのシンポジウムについて説明した上で、「プルサーマル計画を確実に進めるためにも、数多くの方にご参加いただき推進意見を提出していただければと思っております」と、堂々とやらせを促している。
「当時は、北電が道や地元の4町村に申し入れたプルサーマルの導入計画をめぐって、国や道、北電が主催する説明会が相次いで開かれていた時期でした。なかでも、道が主催したこのシンポジウムは、一連の説明会の最後に開かれ、参加した住民の意見が道の有識者検討会議に反映されることになっていた」(地元紙記者)
北電にとってはプルサーマル導入がかかった〝勝負どころ〟だったわけだ。
シンポジウムには、約380人が参加した。
会場からは「プルトニウムは人間の手に負えないエネルギーだ」などと、プルサーマル計画に反対の意見が続出したにもかかわらず、参加者を対象に道が会場で行ったアンケートでは、「(プルサーマル計画に理解が)深まった」、「だいたい深まった」との回答が、合わせて約55%に上ったという。
シンポジウムに参加した岩内町の大田勤町議は、
「道のまとめでは過半数が理解が深まったことになっていて、違和感をおぼえた」
とアンケートの結果を訝しむ。
にもかかわらず、このアンケート結果は道の有識者検討会議で判断材料とされ、プルサーマル容認の最終報告につながった。
これを受けて翌'09年3月、高橋はるみ知事は道議会で受け入れを表明したのだ。
以上、全文>現代ビジネス「経済の死角」
北電は12年前に「やらせ」を行った"実績"があります。これに懲りずに世論誘導を今も行っている北電に、公益企業としての資格があるのか、強い疑問を感じます。
12年前のやらせメール指示書 |
|
こちらは12年前のやらせメール指示書。「総力を挙げて行う」と、明確にやらせへの参加を誘導 |
|
|
|
◆”動員いつものこと”
泊原発3号機プルサーマル導入に関するシンポジウムをめぐって、内部文書などで明るみに出た北海道電力による動員と「やらせ」意見の組織工作。北電が住民世論をゆがめる工作を、日常的に行っている実態が浮き彫りになってきました。
◆北電ぐるみ"住民合意"演出 北海道主催シンポ
北電の「やらせ」が明らかになった2008年10月12日に道などが主催して開いたシンポジウムは、異様なものだったといいます。
北電が社員を動員して、シンポで導入賛成が多数であることを演出しようとしたことがうかがえます。
「厳秘」のスタンプが押された当時の社内文書には、「『泊3号機増設に賛成』など賛成の主旨がはっきりわかるように簡潔、明瞭に記述する」と、賛成意見を道に送るよう社員に呼びかけていました。
この文書には「主婦の立場」などを装った、賛成意見のひな型まで添付されており、先に発覚した九州電力や四国電力の手口がそのまま使われていました。
◆やらせの方法まで指示
提出する賛成意見について、〈賛成の趣旨がはっきりわかるように簡潔、明瞭に記述する〉とご丁寧に指示した上で、意見の〝参考ひな形〟まで用意していました。
例えば「喘息気味の27歳女性」による意見として、
〈電気のエネルギーは原子力に頼る以外にないと思います。(中略)私は小さい時から喘息気味で空気の悪い所には住めず両親も私のために勤務地を変えた程です。このかけがえのない地球を守るためには、石油や石炭に頼っていてはいけないと思います〉
などと言わせています。
さらに、「札幌市の39歳の男性」の意見では、
〈泊三号機の増設は絶対に必要です。(中略)風力や太陽光などで本当に北海道の電気を確保できるとは到底考えられません〉
さらに呆れてしまうのは、応募方法についての注意書き。郵便、ファックス、Eメールのいずれでも良いとしながら、〈FAX、E-Mailの場合は社内からの発信は行わない(発信元が先方に通知される)〉とし、そこにアンダーラインまで引いています。
やらせを隠し、あくまで一般住民からの意見だと見せかけるための狡猾な工作だとしか思えません。
◆北電関係者はこう証言します。
「北電が説明会を人口の少ない地域でやっても、住民でいっぱいにはできない。『ガラガラはみっともないから』と、今でも社員や子会社を動員するのは当たり前。北電は今でも『やらせ』がいけないという意識は希薄だと思う」
経産省は7月下旬、電力各社に国主催のシンポで「やらせ」がなかったか、社内調査を指示しました。
これに対して、北電は08年8月の資源エネルギー庁主催のプルサーマルシンポについては、「やらせ」は「確認されなかった」と答えています。
◆北電、「やらせメール」認める
「北海道電力」は26日夜、記者会見を開き、泊原子力発電所のプルサーマル計画をめぐるシンポジウムで、社員に計画の推進意見を述べるよう求めるメールを送っていたことを明らかにした。
北海道電力は会見で、08年10月に開かれた泊原発3号機のプルサーマル計画をめぐるシンポジウムに向けて、社員らに、参加と計画の推進意見を述べるよう求める文書をメールで送っていたことを認めた。
北海道電力は、同じ時期に開かれた別のシンポジウムについても調査を行う方針で、北海道・高橋はるみ知事は「極めて遺憾で早急な調査を求めたい」とコメントしている。<
2011年8月27日 7:16 >
2011.09.09 09:01
九電やらせメール「佐賀知事の発言が発端」
2011.09.04 00:46
シンポで社員動員指示 北電が第三者委設置
2011.09.01 09:28
北電、国主催のシンポで社員に動員指示
2011.08.18 01:49
定期検査中の泊原発3号機、営業運転を再開
2011.08.17 15:13
泊原発の営業運転再開、知事が容認表明
|