福島第一原発 予想以上に最悪状態

2011年3月23日 
 元北海道大学工学部 文部科学技官 石川 栄一

自動制御工学の研究者や技術者であれば誰でも分かるように、「制御棒」が今回の福島第一原発事故によって動作不能に陥ったら、核分裂の速度が調節不能に陥り、原子炉が暴走し水蒸気爆発を起こします。その結果、膨大な放射能により大気や海水が汚染されてしまいます。

つまり、制御棒が正常に動作していれば、中性子の量をコントロールして核分裂を制御しますが、この制御棒が破壊されてしてしまうと、果てしなく核分裂が起こり最終的には大爆発を起こしてしまいます。
こうなると「中性子爆弾」が福島第一原発に投下されたのと同様な状態に陥り、広範囲の地域が放射能に汚染されて多数の人命が失われてしまうと共に、放射線に含まれる発癌物質が大量に大気中に放射されてしまいます。

現在、自衛隊や消防、機動隊によって原子炉に水を注入しているようですが、これは焼け石に水で、一時的に原子炉が冷却がされたとしても、水の注入作業を数年、数十年、あるいは半永久的に継続しなければなりません。
政府は最悪の事態に陥らないようにと、破壊された原子炉に対し水掛け作戦を続けておりますが、「既に最悪の事態に陥っている」としか言いようがありません。

いま地域住民に出来ることは、放射線量が無害になるまで福島第一原発からできるだけ遠くに避難することしかないと思います。
今後、福島第一原発を中心に半径200km以内は人間は安全に住めないので、放射能汚染が安全な範囲に収まるまで、何年、何十年かかるか分かりません。
従って、該当する市町村を放棄すべきかと考えます。

【資料】
■福島第1原発の安全を監督する立場の保安検査官は全員原発から退避済 毎日新聞 3月17日(木)10時45分配信
 東京電力福島第一原子力発電所の事故に絡み、経済産業省原子力安全・保安院の検査官が事故発生後に約1週間、同原発を離れていたことが分かった。(以下全文)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110323-OYT1T00078.htm?from=main7

「福島原発事故関連記事」
■使用済み核燃料と原子炉内…3号機、二重の危機(読売新聞)
 17日午前、自衛隊ヘリによる放水作業が行われた東京電力福島第一原子力発電所3号機は、使用済み核燃料を貯蔵するプールと原子炉を冷やす機能がともに失われている。
(以下全文)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110317-OYT1T00481.htm

■米“放射能パニック”隠蔽政府にヒラリー激怒「信用できない」(ヒラリークリントン国務長官)(夕刊フジ)
 東京電力福島第1原発の事故を受け、米国内で「反日感情」が高まりつつある。東日本大震災直後は同情も多かったが、菅直人政権の原発危機への対応のひどさに、ヒラリー国務長官までが「日本は信用できない」と激怒。
(以下全文)
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/world/n_the_states2__20110319_70/story/
18fujizak20110318003/


■東電幹部、「福島に希望は」の問いに絶句(日刊スポーツ)
 「福島に希望はあるのか」との問いに、東京電力の小森明生常務は言葉を失った。小森常務は18日、原発事故後初めて東電幹部として福島県を訪問。「大変な心配と迷惑を掛けたことをおわびします」と謝罪。会見後、感情を抑えきれずに号泣した。
(以下全文)
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20110318-750149.html

■東日本大震災:福島原発事故、各国警戒 退避勧告も続々(毎日新聞社)
 東京電力福島第1原発を巡る事態の深刻化に世界各国が警戒を強めている。米国が同原発の半径約80キロ以内に住む米国人に避難を勧告したのに続き、韓国、オーストラリアも同様の措置を取った。
(以下全文)
http://mainichi.jp/select/world/news/20110318k0000m030027000c.html

以上

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