国民の「いのちと健康」を守るために
展望なき「原発推進」と決別を
2012年4月24日
 元 北海道大学 文部科学技官 石川 栄一
◆脱原発で電力不足の解消急げ◆
 電力をはじめとしたエネルギーの安定供給は、豊かな国民生活の維持に不可欠である。ところが、福島第一原子力発電所の事故に伴い、定期検査で停止した原発の運転再開にメドが立たず、電力不足が懸念されたが、節電の効果もあって、結局、原発15基分の電力が余った。
野田首相は、電力を「経済の血液」と位置づけ、安全が確認された原発を再稼働する方針を示している。しかし日本の将来のために「脱原発依存」を掲げた菅前首相とは一線を画している野田首相の非現実的な対応は、全く評価できない。
野田首相は、将来も原発を活用し続けるかどうか、考えを明らかにしていない。国民の立場を貫くならば、この際、前首相よりも一歩進み「原発推進」とは決別すべきだ。

◆節電だけでも足りた◆
 東京電力と東北電力の管内で実施してきた15%の電力制限は、すべて解除された。企業や家庭の節電努力で、(昨年)夏の電力危機をひとまず乗り切ったが、先行きは綱渡りのように思えた。しかし、東電によると、昨年9月直近の需要見直しは4080万キロワットで、供給力は5510万キロワット。つまり電力は、1500万キロワットも余っていたのである。【※1】
原発の発電量が、一基平均、約100万キロワットとして、現在は原発15基分の電力が余っている計算である。日本の全原発54基のうち、夏場に稼動していたのは11基だから、余力の電力量に相当する。原発ゼロでも全く問題がないのである。
野田首相は、就任記者会見で、原発新設を「現実的に困難」とし、寿命がきた原子炉は廃炉にすると述べた。これについて鉢呂前経済産業相は、報道各社のインタビューで、将来は基本的に「原発ゼロ」になるとの見通しを示した。

◆「新設断念」は遅すぎた◆
 代替電源を確保する展望はいくらでもあるので、原発新設の可能性を全否定する見解は遅すぎる。
野田首相は、脱原発を示唆する一方、途上国などに原発の輸出を続け、原子力技術を蓄積する必要性を強調している。しかし福島第一原発と国民が悲惨な状況にあるにも関わらず、途上国などに原発を輸出するとは鬼畜の所行である。
政府は、表向きには現行の「エネルギー基本計画」を見直し、将来の原発依存度を引き下げる方向だ。首相は、原発が減る分の電力を、太陽光など自然エネルギーと節電でまかなう考えを示している。

そもそも電力は、(昨年)夏場に1000万キロワットも「足りない」はずだった。
東電の(昨年)「7月末の供給電力は4650万キロワット」という数字をマスコミが鵜呑みにし「東電、夏の電力不足必至…供給最大で5000万キロワット」などと報じたからだ。

◆無責任なマスコミ報道◆
無責任なマスコミの報道被害により、街路灯は消え、駅など公共施設のエレベーターはストップし、通勤電車内は蒸し風呂状態。更に酷いことにエアコンを止めて数十人が熱中症で亡くなったという。
しかし東電の供給力は、昨年7月には「5720万キロワット」に増え、あっさりと夏の想定最大需要(5500万キロワット)を上回った。本来なら政府は、この時点で制限令解除すべきだが電力が、大量にダブつき始めた途端、慌てて解除したと思われる。【※2】
国内で自給できる自然エネルギーは現時点では、水力を除けば全発電量の1%に過ぎないらしい。しかし、脱原発を決めたドイツでは現在、発電量に占める再生可能エネルギーの割合は約17%で、20年までに35%に倍増させる目標だ。
原発は、現状では発電コストが最も高い。従って自然エネルギーの過小評価は禁物である。【※3】
原子力を含むワーストエネルギーの組み合わせについての論議は愚の骨頂だ。日本が脱原発に向かうとすれば、当然、原子力技術の衰退は避けられない。
悪名高き原子力村が先導する低レベルな技術と原発事故の教訓を、より危険な原子炉の開発などに活用しないことこそ、日本の責務と言えよう。【※4】

◆原子力技術の放棄を急げ◆
 我が国には、低レベルで危険な原発を、今後は全て廃炉にしていく、という選択肢しか残されていない。しかし、中国やインドなどの新興国は、原発の大幅な増設を計画しているが、日本の脱原発で止められる可能性がある。
日本では、福島第一原発が収束できずに放射能で国土と海洋を汚染している。そのような状況の中で、原発輸出を言い出すことは、人間として到底許されない行為である。
日本は、原子力の平和利用に名を借りた核開発を長年かけて行ってきた。
核兵器の材料になり、人類を破滅に導くプルトニウムの利用が認められている。しかし、こうした日本の現状が、国際情勢における潜在的な「火薬庫」になっていることも事実だ。【※5】
野田首相は、全国民の現実的な「脱原発」の願いを国政に反映し、原子力をめぐる世界情勢を冷静に分析して、エネルギー政策を推進すべきだ。
 2012/04/24
 石川栄一
【資料1】
※1 「原発 全54基ストップ この夏、電力は大丈夫なのか」日刊ゲンダイ
※2 結局原発15基分の電力が余った!日刊ゲンダイ
※3 ドイツの原子力事情 海外電力調査会
※4 原子力村の住民一覧
※5 我が国におけるプルトニウム利用の 透明性向上の取組について(PDF) 内閣府 原子力政策担当室
※6 エネルギー政策 展望なき「脱原発」と決別を/9月7日付・読売新聞社説
【資料2】
「放送法違反」マスコミのがれき受け入れ啓蒙活動
元 北海道大学 文部科学技官 石川栄一
 
【資料3】 
ガレキ拡散の真の目的とその黒幕について 
元 北海道大学 文部科学技官 石川栄一 
石川栄一 
 
【資料4】 
東日本大震災により発生したがれきの受入れについて 
上田文雄札幌市長 
札幌市 
 
 
What a comeback! Eleven months after the tsunami ravaged Japan, a series of pictures reveals the incredible progress being made to clear up the devastation.
瓦礫 市街地には殆ど 残っていません
証拠写真<1>
証拠写真<2>
 
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